比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

24 / 33
次回からまた八幡視点で行く予定です。ではどうぞ~

感想待ってます




IS 転校生は幼馴染 4

それから俺と鈴は、それぞれのランチを注文して窓側の席に着いた。この席は、ファミレスなんかの奥の席みたいに円状のソファーに丸テーブルで、広さもそれなりにありやろうとすれば7,8人くらいが座っても大丈夫だろう

 

現に隣の席には6人くらいが座ってるし

 

ていうかあれって箒たちだよな。なんか凄いこっちを見てるんだが

なんなら話しかけてくれればいいのに。そうすれば鈴の事も紹介できるのだが・・・

 

まあ、紹介は後でもできるし今は鈴との久しぶりの再会を堪能しようとしよう。

 

 

俺は予定通り、A定食サバの塩焼き定食を頼んで鈴はラーメンを頼んでいる。

 

この彼女、鈴は名前で分かるように中国出身であり親が日本で中華料理屋を開くという事で日本にやってきた

 

本人も中華料理が好きなそうで、特に和製中華料理が好きとのことである。

 

 

「へっ!お前代表候補生なのか!?」

 

 

「そうよ!朝だって・・・そういえば言ってなかったわね。まあいいわ、私は代表候補生で2組のクラス代表よ」

 

 

朝というのが何の事か分からないが、鈴はとんでもないカミングアウトをした。つまりクラス対抗戦で俺は鈴と戦うかもしれないという訳か

 

 

「すげーな。いつの間になったんだよ?」

 

 

「あんた達の方こそニュースで見た時ビックリしたじゃない」

 

 

少し見ない間に国の代表候補生になっていた幼馴染に驚愕するも、逆にあちらは俺達の方にびっくりしていたらしい

 

それもそうだろう。何せ当事者である俺でさえビックリを通り越して唖然としてたくらいだしな。

 

 

「俺だってまさかこんなところに通うはめになるとは思わなかったもんな・・・」

 

 

さらにそこで2人の幼馴染と再開するなんて、これが偶然だったら相当な確立じゃないだろうか?

 

 

「確か高校受験で間違ってISを動かしちゃったんだけ?なんでそんな事になったのよ」

 

 

「ん?その初めは道に迷ってな・・・その後ISが保管されてた部屋を見つけて興味本位で触ろうとしたんだ」

 

 

「あんた興味本位でって・・・」

 

 

若干呆れ顔の鈴だがそんな事は気にしない。男の子はみんな知的好奇心にさからえない生き物なのだ

 

 

「そしたら係りの人に見つかってな、バランス崩して咄嗟に目の前にあったISを触って起動させたんだよ――――――八兄と一緒に」

 

 

今一瞬、鈴の眉がピクリと反応したように見えた。さらに先ほどまで上機嫌だったのに途端に顔を顰めさせ俯きながらフルフルと震えている・・・・・・ああ!

そういえば鈴て昔から八兄の事が好きだったんだけ?

 

それで、八兄の名前が出た途端反応したのか

 

うんうん、好きな人と久しぶりに会えるんだ。喜びで震えもするだろう

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

この時、鈴が俯いているため一夏には見えなかったが彼女の顔は血管が浮き出て目やら口やらが引きつられまるで般若のようであったと、遠くからたまたま2人に目をやった金髪縦ロールのクラスメイトは語っている

 

 

??「一夏さんが何を話していたかは聞こえませんでしたが、一緒にいた彼女の顔はまさに鬼のようでしたわ・・・いったい人は何をすればあんな顔ができるようになるのか・・・」

 

 

匿名希望のため名前は伏せるが証言者の彼女の顔は戦慄していたという

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ひとしきり食事を済ませ鈴との会話を楽しんでいると、先ほどまで隣の席にいた箒がいつの間にかこちらの席までやってきて

 

なぜか険しい表情で鈴について聞いてくる

 

ていうか箒が人見知りであり無愛想な事は知っているが、初めて会う人の前でそんな好戦的な態度をとるのは一友人としてどうかと思う。思ってはいるが別にいいはしないけどな

 

だって、なんか言ったら言ったでなんか怒られそうだし

 

ざっくりと説明がてらお互いの自己紹介を添える

 

 

「鈴は箒と入れ違いに転校してきた幼馴染なんだよ。で、こっちが篠ノ乃 箒、前に話しただろ」

 

 

鈴には以前箒の事を話しているため説明はこんな感じでも平気だろう。

説明を終えると鈴は箒の方を見て、微笑みながら挨拶をする。ただ、気のせいかその微笑みがなんだか挑発しているような感じに思えたが‥‥‥まあ、気のせいだろう

 

 

「ふーん、そうなんだ。初めましてこれからよろしくね篠ノ乃さん」

 

 

一方の箒はなにやら手をわなわなさして苦悶の表情を浮かべる。だから箒さんや、初対面の人にその態度はいただけないって

 

フレンドリーな鈴に対してなぜか、警戒心をMAXにさした箒が再度質問を重ねる

 

曰く、二人はどういう関係でまさか付き合っているのかとかいう感じだ

 

その質問に鈴は頬を染なにやら慌てだして言葉を濁している

 

 

 

 

ふむ、別に俺達2人は付き合っているわけでもないしそもそも鈴には好きな人がいるわけだしここは違うと答えるのが無難だろう

 

でも、否定するにしてもどうするか。中途半端に否定して逆になんか怪しいのではないのかみたいな噂が出回ってしまえば彼女の純粋な恋心に傷を作る可能性があるし

 

なによりその噂が八兄の耳にでも入って、いずれ鈴が八兄に告白するかもしれに時に何らかの足かせになるかもしれない

 

八兄は、きつい言葉をよく言うがその本質は兄弟思いであり、素直ではなく相当歪んでいるだけで基本的には優しい人だ(多分)

 

そんな兄が、弟と付き合っている噂がある女の子から告白されてもまず受け入れはしないだろう。そうなれば鈴は勿論誰もが不幸になることは間違いなしだ

 

だからと言って、ここで鈴は八兄の事が好きなどど素直に答えてしまったら、それはそれで問題だ。

 

鈴の愛情表現は、まるで好きな子にちょっかいを出す小学生男子レベルだが、それは彼女がまだ恋を始めたばかりである証拠で見てるぶんには微笑ましい

 

未だ初恋もまだな俺が言えたことではないが、初めての恋心は失敗するにしても成功するにしても自分の手で決着をつけたいというのが人情という物だろう

 

八兄も八兄で鈍感だから鈴の愛情には気が付けていない様子だ。ならここで俺がそんな事をカミングアウトする事はいい結果に結びつきはしない

 

ならば、ここは―――――――――

 

 

「違うぞ俺と鈴はただの幼馴染だ。それに鈴には‥‥‥…好きな人がいるからな!」

 

 

否定をしつつ幼馴染という言葉を強調し、さらに誰かとは言わずに好きな人がいるという事実のみを話すことで、俺と変な噂が立つこともない

 

完璧だ。完璧すぎる

 

ふと鈴の方を見ると、なにやら俺の方を見て唖然とした表情をしている

 

なるほど・・・

 

 

 

 

つまり、この表情は変な噂が立たない事に対しての安堵と好きな人がいるという事実を俺が知っているという事に対した驚きの表情という訳か!

 

ちょうどその時予鈴が鳴り俺は自分の食器を返却するため立ち上がる。数歩歩いたところでいまだに座りこっけている鈴にウインクと親指を突き立てグットのポーズをしてその場を後にする

 

ッフ、いい事をすると気持ちが良いぜ!

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。