ハイキュー 流星の絆   作:ダレ狐

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今回は一気に練習試合編をやります。


練習試合、青葉城西

翌日の朝

 

昨日よりゆっくりなスタートのため、のんびりと学校に向かっていたら、前の方に丸山を見かけたので声をかけた。

 

「おはよう、丸山。そっちも休日練習か?」

 

「おはよう、星野くん。うん、私も早く練習したいから」

 

「そっか〜。1年はどんなメンバーなんだ?」

 

「流石に初日、教頭先生のズラを飛ばしたコンビには負けるけど。アハハ」

 

「おいおい、気をつけろよ。教頭先生に聞かれたら面倒だぞ」

 

あの事件、戒厳令を引いてはいるが、バレー部以外も目撃者が多い。

だから、割と大勢の生徒が知っているというのは、教頭先生の名誉のためにも内緒だ。

 

「そうね、少し勝ち気なウイングスパイカーが1人と、周囲を気にするセッター。私たち1年生は3人だね」

 

「へぇ〜、こりゃまた」

 

勝ち気なウイングスパイカーと、周囲を気にするセッターか。

もうすでにスパイカーから要求がガンガン飛んでそうなイメージだな。

影山みたいなタイプの方が希少だけど。

 

「でも、ウイングスパイカーの子は元々アメリカ育ちなのか、3年生よりも大きいのよ。178cmよ」

 

「うっ、羨ましいな」

 

確かに170cm越えの時点で、女子バレーの中でもレアだよな。

 

「星野くんはまだ伸びるでしょ?」

 

「そうありたいね。せめて170はいきたい」

 

丸山の指に目が行くと、入学して間もないのにテーピングだらけ……自主練のせいなのが分かる。

 

「そのテーピングは自主練で?」

 

「うん、最近リベロが上手い人に会ってね」

 

「へぇー、学校の人?」

 

「うーん、そうだね。今は事情があってね。でも悪い人じゃないから」

 

「?」

 

「まぁ、いずれ分かるわよ」

 

この時の丸山が誰のことを言っているのか分からなかったが、このことを知るのはもう少し後になる。

 

 

 

 

 

 

そして、火曜日の放課後 青葉城西高校

 

「日向、大丈夫か?」

 

「はい、吐いたのと外に出たおかげで……」

 

翔陽は今日のデビュー戦の緊張のせいか、バスでゲロを吐いてしまった。

3年の2人は心配している。翔陽のあがり症は知っていたが、ここまでとは。

 

アップを済ませて試合を開始したが——

 

「日向、お前のボールじゃねぇだろ!」

「すみませんすみません!」

 

この調子で試合はグダグダのスタート。

青葉城西のマッチポイントで翔陽のサーブ。

俺が出たい気持ちはあるが、澤村先輩との約束で第3セットのみ……こういう時に喘息持ちはつらい。

 

バシーン!

 

俺が悩んでいる間に、翔陽のサーブは影山の後頭部にダイレクトヒット。

田中先輩と月島は爆笑していたが、翔陽は——

 

「終わった……」

 

完全に顔から覇気が消えていた。

 

 

影山は即座に翔陽の前に立った。

 

「お前さ、何にそんなにビビってんの? 相手がデカいこと? 高校デビュー戦?」

 

「いえ、その…」

 

「俺の後頭部にボール当てたこと以上に怖いことある?」

 

「特には…」

 

「だよな〜。もうやっちゃったもんな、一番怖いこと〜」

 

「はい…」

 

「だったら通常運転に戻せ! ボケ日向!!」

 

「はいー!!」

 

影山の圧のおかげで翔陽の緊張は解けたようだ。

その後、田中先輩の熱いフォローもあり、変人速攻が入り出して点が取れるようになり、第2セットは烏野が奪取。

 

---

 

「キャー! 及川さん!!」

 

第3セット前、体育館に高身長のイケメンが登場。

青葉城西の女子生徒の声援が響き、田中先輩はものすごく不機嫌になっていた。

 

「影山くん、誰かな〜あの爽やか君。僕、すっごく不愉快なんだけど」

 

「青葉城西高校のバレー部の主将だよ」

 

「及川徹さん。中学時代の先輩です。攻撃型セッターで、俺はあの人からサーブとブロックを学びました」

 

「コート上の王様の先輩、大王様!」

 

翔陽がしょうもないことを言っていたが、

俺は高校バレー雑誌で彼の名前を見たのを覚えている。

牛島さんのいる白鳥沢と戦った記事も最近読んだ。

 

「山口、頼みがある」

 

「ん? どうした星野?」

 

「俺がサーブの時、青葉城西の守備の動きを撮ってほしい」

 

「俺? できるかな?」

 

「後ろ半分を中心に撮ってくれたら十分。あとはボールの動きに合わせて全体を追ってくれれば」

 

俺は武田先生経由で録画の許可を取っていたので、山口に頼んだ。

牛島さんのサーブを最も多く受けたチーム。上級生の動きは貴重な参考になる。

 

 

---

 

及川さん、チャラく見えても、わざわざ影山を呼んで練習試合を組む辺り——

間違いなくこちらの“敵情視察”だ。

ならば俺は、ホークサーブ(フォーク状ドライブ)は封印し、ストレートジャンプサーブ一本で行く。

第3セット、2対1。1点差でこちらのサーブ。

俺は月島と交代し、コートに立った。

 

 

---

 

烏野陣形:

日向・澤村・縁下

田中・影山・星野(交代)

 

 

---

 

レフトに田中先輩と翔陽——攻撃力高めの布陣。

守備はやや不安。ならば、ノータッチエース狙いで行く。

 

影山が視線でコースを指示。

狙いはリベロとセッターの間。要求がキツいな。

 

「まぁ〜やるけどな!」

 

ドーン!

 

ホイッスルと同時に放ったジャンプサーブは、狙い通りのコースに炸裂。

ノータッチエースで1点追加。

 

「さて、どんどん行くぞ」

 

次はリベロの足元を狙う。

ボールは当たるがアウト。さらに1点。

 

「さすが県ベスト4。コントロール中心だと触られるか…なら、次は――フン!!!」

 

ドーン!!

 

今日一番の強烈サーブ。

1年生に3点も取られたことで、青葉城西メンバーは俺に警戒を強める。

及川さんの目も、先ほどまでのチャラさが消え、獲物を狙うハンターのように鋭い。

 

 

---

 

「……」

 

「分かってる、“そろそろこっちにもボールを回せ”って顔だな…」

 

影山と翔陽が「打たせろ」と視線で訴えてくる。

 

「オラァ!」

 

サーブを放つ。

リベロがボールを拾い、返球が俺たち側へ。

俺はすかさず影山へ直線的なトス。

 

青葉城西は翔陽に2枚ブロックをつけたが、影山は逆方向の田中先輩へトス。

 

「持ってこーい!」

 

スパイク、決まった。

 

「ナイスキー! 田中先輩」

 

「だはは、任せなさい! てか星野、お前そんな早いトスするんだな」

 

「影山と話してたんですよ。翔陽が先に動いた時、早めにトスを出すと相手の意識が翔陽に釘付けになるって」

 

「へぇ〜。少しの練習で影山みたいなトスすんなよ…怖ぇわ」

 

「まぁ、スパイク打つわけじゃないんで、早く出すだけなら何とか。でも影山みたいに“呼吸”で合わせるのはまだ無理ですね」

 

(……この短期間でこれ、星野が一番怖ぇわ)

 

 

---

 

次はもう一つ、試すか。

 

俺は再びリベロを狙ってサーブ。

同じく返球がこちらに戻ってきた瞬間、

トスを自陣中央、相手のブロックがいないゾーンに山なりで上げた。

 

一瞬ミスに見えたが——

 

「ナイストス…!」

 

影山がバックアタックで叩き込む。

 

「おい日向、これがバックアタックだ!」

 

(コイツ、スパイクもうまいのかよ…)

 

「影山、トスの高さどうだ?」

 

「悪くない。でも、もう少し山なりだと助かる」

 

「了解〜。トス精度、もっと上げないとな〜」

 

周囲の視線が痛い。けど、今は気にしてる場合じゃない。

 

 

---

 

 

次はあのエースに目掛けて打つ!

 

「舐めるな、1年坊!」

 

ボールがエースのレシーブで上がるが、相手コートギリギリの為、セッターは1年生のラッキョウ頭の奴がスパイクするが澤村部長と縁下先輩がブロックしてワンタッチでチャンスボールになり、俺が影山にトスを上げた。

 

「レフトー!!」

 

「持って来い!」

 

田中先輩と翔陽に視線に向かった先に俺はライトにフルスイングしたらボールは相手コートに落ちた。

 

『影山、星野のトスを星野のスパイクに向けてトスをした』

 

「よし!」

 

 

5点差をつけ、点数は2対7

そこで青葉城西はタイムアウトを取った。

 

「星野、体調は大丈夫か?」

 

「はい、問題ありません」

 

「よし、星野の体調を見つつ、このまま突き放すぞ!」

 

『はい!』

 

さて、先の4番のエースにサーブした時は対処していた。1、2年生と違い、明らかに慣れていた。 だとすると他のメンバー、雑誌で見た限り、及川さんを覗いたら残りは2番3番の人が3年生か…狙い目はその間…

 

「オラァ!」

 

ボールは2番3番の間を狙うが

 

「まっつん、頼む」

 

「任せろ!」

 

即座に3番が声掛けして2番がレシーブを上手く入れてセッターにトスを上げた。 先までと違い、ちゃんとボールの勢いを殺して上げた。 そのボールはセッターから先の4番エースに縁下先輩と澤村先輩のブロックを貫通させて俺の目の前に落ちた。

 

迂闊だった、ジャンプサーブの着地後でスタートが遅れたタイミングにやられた。

 

点数は3対7になり、俺は月島と交代した。

 

 

「悪い、後頼むわ」

 

「お疲れ」

 

月島と入れ替わり試合を眺めていた。

 

……ピンチサーバーを意識してからずっとサーブ&ブロック、ブロックフォロー…練習はしてるが試合で動けるほど身につけられていない…体格で劣る以上、サーブ+α無いと…俺は試合に出れない…。

 

「お疲れ様でした、凄いですよ、5点差を付けたのですから」

 

「ありがとうございます…でも、まだまだ自分の課題があるので…もっと上手くならないと」

 

試合を見ると及川さんが入り、連続サーブを決めていた。

このサーブでも分かる。 俺よりもスピードと玉に重みがある。

 

俺と影山じゃ、コントロールなら負けない、タッパ+腕力の違いでスピードと受け止めた時の衝撃の強さが違う。 そして、及川さんは影山よりもある。

 

今の俺が青葉城西に1、2年生に通じたのは左サーブの回転と間合いに慣れてないからだ。 現に3年生はレシーブしていた。

 

 

「さぁー来い!」

 

試合は翔陽のブロードしながらのスパイクが決まり、無事に2セット勝ち取った烏野高校の勝ちだ。

 

武田先生は俺たちの事を褒めていた。

 

そんな勝利の余韻の中で帰宅時澤村部長がチームの気になる事を言い始めた。

 

「武田先生は、あぁ言ってくれたけど…正直、及川が居る青城と真っ向勝負で戦って勝つには、まだ足りないものがある」

 

「ふぅ〜流石、キャプテン解ってるね」

 

何か校門でカッコつけて待ち伏せてるよ、この人。

 

田中先輩達が威嚇してるが…

 

「出たな、大王様」

 

「なんだコラ? やるのかコラ!」

 

「そんな邪険にしないでよ…ちっちゃい君、最後のワンタッチとブロード凄かったね」

 

「えへへ」

 

先まで勢いはどうした翔陽…

 

「そして、もう1人のおチビちゃん、良いサーブとボール運び…そして、スパイク 流石は大阪代表の角間中学でベストサーバ賞取るだけの実力はあるね」

 

「よく、そんな所まで知ってるんですね」

 

正直、宮城に来てから大阪時代の話はしないようにしてる。 ましてやこっちでは無名な筈なのに

 

「君が中学2年の春で県大会、最終セット8点取っての逆転勝利の選手…俺も同じ年でベストサーバ賞取ってるから意識してね」

 

怖、何この人爽やかな見た目に反してねちっこいのか?

 

「正直、飛雄の実力見るつもりが予想以上に面白いチームだよ…だから次は最初から全力でやろうよ」

 

「まだ、セットアップ見せてないし、サーブも磨いておくね」

 

なるほど、影山がビビるのも解る…今回はこの人が居なかったから勝てたが…最初から居たらどうなってたか

 

「確かに君達の攻撃力は高いけど、1、2年生はレシーブがグズグズだった 。レシーブがダメだとセッターにボールが回らないし」

 

この人、3セット目しか見てないはずなのに…よく見てる。

 

「何も強烈なサーブを打つのは俺だけじゃないしね」

 

「インハイ予選に生き残ってよね、俺は公式戦でこのクソ生意気な後輩を同じセッターとして叩き潰したいんだから」

 

「勿論、ジャンプサーブでも勝つつもりだ」

 

おいおい、何でセッターでも無い俺もターゲットにされてるんだよ。

 

「レシーブなら特訓する」

 

「レシーブは一朝一夕で出来るわけじゃない、キャプテン君は解ってると思うけど」

 

「インハイ予選まで時間ないけど、どうするか楽しみにしてるよ」

 

そう言って体育館に行く及川さん見て、俺達は止まっていた。

 

「すみません、気にしないで下さい。あの人…あぁやって掻き乱すことをするのが…」

 

「解ってる、でもそろそろ戻って来る頃なんだ」

 

「誰が?」

 

「烏野の守護神」

 

青葉城西の練習で課題を見つけた俺達の前に、烏野の守護神…どんな人物なんだ。

 

 

 

 

 

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