「私メイド服着てみたい!」
唐突にヒメがそう叫んだ。
大体こういう急に思いついたときは雑誌か他の人のXでも見て変な影響でも受けたのだろう
「今度は何に影響されたの?」
「これ見て! いろんなお仕事の制服特集だって、ゆかりさんとあかりさんがモデルでいろんなの着てるんだ~」
「それでメイド服を着たくなったと」
「うん! 警察官とかパティシエとかあったけどメイド服が一番かわいかった!」
「そんなことだろうと思ったよ」
とはいえ、こうなるとヒメはちょっとめんどくさい。前に人気のケーキが食べたいといった時は1週間ほどご飯の後に「あのケーキ食べたいな~」「一緒に並んでくれる人いないかな~」と未練がましく言っていた。今回のは暑い中数時間待つよりはましな方だ。
「そんなことをいってもねぇ、どこかで洋服を貸してくれるあてでもあるの?」
「うんにゃ、まったく。ミコトなら持ってるかなって」
「持ってるわけないでしょ」
「しってた」
なら聞かないでほしい。知り合いでいつも着てる人はいないし、持ってたとしても東京や熊本まで借りに行くには少し手間がかかる。
となると、どこかの店で服を借りるか体験をやらせてくれるお店を探そうか
「今調べたけど貸してくれるお店があるみたいだね、明日のお昼に予約しといたよ」
「さっすがミコト、話が早い」
「付き合わないとヒメは駄々こねるからね」
「ぷっ、ぷひゅ~~」
へたくそな口笛を吹きつつ自室へ帰っていった。
◆ ◆ ◆
「メイド服がたくさんある!」
「そうなんですよ。日本でメイド服だとこちらのクラシカルやミニスカのイメージがほとんどですが、ヴィクトリアンやエドワーディアンといった19世紀の仕事着のメイド服もご用意しております」
「え~どれにしよう、悩んじゃうな~」
こうなるとヒメは長い。クッション1つで1時間かかるほど悩み続ける。
「時間もあるんだし気に入ったの全部切ればいいじゃん」
「それもそうか、じゃあヒメがメイドさんやるからミコトは執事ね」
「えっ、僕も着るの?」
驚いたように聞き返すとヒメは腕を組みながら大きくうなずいた。
「もちろん! それともメイドさんの方がよかった?」
「執事でオネガイシマス・・・」
「おぉ~ミコトも似合ってるね」
「案外スーツに似てるし悪くないね。ヒメもメイド服似合ってるよ」
「やっぱスカートはロングじゃないと」
そういってヒメが一回転するとふわりとスカートが揺れて広がる。
「これ着てお掃除したら楽しそう! ミコトは私に紅茶でも入れておいて」
「メイドにお茶を入れる執事がどこにいるの」
「ここ!」
ヒメは満面の笑みで答えた。