放課後、教室で。待ってるから。
いつもとは違う、どこか緊張を帯びた硬い文面で私はコハルちゃんに招かれました。
夕暮れの補習授業部の教室で、待ち合わせには少し早い時間ですが着いてしまったものは仕方ありません。
気ままに、ゆったりと待つことにしました。
窓から差し込む夕日と優しく撫でる風が心地よくて、ふと目線を窓辺に向けてしまいます。
見える景色は色鮮やかで。あの頃の私には、きっと受け取ることができない感性で。
「ふふっ。」
思わず笑みがこぼれてしまいました。
エデン条約前は、改めて学園生活を楽しく送ることができるとは思っていませんでした。
政治的な関わりや、私の能力を狙った勧誘がゼロになった訳ではありませんが、過ごしやすくはなりました。
「…これも、コハルちゃん達や先生のおかげ、なんでしょうね。」
次は何をしよう。新しい趣味を見つけるのも良いかもしれません。みんなと一緒にできることはなんでしょうか。
そんなことを考えながら私は待ち合わせ時間まで待ちました。
「…あ、ハナコ。先に来てたのね。」
しばらくして、コハルちゃんが顔を出しました。ですが、目線が合わず、いつもよりどこかよそよそしい。
コハルちゃんらしくない。そう感じました。
少しだけたわいのないお話をしましたが、どこか上の空で、心ここに在らずというような感じで。
「…ハナコに伝えたい事が、あるの。」
一呼吸置いて、コハルちゃんは意を決したように私を見つめて、そう言いました。
「あら…もしかして、愛の告白ですかコハルちゃん…///」
いつものようにからかうつもりが。
「…うん。」
「……ぇ?」
帰ってきた返答は、からかおうと思っていた内容そのままで。
「あ、あの。ハナコのこと、えっと、好き……なの。友達じゃなくて、こ、恋人として!!」
「だから、その。」
「私と付き合ってくださいっ!!」
…そういえば。
夕日で分かりにくかったですが、ほんのりと赤らんでいる頬。
覚悟を決めて、私に向き合うという意思。
放課後の教室という絶好のシチュエーション。
最近、下ネタへの反応がワンテンポ遅れていたような。
帰り道に2人きりで寄り道した時、どこか緊張していたような。
触れ合った時の反応。
微笑んだ時の反応。
エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ。
それらを照らしあわせれば、浮かんでくるのは当然。
ぼふん。
一瞬にして、体温が上昇するのを感じて。
「え、えっ……」
思わず、みっともない返答をしてしまうのでした。