比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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シリアスな展開とギャグは相容れない

そう思う時期が私にもありました。でもあえて言いましょう

シリアスだからこそギャグを引き立てることも出来るのだと!

後悔はしていない!さあ、とくとご覧あれ!!

これが俺のリビドーだ!!!!





IS 転校生は幼馴染 7

日もすっかり沈んでしまった第1アリーナ

 

そこに俺、織斑 一夏は、息もたえたえに大の字になって倒れていた。火照った体に地面のひんやりとした感触が何とも気持ちがいい。だが、体中から出る汗に熱を持っていかれて段々と寒く感じる

 

でも、それ以上に体の疲労感がやばい

 

 

「し・・・死ぬ・・・」

 

 

「何馬鹿を言っている。鍛えてないからそういう事になるんだ」

 

 

「こんな時間になるまでぶっ通しでやってればこうもなるだろ・・・」

 

 

「そもそも固いお前が悪い。日々の鍛練しっかりすればそうはならないはずだ」

 

 

「んな事言ったて仕方ないだろ。こっちだて色々溜まってるんだし。それより箒の方は全然疲れて無いな・・・」

 

 

「当たり前だ。私は鍛えているからな。この程度ではビクともせん!」

 

 

「あんなに激しかったのに・・・まじかよ・・・」

 

 

呼吸を整え上半身だけ上げて箒を見る。多少汗はかいてるようだが息切れ一つしていない。

それどころか腕を組みピッシと仁王立ちまでする元気があると来たものだ

 

自業自得ではあれど、なんというか男としての自信がなくなる・・・

 

 

「それよりそろそろ部屋に戻るぞ」

 

 

「ああ・・・始めに戻っといてくれ。俺は体を休ませながらゆっくりいくよ」

 

 

「しかたない。シャワーは始めに使わせてもらうぞ」

 

 

「ああ・・・了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナから橙色に塗装された更衣室にいき、ため息を吐きながら項垂れる。

 

この更衣室は本来女性用であり、こういう赤系統の色の壁や床はなんとも落ち着かない。一応言っとくが、女子更衣室にやましい事をしに来たわけではない

 

本来女性としか使用しない学園施設に男用の場所があるわけがないので、時間を区切り女生徒と同じ場所で使わせてもらっているだけだ

 

学園並びに千冬姉の許可は取ってあるので問題はない。

 

まあ、何と言うか元々豪華なうえ女性専用の場所特有の甘いにおいに正常な思春期男子として思うところもあるのだが・・・それはいいとしよう

 

むしろそこを追及すると俺の身が色々とやばいので深く考えない

 

 

それよりも問題はもっと別の話だ

 

俺は今日、箒に誘われクラス代表戦に向けISの特訓をしていた。箒は学園にある純日本製の量産機『打鉄』を使用して、俺は勿論白式でだ

 

お互い近距離戦タイプという事もあり、セシリアとの戦闘とはまた違った勝負となった。

中距離戦タイプのセシリアと近距離のみの俺では相性が悪く、初めはかなり一方的にやられていた

 

途中からは善戦できたと思うけど結局負けたし・・・

 

一方の箒との戦闘ではお互い刀と刀の斬りあいだ。正直オルコットよりもやりやすいのだが・・・

 

箒は中学で剣道女子の部全中王者で、俺はと言うと中学は帰宅部皆勤賞

むかしは俺の方が強かったと思うが今では圧倒されてしまう

 

ISは剣道と違い広いエリアをとびまわり相手をかく乱しながら戦うものだ。なので剣の腕が全てと言う事ではない

 

機動力なら白式は打鉄を圧倒してるといっていいだろう。そもそも第2世代の量産機と第3世代の専用機では埋められない差がある。

 

もしもこの2つが戦えば勝敗は明らか、仮に千冬姉レベルの操縦技量があれば話は別だろうけど、同じ素人同意が戦えば単純に機動力で圧倒する白式が勝つだろう。素人の俺でも分かる簡単な話だ

 

だが、問題がある。

 

なにぶん俺達2人は近接タイプ・・・というより刀で斬りあうしかできない2人なのだ

 

俺はそもそも雪片しか装備がない、箒は刀があくまでメイン装備でほかに銃とかもあるはずだが刀以外の装備を使おうとしない

 

そんな2人が戦えばどうなるか?空なんて飛ばずに地面で延々と斬りあうのである。そうすると機動力と言う武器がなくなった俺は剣の技量で勝る箒に一方的にボこられるのである。

 

 

不利なら俺の方が空を飛んでかく乱しながら戦えよと思うかもだが、俺だってそういう策をいくつかしたさ

 

でも、俺がいくらとびまわろうとも空を飛ぼうと挑発しようと箒はアリーナの中央から動かずにずっとかまえてるんだもん

 

箒の周りを高速で旋回しながら隙あらば斬りつけようとするも、箒は最小限の動きで常に俺の目前に刀を構える

 

いくらとびまわろうとも最終的に真正面からの斬りあいになるんじゃあ同じことだ

むしろ、動き回っている俺の方は疲労困憊、スタミナもすぐきれる

 

結果、先ほどのような光景になってしまうわけだ

 

 

「ハア・・・」

 

 

自分のふがいなさにため息が出る。負けたとはいえ代表候補生相手に善戦できたんだから、自分が強いんじゃないのかと、うぬぼれていたのかもな・・・

 

こんなんじゃ千冬姉を守るだの八兄に一人前と認めてもらうだのと言うのは夢のまた夢だ。セシリアに向かって啖呵を切ったのにこの体たらくはあまりに情けない

 

 

「‥‥‥っし!明日も頑張るかッ」

 

 

まあ、俺がふがいないのも情けないのも今に始まった事じゃない

そもそも周りがあまりに化け物ぞろいで、こんな事でいつまでも落ち込んでいたらやっていけないのである。

 

反省はする、でもいじけはしない。俺にできる事はひたすら前に進むことだけなんだし

 

自分の両頬に気合の入った平手をかまし、着替えに入る

 

まず、ぴったりと肌に張り付いた半袖のうえ、腹の部分が丸出しの上半身を脱いでいく。

 

どういう素材かは知らないがなんとなく水でぬれた水着のような感じで結構脱ぎにくい。もう少しどうにかならない物なのかね?

 

でも男の俺には分からないが女の方から見れば、このぴったりしたスーツはどんなに激しく動いても初めの位置から動かずに色々な物がはみ出る心配がなく結構好評らしい

 

・・・ほとんど女子だからと言ってそういう話はできれば俺がいない所でしてほしい

 

本当に話の内容がやばい時もあるし、何より次に会った時に凄い気まずいんだけど・・・

 

次に中途半端な長さのズボンの方に手をかける。実はこのぴったりズボンの中にはサポーター(野球のキャッチャーなんかが股間部分にいれるシールド)が内蔵されており大事な部分を守れるようになっている

 

ISの攻撃を受ければそんなもの意味ないだろうって?

 

生憎だが、別にこれは純粋な衝撃とかから守っているという訳ではない。詳しくは言えないが男の、いや、人間の尊厳を守っていてくれるなくてはならない大切な物なのだ

 

人は生命の危機に瀕したとき本能的に子孫を残すためある種の興奮状態に陥る。それは戦闘という明らか様な行為をしているISではより強くそれが形として現れるのである

 

それに、周りが全て女子でしかもみんな可愛くあんなほとんどスク水に靴下みたいな服装でいられれば色々とアレである

 

 

現に今だって疲れているからか俺のもう一人の相棒がそれなりの状態になっている。本当にこの機能がなければ俺は今日までに10回は死んでいたね(社会的にも現実的にも)

 

そんな下らない事を考えながらズボンを脱ぎ、変えの下着に手をかけようとする

 

すると、ロッカーの陰から人影が現れる。

 

平均身長よりだいぶ小さく、特徴的なツインテールに肩部分が切り取られてる改造されたIS学園の制服

 

それは、昼ぶりに会う幼馴染の少女であった

 

 

「お疲れ、いち‥‥…か……」

 

 

「‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の腕には真っ白なタオルと恐らくスポーツドリンクである若干白く濁った液体が入ったペットボトルを抱えている

 

ロッカーの角から俺の正面に現れた彼女と俺は、お互いの姿を視認した途端動きを止める

 

方や着替え中で全裸(一部R18指定)の男と、方や男がいる更衣室に無断で入ってきた幼馴染の女の子

 

両者は動きを止めるも段々と顔色が変わっていく。

 

一方の少女は頬がどんどん赤くなり今や顔中が熟れたトマトのように真っ赤になり

 

もう一人は対照的に顔はだんだんと青くなりいっそ白くなりつつある

 

 

そんな対照的な顔色の2人が無言で見つめ合い数秒

 

といっても本人達としてはこの数秒が遥かに長く数十秒数分数時間に感じたという

 

さらに見つめ合うと言えど両者は互いに目を合わせているわけではなく

 

男は少女を全体的にとらえ

 

少女は男のある一部分を凝視している

 

そしてついに気まずい沈黙は破られる

 

 

「‥‥‥お、おちつけ!り―――――――」

 

 

「‥‥‥き、キャアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアア―――――ッッ!!」

 

 

少年のすがるような声が放たれると同時に、少女はこれでもかというほどの声量で悲鳴を上げ、てに持つタオルとペットボトルを少年めがけて投げつけた

 

タオルは円を描き地面に落ちるも狙いをつけずに放たれたペットボトルはそのまま飛んであろうことか少年の男の弱点部分にクリンヒット

 

 

「~~~~~~ッ!?!?!?」

 

 

哀れ、少年は言葉にならない悲鳴を上げそのまま地面に悶え倒れた

 

400mlほどの液体が入ったペットボトルが全力投球された末路がこれである

 

少女はそのまま倒れた少年に目もくれず真っ赤な顔で走り去る。その瞳には一粒の涙が流れる

 

少年は地面に倒れたまま時折ビクリ、ビクリと体がはねるも悶絶したまま動かない。その頬には一線の水跡が残る

 

 

 

この誰も救われない事件には誰一人の加害者はいない。いるのはただ、二人の哀れな被害者だけである

 


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