比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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もうなんか誰だこれ?状態ですが気にせず見てください

とうとう無人機との戦闘です。戦闘シーンとか苦手なので何か違和感がありましたらご意見お願いします

そして、次回はなんとお待ちかねのあの人も登場しますよ~

では本編どうぞ




IS 転校生は幼馴染 10

今日はクラス代表戦当日

 

そのため、1年の生徒は皆アリーナにて試合を見るため待機している。

 

そうつまり今日は、合法的にずる休みができる日という事だ。本来ならこの試合を通し、代表者は自身と周りの力比べ、観衆は先達者の動きを見てこれからに生かすという目的がある

 

なので、1年は皆強制参加を義務づけられている。

 

 

それでも休めむ時には意地でも休むのが俺である。

 

という訳で今俺はIS学園内にある雑木林で日向ぼっこをしている。

今頃一夏は1組の代表として奮闘でもしているころだろう。そんな弟の姿を脳裏に想像させ透き通るような青空に目を向ける

 

すると、空にはなにやら影が生じ段々と近づいてきているように思う。

 

始めは鳥かなんかかと思ったがシルエット的に違う。しかもその影は2つ

 

一つは、全身真っ黒な人のような形をしており真っ直ぐに落ちていく。あの方角はアリーナの方か

 

そしてもう一つはこちらの方向に向かいどんどんやってくるような・・・

 

真上までやってきてようやく影の姿がはっきりとわかる。あれは――――――

 

 

「・・・人参?」

 

 

地面を揺らす振動に巻き起こる土煙。

 

煙の先には地面に突き刺さる巨大人参のような物があった

 

今日の天気は晴れ時々人参だったけ・・・?

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

八幡が巨大人参と遭遇する少し前、クラス代表戦が行われているアリーナでは1組と2組の代表戦が始まろうとしている

 

両者共に専用機を保持している事と、一人は中国の代表候補生、一人は世界に2人しかいないISを動かせる男性操縦者であることも話題を呼び

 

このアリーナの観客席は異様な盛り上がりを見せている。

全員女子という事もあり、噂は噂を呼び2人の様々な情報が飛び交う

 

どちらが勝つか、こちらの方が有利だとか、日本の手がけた機体と中国の機体どちらが優れているだとかなどなど・・・

 

憶測、予想をたて今か今かと試合が始まるのを待っている

 

しかし、

 

 

観客の盛り上がりとは打って変わり本人達のテンションは非常に低い

 

すでにアリーナ中央にて待機している鈴の目元は酷いクマができており顔色も悪い。

それもそのはず、なんせあの『一夏ポロリ事件』があった日より今日まで睡眠はおろか碌に食事もとれていない状況が続いている

 

現在のコンディションは同室のティナ・ハミルトンに試合に出るより病院に行けとまで言われるレベルで最悪と言っていいだろう

 

ただ、鈴はどうしてもこの試合に出なくてはいけない理由があり不調だと言っても頑張って試合に臨むほかない

 

 

(ああ・・・気分悪い。でも頑張んなきゃ、結局一夏が誤解してるまま今日まで来ちゃったし・・・それに、あの事も謝んなきゃだし―――――~~~ッ!)

 

 

鈴がこの試合に臨む理由、それは一夏のしている鈴には好きな人がいるという誤解をいい加減に解くためである。

 

なんやかんやこの1週間顔を合わせる事が出来なく、一夏の事を避けていたため今だ誤解は健在

 

仮に鈴が1組なら嫌が負うにも顔を合わせるので、話す機会もあっただろうが残念なことに彼女は2組で、避けようと思えば一日中顔を合わせないことぐらいできるのだ

 

ちなみに、鈴はいまだにあの時の事を思い出すと顔が赤面し恥じらいを見せている様子で、人によっては初々しくも感じる乙女な姿である

 

しかし、そんな事を知らない彼女のルームメイトは突然顔を赤らめ首を左右に振る彼女の姿を見て心配を募らせているのであった

 

 

 

そしてもう一方、こちらはいっそ鈴より状態が悪い。

 

あの『2年ぶりにあった幼馴染の女子にあられもない姿を目撃され、男の尊厳に関わる重大なダメージを心身共に受けた事件』と『なぜか実の兄に股間を蹴られ朝まで放置された事件』の後に残った後遺症が思いの他酷いのである

 

まずは軽い記憶障害、あの衝撃的な事件の翌日に発見された一夏は、放課後から目を覚ますまでの記憶の一部を損失していた

 

主に、箒との模擬戦より後の記憶とかがすっぽりなくなっている

 

故に何があり自分が寮の廊下で寝ていたのかが分からず、さらに同室の箒も翌朝布団でぐるぐる巻きにされた状態で発見されたため寮の中はちょっとした事件騒ぎになっていた

 

皆困惑していたが、目元にクマを作った不機嫌度MAXの織斑先生の一喝により騒ぎは沈静化したのである

 

そんな中目覚めた一夏の状態は悲惨と言ってもいい物だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『相手の機体は甲龍、織斑君と同じ近接戦闘型のISです』

 

 

白式のスピーカ越しから聞こえる山田先生の声に合わせ目の前に目の前のディスプレイに目をとおす。

 

相手の機体性能などを頭に入れていると、隣の方から声がかけられる。

 

 

「いいか一夏!固くなるな、練習と同じようになれば勝てる相手だ」

 

 

クラスメイトであり幼馴染の篠ノ乃 箒からの激励だ。内容はともあれ人からの声援というのは、力になるし心強い

 

そんな、彼女に俺は優しく微笑みかけ一言

 

 

「・・・箒さん、物事の本質とは勝ち負けではありません。大切なのは自分を制する事です。己を高め常に精進する。そうして初めて人は一歩先に進めるのです」

 

 

「‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

これが、あの日を境に織斑 一夏に起きた後遺症である。

目覚めた彼はなんというかつきものが落ちたような、悟りを開いたような感じになっている。

 

それ以後、なんだかお坊さんや賢者みたいな事を言うようになり、そのあまりの変わりっぷりに1組は大いに混乱していた

 

その変わりようは、朝5時に目覚め部屋と寮の廊下を掃除しその後朝食までの間に精神統一として座禅を組み

 

食事のときは、恵みを与えてくれた自然、作物を育てた人々、食事を作ってくれた人に感謝しながら手を合わせ、食事が終わり食器を返すときには作ってくれた人に感謝の意を伝え一礼

 

夜には、学校の勉強、自主トレ、そして精神統一をした後夜9時には必ず布団の中にいる。そんな生活をこの1週間しているのである

 

 

 

 

 

 

「・・・その、まだ治らないのか?」

 

 

「箒さん、治るも何もこれが本来の私なのです・・・・・・以前と比べると確かに変わっているでしょうがこれも私なのです。不思議と今は一切の邪念を捨て去ったような清々しさすら感じています」

 

 

フフフと笑みを浮かべる一夏に対して、箒は額に手をやり頭を抱えている

 

 

「その、なんだ・・・頑張れよ一夏・・・」

 

 

「ええ、私にできる最善を務めます。それでは行ってきます箒さん」

 

 

「‥‥‥」

 

 

箒は飛び立つ一夏の見送った後、盛大にため息を吐き、もう一度頭を抱えるのであった。

 

 

 

 

 

 

その後の2人の試合は、セシリア戦と打って変わりガンガン攻めようぜのスタイルを捨てた一夏が冷静に刃を振るい

 

鈴は、一夏の顔をまだ直視できず言葉すら交わせておらず、体調不良も重なり彼女本来の戦闘スタイルが取れずにいた。さらに覇気も感じられない

 

そんななんやで2人の試合は特に見せ場もなく粛々と進行していった

 

 

 

 

試合も終盤に入りお互いのエネルギーも半分を切っている。戦況は衝撃砲を展開する鈴がやや優勢という感じだ。

 

ただし、一撃必殺がある白式相手に調子の乗らない鈴は攻めあぐねっている。

 

衝撃砲で牽制しながら距離を維持する鈴に、イグニッションブーストをだす機会をうかがい慎重になっている一夏。今や試合は消耗戦の体をなしていた

 

すると突如として紫色の閃光がアリーナのシールドを突破し地面に大穴を開け黒煙を巻き上げる

 

 

「!いったい何!?」

 

 

「くっ・・・これはっ」

 

 

戦闘をしていた鈴と一夏は爆炎の衝撃で、吹き飛ばされた体を機体制御で制し爆発の起こった場所に目を向ける

 

突然の事でほかの観客達は何が何やらという感で唖然と爆心地を凝視し、管制室にいた織斑先生、山田先生、箒の3人も一瞬反応が遅れてしまう

 

だが、まじかでその衝撃を受けた一夏はいち早くこの事態に考えをめぐらし答えを導き出す

 

 

「これはっ・・・敵襲!!」

 

 

燃え盛る炎、砕け散る大地、巻き起こる黒煙、その中央に立つ黒き異形なるISを一夏はその目に捉える

 

 

「鈴さん!試合は一時中断です」

 

 

「ええ分かってるわ・・・ていうか鈴さん!?」

 

 

今日初めて言葉を交わした一夏の喋り方や呼び名に驚き声を上げ

 

 

「来ますよ!」

 

 

「え?‥うお!?」

 

 

そんな2人向け放たれた紫色のビームが押し寄せる

 

紙一重で躱すもその圧倒的な威力に戦慄を覚え、細かい事はとりあえず後にすると意識を切り替えた

 

 

「何なのよあいつ!?」

 

 

「所属不明のIS、桁違いの火力を持っており私達に敵対している。というくらいしか今のところ分かりません」

 

 

「とりあえず敵って事ね‥‥‥‥‥やっぱりあんた喋り方おかしいわよ!?」

 

 

鈴は、どうしようもない違和感を感じ切り替えた意識を若干戻す。

この異常事態に妙に冷静だったりと今の一夏には、違和感しか感じられないので仕方がないである

 

 

「そんな事より」

 

 

「そんな事ってあんたね・・・」

 

 

「どうやらあのISの狙いは私にあるようです。先ほどあのISにロックされました」

 

 

「!!」

 

 

自分にとっては結構重要な事なのだが、一夏の一言を聞き今度こそ意識を完全に切り替える

 

 

「とりあえず話しかけてみる?・・・所属不明って時点で無駄だと思うけど」

 

 

「と申されましても、計2度のビーム攻撃それもアリーナのシールドを容易に破壊する威力です。初めから敵対の意志しか感じませんが・・・」

 

 

「でしょうね。でも時間稼ぎくらいにはなるんじゃないの。そうすれば学園側も応援をよこすだろうし」

 

 

「ですね。・・・そこのISの方!私達に敵意はありません。何が目的かは分かりませんが話し合いで解決しませんか!」

 

 

「なんでそんな丁寧に聞いてんのよ!」

 

 

だが、相手側からの返答は勿論なく代わりに特大のビーム砲が襲ってきた

 

一夏と鈴はそれぞれ上空に加速しながらそれを回避する

 

 

「やっぱり駄目みたいね・・・」

 

 

すると管制室の山田先生より通信が入る

 

 

『織斑君、鳳さん!今すぐ非難してください。すぐに先生方が制圧に向かいます!』

 

 

「・・・申し訳ありませんがその要請を承諾することはできません」

 

 

『な!?』

 

 

「あのISの狙いは私です。ここで私が逃げれば被害が拡大します。せめて非難が終わるまで何とかくい止めます」

 

 

『そ、それはそうですけど・・・でも!』

 

 

一夏は、山田先生の通信を切り隣にいる鈴に目を向ける

 

 

「そういう事なので鈴さんは始めに退避を―――」

 

 

「誰に言ってんのよ。私も残るわよ。何よりあんたには色々と言わなきゃいけないことがあるんだし」

 

 

「・・・ありがとうございます。!っ来ますよ!」

 

 

そんな2人の会話を邪魔するようにまたも紫色の閃光が駆け抜ける

 

 

「行くわよ一夏!」

 

 

「ええ!参ります!」

 

 

ここに異形のISと鈴、一夏(賢者モード)の戦いの火ぶたが切って落とされる

 

 


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