比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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やっほろー!

皆元気にしてるかな?

私は割と元気ではないですよー


それはさておき、鈴ちゃんがついに登場です。作者さんはISヒロインで鈴ちゃんの事をあまり好きじゃないですが、そんなこと関係なしに登場キャラにはみんな愛情を持って接していきます!

では、本編スタートです




IS 転校生は幼馴染 2

今日もきょうとで平穏な一日を過ごすことを夢見る俺は、朝から酷く機嫌が悪い

その原因は、俺が来るなり静まりかえる教室でもイケメンフェイスを携え美少女をはべらかせている一夏でもない

 

‥‥‥いや、やっぱむかつくわあいつ

 

 

今日は朝から碌な事が起きない

 

目覚まし時計は電池が切れている、着替えようとしたらボタンが取れてる、朝食に食べたパンはカビており、自宅通学中自転車とぶつかり、自宅通学と遅刻の件で千冬には追いかけられた(逃げたが捕まり30分のお説教)

 

こういう時リア充は、ついてないとか運が悪いとか笑いながら話しているが、大体の場合は自業自得である場合が多い

 

自分の失敗談をさも運命のイタズラだとか風潮し周る連中は、一様に自分を振り返ることができないでいる

だからこそ同じ失敗を繰り返し「うっわー今日マジついてないわー」とか延々に繰りかすのである。

 

だが今回俺はあえて言っておこう

 

今日はついていない、こういう日には決まって碌な事が起きない

本当ならそういう日には、学校をさぼって家でゴロゴロしていたい

 

 

「はあ・・・」

 

 

「ため息なんかついてどうかしたのか八兄?」

 

 

「…なんでもねーよ、お前は黙って女子とイチャコラして背中でも刺されてろ」

 

 

「一段と口が悪い、ていうか酷い!?」

 

 

なぜリア充は朝からこんなにうるさいのか・・・そんなに学校が好きなわけ?寝不足とか低血圧とか無縁になるレベルで好きなのかよ。いっそ学校と結婚しちまえよ、ついでに1年くらいハネムーンとかで休校にしてくれよ。ご祝儀あげるから

 

 

「そういやもうすぐクラス対抗戦とか言うのが始まるらしいけど八兄知ってるか?」

 

 

そしてなぜリア充は非リアの話しかけるなオーラを無視して話しかけてくるのか、こいつら周りの空気とか読むことに長けてる生物だろ。なら、この話しかけるなオーラを察しろよ。凝くらいできるだろ?

 

 

「知らん。そもそも俺に関係ない事だろ。お前は黙って他のクラス代表にボコられて来いよ。死んでも骨ぐらいは、気が向いたら拾ってやるから」

 

 

「普通に知ってるじゃん!それにそこは普通に拾ってくれよ‥‥いや、死なないけどさ!ていうかやぱり酷くないか!?」

 

 

クラス対抗戦

 

それは、新1年生による初めての大会である。名前の通りクラス別にトーナメント方式で試合をしていき優勝を決める

 

学外からもIS関係の来賓を呼び寄せる割と大きな大会であり、ここで活躍すればスポンサーが付いたり将来的に国家代表候補として注目されたりする

 

つまりは今年の新一年生の披露を兼ねた新人戦だ

 

ただし参加メンバーは各クラスのクラス代表に限られている。クラス代表はいうなれば委員長のような物だし、これもそういう特典の一つといっていいだろう

 

1組のクラス代表は一夏であり俺には関係ないイベントだ

 

 

俺は一夏の会話を切り上げ自身の机に突っ伏した。

流石のこいつも、それ以上会話をしようとは思わなかったらしく自身の席に向き直した

 

 

「そういえば2組のクラス代表が変更になったんだって」

 

 

「ああ、確かなんとかっていう転校生に変わったんだっけ?」

 

 

一夏の席のあたりでたむっろっていたクラスメイト達が何やら話している

 

・・・別に聞き耳を立ててるわけではない。向こうが勝手に俺に聞こえる声で話しているだけで、偶々それが俺の耳に入ってしまっただけの不可抗力だ

 

 

「転校生?今の時期に珍しい」

 

 

新学期が始まって一か月たっていないこの時期の転校は確かに珍しい。普通なら新学期に合わせるのが普通だろう

 

中途半端な時期に転校してきてもクラスのコミュニティーに入れずボッチになるしな。ソースは俺

 

 

「うん、なんか中国から来た子なんだって」

 

 

・・・中国という単語に、なにやら俺の悪い予感センサーが反応した

八幡の必殺技の一つ、悪い予感センサー

 

八幡の碌な事が起きない人生の中で身に着けた超直感にもにたセンサー。このセンサーが発動すると数時間から数分後によからぬ事が起きる

 

詐欺師時代、警察のカチコミだとか893の襲撃だとかの前にも何度か発動している。ただし、全部の危機的状況に対し発動するわけではないし自分からは発動できない。発動しても結局回避できないなど割と弱点は多い

 

なので、一仕事終えた後に見ず知らずの中学生に鉄パイプで襲われたりしても回避はできなかったりする

 

やくに立つようであまり役に立っていないそんな微妙な技、それが悪い予感センサー

 

 

「どんな奴だろ、強いのかな?」

 

 

「さあ、でも今のところ専用機を持ってるのは一組と四組だけだし余裕だよ」

 

 

 

 

 

「その情報古いよ」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

俺がクラスの子達数人と話していると、どこか聞き覚えのある懐かしい声が聞こえてきた。

その声の先、扉の方向に俺を含めその場にいた人全員が振り向き見つめるとそこには、2年前と何ら変わらないツインテールの少女が

 

 

「2組も専用機持ちがクラス――――――」

 

 

バタンッ!

 

 

いたような気がしたがよく見る事が出来なかった

 

いつの間にか後ろの席より扉の前に移動していた八兄が扉を勢いよく閉めてしまったからだ。

八兄の席から扉の所まで行くには俺の席の隣を行くのが最短距離のはずだが、隣を通られた気配が全くせずいつものことながら俺は唖然とした表情で八兄を見る

 

周りをチラッと見ると彼女たちもいつの間にか移動していた八兄に驚いている様子で、中には口を大きく開けて固まっている子もちらほらといる

 

年頃の少女がする顔ではないのだろうが、それも仕方がない

なんせ八兄はあの千冬姉の音速を誇る雷神の一撃(出席簿)を軽々と避け、躱し、いなす存在なのだから

 

俺の知っている中でもアレを躱せるのは束さんくらいのものだ

 

そんな八兄の規格外すぎる動きに俺達が理解できないのはむしろ当たり前と言えるだろう

 

それはそうと、今閉められた扉の先には誰かがいた気がしたのだが・・・それも、俺と面識があり尚且つ仲が良かった人物が

 

 

「えっと・・・いきなりどうしたんだ八兄」

 

 

若干戸惑い気味に聞く俺に八兄は振り向きもせず、ただ扉を睨みながら淡々という

 

 

「ちょっと風が冷たくてな」

 

 

陽気はいいがまだまだ肌を撫でる風はひんやりと冷たい。それにこの学園は離島であり周りは海で囲まれている

 

人によっては涼しく感じる風も八兄にとっては肌寒いと感じたのだろうか?

 

いや、でもあのタイミングで扉を閉めるというのはやはり何らかの意思を感じる

 

 

「さっき扉の前に誰かいなかった?」

 

 

「さあ、俺は気が付かなかったな」

 

 

すると、今度は扉が勢いよく開きまたも先ほどの懐かしい声が聞こえる

 

 

「ちょっと!何いきなりしめて――――――――」

 

 

バタンッ!

 

 

が、またも八兄により扉は閉められた。

 

 

「…えっと、八兄?」

 

 

「‥‥‥」

 

 

俺の呼びかけに何の反応もなくただ扉の方を見つめている八兄

 

・・・うん、これ絶対に悪意をもってやってるな

 

あまりにあからさまな八兄の様子に内心結論を出すとまたも扉が開かれ

 

 

「だからなんで閉めるの――――」

 

 

バタンッ

 

 

ガラッ

「だから!!閉めるなって――――」

 

 

バタンッ

 

ガラッ

「いい加減に――――」

 

 

バタンッ

 

ガラッ

「閉め―る!―」

 

バタン

 

ガラ

「い―かげん―に――」

 

バタン

 

ガラ

「ふざ――けな―ッ」

 

バタン

 

ガラ

「話を――き―!」

 

 

バタン

 

ガラ

「話を聞けッ!!」

 

バタンッ!!!

 

 

「「はあはあはあ」」

 

 

扉の開け閉めで何度かの攻防を繰り広げていた2人はしまった扉の内と外で互いに息を切らしている

 

外にいる人物の事は、まだよく見てないので断定はできないが恐らく俺の考えている人物

 

始めも一瞬だったしその後は、八兄の背に隠れその姿をまだ見てはいないけどあの声とこんな風なやり取りは以前にも何度か見聞きしているので間違いないだろう

 

2年ぶりだというのに何をしているのか・・・

 

 

 

まあ、でも彼女もあの様子では変わりが無いようで何よりだ

 

何かと突っかかる彼女にそれを軽くあしらい倍返しする八兄

 

時に言葉で時に体で何かと反発し合う2人の構図にそれを唖然と見続ける俺

何もかも昔のままでありなんだか安心する

 

本当に懐かしいぜ

 

 

目を閉じれば彼女が転校するまでに行われた壮絶なじゃれ合い(・・・・・)を鮮明に思い出す

 

何かで口論する2人(一方的に突っかかってるだけ)しばらくすると彼女がいつも通り泣かされ俺のところまで走ってきたり

 

体育とかで勝負しても(一方的に突っかかってるだけ)どうしても八兄に勝てず、段々とヒートアップしてラフプレイにはしるも逆にコテンパンにされ泣きながら俺のところに走ってきたり

 

給食の早食いで(一方的に突っかかってるだけ)よく噛まずに飲み込みのどに詰まらせ青い顔で俺に手を伸ばし水を求めたり

 

あとこんな事もあったな、彼女がいきなり飛び蹴りをくらわせ、八兄はそれを平然とキャッチしジャイアントスイングで吹っ飛ばし額を赤くして俺のところまで走ってきたり

 

泣いた彼女を慰めるのはいつも俺の役割だった。本当に懐かしいなー

 

ていうか日本に戻ってきてたのか、なら電話でもしてくれればよかったのに水臭い

いや、でもあの勝気でお転婆な性格から見ると電話なんかより直接会って話したいという思いが強かったのかもしれないなー

 

何せ彼女は昔から――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――八兄の事が好きだったんだから!

 


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