【速報】朝チュンしちゃったニヤニヤ幼女がワルモノだった。俺、どーすんの?【助けて】 作:群缶
ニヤニヤ教授に負けたいので初投稿です。
世界は『ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」』と同じで、別視点の話とかあります。
そして、初回は砂糖マシマシでお送ります。
絵師様からめちゃくちゃに可愛いニヤニヤ教授の挿絵をいただいたので、そちらも合わせて楽しんで欲しいです。
では、本編をどーぞ!!
「……」
チュン、チュン。
耳に入ってくるのは鳥のさえずり。
穏やかで清々しい朝を告げる、自然のアラームに瞼を開けば見慣れた自室の白い天井が映る。
チラリと横に目を向ければ、そこには“07:00”と24時間表記で表示されたデジタル時計。
今日も今日とて
そんな思いと共に意識がはっきりとして。体の違和感に気づく。
「ぅあ……?」
妙に気怠げな身体と、どんよりとした空気。
爽やかな朝には似つかわしくない部屋を充満する青臭い……どこか身近に感じたことがある匂い。
ガンガンと痛む頭に自然と手を当てようとして……右手にふわっとした感触。
こんなにも手触りの良い毛布など、持っていただろうか。ぽわぽわとした思考と、頭痛で不調な状況で視線を時計から反対の方向に向けて見れば。
「すぅ……ん……すぅ……」
「————は?」
朝の日差しを受けて、より一層輝く金の糸をまとめたような美しい髪。
きゅっとシーツを掴む小さい手と、甘い寝息。
ほんのり汗ばんだ頬に、安心しきった隙だらけで幼い寝顔。そこにはちょっぴりの疲労が伺える。
で、そんな女の子が“生まれたままの姿”で俺の横に寝ているわけだが。
俯瞰的に見るのならば。この少女が“誰か”とかは一度忘れて、ただ状況だけを整理して合理的に結論を導き出すなら。
「あ、朝チュンというやつ……?」
ドラマだとか、恋愛漫画なんかで恋仲のふたりが最終的に結ばれて……肉体的にも結ばれたシーンを描写する際の俗語。
うん。性に忠実な男子高校生や、恋にキュンとする女子高校生なら、きっと一度は好きな相手をイメージして、夢見るシチュエーションだろう。
好きな相手、とならだ。そして、それはあくまで妄想の話。
「ぁん……すぅ……」
「…………えぇ?」
さて。再び、ここまでに今の自分の視点で認識した事のおさらいだ。この状況は間違いなく“朝チュン”というヤツ。
でも、推定で俺と寝た……というか、“抱いてしまった”かもしれないこの金髪ロリは、恋仲だとか秘めた想いを持った相手なんてことはなく。
文字通りの天敵であり、自分とは相容れない立派な悪の教授ということ。
「なんでぇ……?」
思わず顔を押さえて、情けない声が口から溢れる。ガンガンと痛む頭に広がるのは、昨日までの記憶。
自分の記憶力には絶対とも言える自信がある。けれど、“全く記憶にない”ことに愕然とする。
生まれて初めての経験であり、何重にも重なった大きな大きな不安が胸を占め、責任の2文字がどっぷりと背中に汗を流す。
だが、それよりも。今の俺を焦らせ、現実逃避させている理由は。
「う、嘘だ……俺が、俺がコイツと……!?」
仮にも探偵を名乗っている自分が、“犯罪界のマスター”なんて呼ばれている悪の親玉と、(どんな理由や真相があるとしても)一夜を明かしてしまったという真実。
途方もない後悔と、必死に見て見ぬ振りをしている羞恥の感情。
でもって、たった一瞬でもこの性悪ほむほむ女の寝顔を……自然と可愛いな、なんて思ってしまった自分への嫌悪感。
「ん……ぁ……」
コイツが初めて見せた一切の警戒心がない、年相応の少女の顔。俺の腕をそっと抱いて、身じろぎする小動物のようなしぐさ。
口を開けば子生意気で、やたらと難しく理解できないような言葉でバカにしてくる“教授”の姿はここになく。
まるで親しい相手に甘えるように、すりすりと頬をくっつけてくる“元助手”であり、今は“宿敵”であるはずの女の子。
それを見て胸に渦巻く、非常に複雑な心情でひとり悶えたり、苦悶の声をあげていると。
「ふふ」
小さな……とても小さな笑い声が耳に入ってくる。どこか、からかうような色が込められた声の元は……もちろん真横。
引き攣る顔の筋肉。プルプル震えていたはずの身体がピシリと固まる。
ギギギ……そんな壊れた歯車のような効果音が聞こえそうなほど、ぎこちない動きで顔を寝ているはずの少女の方へと向ければ。
「おやおや。随分と苦悶の表情ですね」
「おおおま、お前いつから……!?」
「ほむ」
割と聴き慣れてしまった、彼女が何かを考え込むときの口癖。
その声を聞くときは大抵はろくでもないことに巻き込まれるか、酷い悪巧みをしているとき。
今回も例に漏れることはなく。意地の悪いニヤついた笑みを浮かべ、こちらの一挙一動を値踏みするように視線を動かして。
「そうですねぇ」
「うぉ……!?」
前触れもなく、スーッと俺の胸板をくすぐったいほどの絶妙な力加減で撫でて、より一層にニヤついた笑みを深めて。
「“いつから”、というのはどこを指すのでしょうか」
「それは、ユウキさんが不機嫌そうに目覚めてから、私を見て取り乱したとき?」
「それとも、私の寝顔に見惚れて顔を赤らめていたときでしょうか」
どんどんと笑みを深くし、指を一本ずつあげてこっちの事情を全て明るみに晒していく教授は、憎らしいほどに愉しげで。
一方で俺は、全てを見られていたことを本人から口に出されて、顔を赤くしたり青くしたりと大忙し。
何が楽しいのか、はたまた嬉しいのか。出会ってから今日に至るまで、初めて見るレベルでのご機嫌そうな教授は、“いつから”という問いに対するもうひとつの可能性を示す。
「もしくは、ですが。————昨晩の激しくも甘い、“蜜月の行為”に対しての問いかけでしたか?」
わざとらしく頬を染めながら、潤んだ瞳で上目遣い。そんな顔で出てくる言葉は、まるで無垢の少女が知ってしまった性の色を恥ずかしげに告白するよう。
けれど、この性悪女がそんな
絶対にこれは故意的なもので、コイツにからかわれるのは不本意ながらも慣れている。ゆえに、これが平常運転の俺ならば難無くスルー可能だ。
そう、平常ならね。
「……………………う」
「ほむ?」
「ウソだ……! 俺がこんな性悪と……? 絶対にウソだ……!」
「ふふ。事実から目を背けるとは貴方らしくない。ああ、それと……今日は“俺”なんですね?」
「こんな時まで探偵の皮なんて被ってられねぇよ!?」
依頼人や先生たちの前ならともかく、今さら教授の前で仮面をつける必要なんてない。それに、つけたところで内情を知っているコイツはゲラゲラ笑ってバカにしてくるだけだ。
というか、今重要なのはそんなことじゃない。目を、思考を向けるべきなのはこの状況。
「ありえないありえないありえない……!!」
「動揺していますね。本当に貴方らしくない……ええ、実に愉快です」
「そもそも俺が覚えてないのがおかしいんだ! 絶対に何かトリックがあるはず————」
「ああ。原因はソレですよ、ソレ」
指差す先に目を向ければ、空になったレモンと氷が描かれた少し大きい缶が。ソレを見てゾッとして察する。
「飲ませたな!?」
「いえ? 私はただ、喉が渇いていたユウキさんの手元に置いただけ。ろくに考えもせず、よそ見をして飲んだ人はいたようですが」
「オメェのせいじゃねぇか!!」
極端にアルコールに弱く、ほんの一滴でも摂取すれば意識がなくなる。こればっかりは俺の生まれついての体質だから、仕方がないことなんだけど。
その弱みをコイツに知られたことが大きな問題なのだ。実際、こういう状況になっているわけで……って、それなら。
「なんだ……なら、これは悪趣味な悪戯だな?」
「……はい?」
助手として俺のことを探っていた時から、幾度となく悪趣味な悪戯を仕掛けてきたことを思い出し、今回の一件もそういうことなのだと納得する。
ただ、イヤに手が込んでいるし、冗談にしてはあまりにもタチが悪い。お互いの立場を考えれば、これは行き過ぎなものだ。
決して相容れない関係。悪の教授である彼女と正義の立場にある(と思っている)俺が、一夜の過ちを犯してしまったとなれば……うん、クロノスにバレたらとんでもないことになる。
「はぁ……。なんだよ、マジで焦った……」
「………………」
「どーせこの匂いとか、シーツの乱れ、あとお前のその格好も仕込みだろ。仮にも淑女なんだから————」
むにゅ。
「少しは気品というものを……“むにゅ”?」
ため息とともに天敵であるはずの教授に、説教めいた言葉を口にしている中で手に不思議な感触。
はて。何処か覚えのある小さくももっちりとした柔いもの。餅というには柔らかすぎる。
あと手のひらの中央に感じる硬い突起のようなものもなんだろう、なんて一瞬の思考の後に視線をそちらに向けて。
しっかりと教授の胸に固定された自分の手が視界に入る。
「!!!!????」
「ずいぶんと酷い顔ですね。とてもではないですが、紳士とは思えません」
「何をしてくれてんだ!? というかこれほんとに裸ッ!?」
「ほむ? 何を当たり前のことを。そんなに信じられないのならば……下も見ますか」
シーツをつまんでそっと持ち上げる教授。めくれた白い布の先には、汗ばんだ腹部とその先がうっすらと見えかけて————。
「ふんっ!!」
「おや」
言葉より先に手でシーツを力任せに閉じさせる。なんというか、絶対に見ちゃいけない危機感を覚えた。
こう、戻れなくなる? ような予感と、記憶にない自分がやらかした【過ち】を自覚してしまう気がしたのだ。
「どうしたのですか、急に」
「どうしたもこうしたも、急に何してるの??」
「ほむ?」
「ほむ、じゃないが」
焦っている俺、それを心底不思議そうな顔で見つめてくる教授。なんか、こっちだけが振り回されてないか?
今、自分が何をしようとしたのか、それを言語化して説教しようとしたとき。
「今さら何を焦っているのですか。すでに“契りを交わした”のに裸程度で」
「………………………」
「ふふ。表情が抜け落ちる、とは今の貴方のことを言うのでしょうね」
契りを交わした。過去形となったこの言葉を聞いて、脳みそが活動を停止した。
教授の言った契りという言葉には多くの意味があるけれど。
朝のベッドの上で、裸の男女がふたりきり。
シーツには赤いシミ、青臭い匂いが立ちこめた空間。
これらの状況証拠で導き出される答えは。
愕然とした俺を悪戯っ子のような、少し幼さを覚える笑みで見つめてきた教授は。
「お忘れですか?」
問いかけるように。囁くように。
「何度も言っていますが」
そっと頭を俺の胸に置いて。
「私は貴方が欲しい。例えどんな手段を使ってでも」
頬を優しく触れるように撫でながら。
「貴方を
最後に、触れるだけの甘い口付けを落とした。
はい。息抜きで書いたものでした。
ニヤニヤ教授メインのお話がハーメルンでなかったので、発作的に書いちゃった!
更新はゆっくりですが、よろしければお気に入りや評価をぜひとも!
モチベがぐんぐん出てきます。