「納得がいきません!そのような選出は断じて認められません!」
声の主は皆さまおなじみのチョロコッ・・・いや、オルコットである。さっきの煽りが相当聞いてるのかその声は怒気と棘まみれで、あたりの生徒を軽くドン引きさせていたが、本人はそんなの関係なしに声を張り上げ講義をつづける。
俺が言うのもなんだが、そんなんで友達できるのかね、こいつ?
「男がクラス代表なんていい恥さらしもいいところですわ!それもそのような粗暴極まりない礼儀の一つも知らない人間だなんて論外もはなはだしい!」
一指し指をピンと突き立て教壇の前、つまりは俺達の方をさす
「そのような屈辱を1年間味わうなど我慢なりません!大体、文化としても後進的な国で暮らすこと自体わたくしにとっては耐え難い苦痛だというのに!」
腕を上下に振り、力拳を作りながら力説するオルコットは、すでに周りの事など頭にないようである事ない事をくちばしっている。
このまま止めもせず放置しとけば、国際問題的に学園から強制退去されるか、そうでなくても友人関係とかで学園中からリセットされそうな勢いだが言われっぱなしというのもなんだか尺である。
高校時代千葉愛をかがげ、詐欺師になってからは日本の各地を回り時にはどこぞの大層立派な神社に初もうでに行き、2月になれば恋する乙女たちに効きもしないお呪いを売買し、花見の席では多くの酔っ払いから財布をすり抜き、某王手企業を罠にはめ金をむしり取り、夏場は浮かれている連中をカモり、おかしな宗教団体を道すがら壊滅させ、秋には紅葉を見ながら風流を楽しみ、冬はこたつで丸くなる
そんなこんなで日本LOVEをもっとうにする俺の前で堂々と日本ディスるなんぞいい度胸だ
‥‥‥‥‥よろしいならば戦争だ
「おいおい、日本が後進的とは言ってくれるな」
オルコットの方に向き直りながらおもむろに立ち上がる
そんな俺にオルコットは軽く鼻を鳴らしなおも暴言を続ける
「あらなにか問題でも?わたくしはただ本当の事を言っただけですのよ」
「ハン、そりゃあ随分と節穴の目をしてるこったな。つーか、イギリスは人の事いえんのかよ」
「お生憎様、我がイギリスは――――――」
「食文化が後進的なメシマズ大国」
オルコットの言葉を遮るように言った俺の一言にあからさまに機嫌を悪くしたようで、眼はつりあがり顔は怒りで真っ赤、肩を小刻みに震わせながら睨み付けてくる
「おいしい料理もたくさんありますわ!あなたわたくしの祖国を愚弄するつもりですか!!」
そもそも日本をディスって来てるのそっちなのに何言ってんだこいつ?
「こちとら別にうまい料理なんざ聞いてないんだよ。まずい飯がどんだけあるか言ってみるよ。それでもし、仮にも、万がいい一、いや億が一にでもうまい料理の方が多いっていうんなら土下座でもなんでもしてやらー」
「言ってくれますわね‥‥‥‥」
そういうとオルコットは手を顎につけ考え始める。しかし、初め真っ赤だった顔色はすぐに肌色、青色と変わりははてついには
「‥‥‥…いいでしょう、ならば決闘ですわ!」
額や頬やらに汗をにじませ人差し指をピーンと立てながら、なぜか決闘宣言をし始めた。というか
「うまいほうが少なかったのかよ」
「お黙りなさい!いいから私と決闘しなさいですわ!!」
あれだな考えたもののメシマズの方が多かったんだな。それで有耶無耶・・・というか勢いだけで決闘だの言ってる感じか‥‥子供か!
「確かに四の五の言うより実力で分からせた方が分かりやすくはあるな」
「フンッ、わざと負けるような事があったらわたくしのこま使い、いいえ奴隷にしますわよ!」
まあ、あれだな今まで話をしている限りこのセシリア・オルコットは随分と幼稚であると言える。自分より立場の弱い者に対する高圧的な態度、簡単な挑発にものるちょろさ、少しいい気にさせればどこまでも付け上がる傲慢さ、立場が悪くなると有無を言わさず自分の土俵で勝負を持ち掛ける自己中さ
さらにこの現代社会において奴隷などと言う人権侵害発言を平気で言うところ‥‥推定年齢小学2~4年くらいと見た。
こういう相手は討論でいくら負かそうと自分の負けを認めず、最終的に力ずくで負けを認めさせないと納得しないタイプなんだよな‥‥
そういう意味では決闘というのは実に効果的な方法であるといえる。スマートではないが力ずくでねじ伏せればいい訳の仕様もなく負けを認めるだろうし、なにより本人からの提案と言うのがいい
これで相手は逃げも隠れもできない上、表面上は正々堂々戦わなくては体面が守られないため卑怯なてや奇襲をしてくる可能性が限りなく少ない。実際の実力差がどうであれ、真正面から馬鹿正直にやってくる相手にこの俺が負けることなぞありはしない。
勝てる勝負をわざわざ断る必要もない
「よろしくて、では―――――」
「だが断る」
「な!?この期に及んで逃げるつもりですかの!」
「この比企谷・・・あ、間違えた‥‥この織斑 八幡の最も好きな事の一つは自分で優位に立っていると思っている奴に『NO』と断ってやることだ」
オルコットはすでに口をパクパクとさせて次の句を言えないくらいに放心状態となっている。
うむ、いついかなる世界でもこの言葉は効力を発揮するらしいな流石としか言いようがないな。