【完結】ハナコとコハルが結ばれるまで   作:わさべ。

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事務作業をこなして、一息ついた頃。コハルが正義実現委員会の教室に顔をだした。

 

「…おや、コハル。…どうかしましたか?」

 

「あ、ハスミ先輩、ツルギ先輩。」

 

一瞬だけ嬉しそうな顔を浮かべて、すぐに何かを悩むような表情に変わる。

 

「…何か悩み事か?私がコハルの力になれるのなら喜んで力になろう。」

 

それを見逃さず、ツルギはすかさず助け舟を出した。…こういう細かな気遣いができるのはやはり流石と言わざるをえないですね。

 

「えぇ、私も同じ考えですコハル。良ければ私たちに相談してくれませんか?」

 

書き上げた書類をまとめて、コハルの方に向き直る。一瞬躊躇った素振りを見せたあと。

 

「…あの、えっと。実は、好きな人がいて…」

 

「…ケ……?」

 

「…ん?」

 

とんでもない発言が飛び出した。

 

「でも、何を伝えたらいいかわからなくて…」

 

「………」

 

「…ふふっ。」

 

自分から聞いた手前、逃げ出せないのだろうツルギの反応。目線だけでこちらを見て、酷く動揺しているのがわかってしまって。思わず笑ってしまう。

 

「…あ、えっと。」

 

「コハルに、想い人ができたなんてなんだか嬉しいですね。…紅茶入れて、ゆっくりお話しましょうか。」

 

笑ってしまったことを何とか誤魔化して、そうコハルに伝えたあと、ツルギにも手伝うように声をかけてその場から連れ出す。

 

裏手のキッチンにツルギと一緒に入った後。

 

「き、きええええええっ!!」

 

ツルギが発狂した。壁に突っ込んで行きそうなのを直前で食い止める。

 

「よく耐えましたツルギ…!!」

 

「こ、コハルが、恋する乙女の顔を…!!きええええ!!」

 

わなわなと震えて、頭を掻きむしるツルギ。

 

コハルとの付き合いは長い訳では無いが、それでもあの初々しかったコハルが…!!という感情は抑えきれない。

 

「…今なら、仕事が入ったことにしてこの場を離れることができますよ。」

 

「…こ、コハルの前でああ言ってしまったんだ。…に、逃げる訳には……き、きき!!」

 

「しっかり落ち着いてコハルに助言できますか…?」

 

「…ぜ、善処する。」

 

少し不安になりながらも、ちょっとしたお茶会の準備を進めて。

 

 

「…あ、このお菓子、おいしいです…!!」

 

「ふふ、よかったです。私のお気に入りのクッキーですから。」

 

 

一息ついたところで。

 

「…何を伝えたら良いか、だったか?」

 

ツルギが本題に入る。

 

「…は、はい。」

 

背筋がピン伸びて、しっかりとツルギの瞳を見つめて真剣に聞く姿勢になっているコハル。……普段の目を離せないちょっとした危うさが、今のコハルにはなかった。

 

「コハルの素直な気持ちを伝えるのが1番じゃないか?」

 

「嘘偽りのない、真っ直ぐな気持ち。」

 

「それが伝わりさえすれば、相手も真剣に考えてくれるだろうな。コハルのことを思っている相手なら尚更だ。」

 

いつもとは違う、自然な笑みを浮かべてツルギはそう言った。

 

「ツルギの言う通りです。…それに、我がトリニティでは回りくどい言い回しが多いのもありますので。……もしかしたら、意外と押しに弱いかもしれませんよ?」

 

「…はいっ!!」

 

…憧れ、とも言えるツルギからのアドバイス。きっとコハルはこのアドバイスを活かして告白をするのだろう。

 

「…あとは……そうだな。シチュエーション。…ベタだが、黄昏時の教室に呼び出してしまえばいい。」

 

ツルギはイタズラ企む時の子供のような表情でさらに続けて。

 

「よっぽどの朴念仁でなければ、向こうも意識するだろうな。…そこで愛の告白、だ。」

 

きっと、呼ばれた相手は様々な思考をめぐらせて。……なんて、私も胸がときめいてしまいますね。

 

「抑えきれない衝動を、思いっきりぶつけてやれ。私が鎮圧する時のようににな…きへへ……!!」

 

「…ところで、お相手は何方なのですか?」

 

「…ハナコ。…改めて、口にすると恥ずかしい……うぅ…」

 

浦和ハナコ。トリニティ随一の才媛。彼女を引き入れるために様々な派閥が権力を行使するほど。

 

「…浦和ハナコか。」

 

「彼女はきっと、トリニティにいる限りは我々正義実現委員会含めた各派閥からの影響は免れないだろう。コハル、お前も巻き込まれることになるだろう。」

 

「それでも、浦和ハナコ。…彼女の隣に立つんだな?」

 

「…はい。」

 

「そうか。」

 

その反応を見たツルギは満足そうに頷いてコハルに近づく。

 

「厳しいことを言ってすまなかった。コハル。……応援しているぞ。頑張れ。」

 

ツルギは優しく、頭を撫でて。普段では考えられない優しい笑みを浮かべていて。

 

「ありがとうございました!!ツルギ先輩、ハスミ先輩!!紅茶とお菓子もご馳走様でした!!」

 

「私も心から応援してますよ。」

 

大きくお辞儀をして、走り去っていった。

 

「…見違えましたよツルギ。まさか本当に落ち着いて対処できるとは。…それに良いアドバイスでした。……流石ラブコメが好きなだけありますね。」

 

「………。」

 

「……?ツルギ…?どうかしましたか……?」

 

白目を向いて、口から魂のようなものが抜け出していて。

 

「……気絶してます!?…ツルギ!!し、しっかり!?……きゅ、救護騎士団!!」

 

その後、ツルギは救護騎士団に運ばれていきました。調印式の時よりも、重症なようで。

 

…少しの間、トリニティ内ではツルギを暫く再起不能にさせた生徒がいる、という噂が広まってしまいました。

 

 

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