江戸時代に封印された神様を現代娯楽漬けにしてみた 作:狐耳大すこすこすこてぃっしゅふぃーるど侍
「しかし今の世はこのような板と動く絵巻?のような物があるとは、凄い世の中になったのう」
そう関心した様子でタブレットを色々な角度から眺める銀狐さんは中々に愛らしかった。
「それはタブレットっていうんですけど、他にも色々な動画が見れますよ、現代の娯楽なんです」
「ほう、そうなのか?これで動く絵巻……いや動画じゃったな、それが他にもみられるのか?」
「そうですね、これで観劇をしたり、ニュース……ええっと現代の瓦版?みたいのを見たりとか。」
「ほう、それは凄いのう!それを聞くと色々見て見たくもなるもんじゃ!お主が迷惑でなければちとワシにもどういった物か見せてくれぬかの?」
「ええ、いいですよ」
タブレットで見る映画とかニュースがどういう物か見せる事になったけど、一体どういうのがいいだろうか?
ようつーべだとイメージを掴むには流石に雑多にすぎるかな?とりあえずネットフィリックスを開いてみる。
「ふむ、色々と小さな絵が沢山板に映し出されておるの?」
横から覗き込み動画のサムネイルを見て興味深そうにしている、さて何を見せようか?なんて悩んでみたが結局答えは出なかった。
うーん……よし!ここは銀狐さんの直感で選んで貰おう!
「銀狐さん、この沢山絵が並んでる中からどれかひとつ選んでくださいって言ったらどれ選びます?」
「この中から?うーんそうじゃのう……」
悩む銀狐さんの前に差し出されたタブレットには最近の人気作のランキングが表示されていた、少しの間悩んで、一つのサムネを指し示した。
「これが良い!この中で唯一華の絵が描かれておるのが気になるのじゃ」
「なるほど、それを選びますか」
「ところでこれを選ぶとどうなるんじゃ?」
「先ほど観劇がこれでできると言いましたよね、今の小さな絵は観劇前の小さな紹介?みたいな物なんですよ」
「紹介という事は、その絵の劇を見られるという事かの?」
「そういう事です、さっそく見てみましょう」
画面が暗転し、しっとりとした主題曲が流れはじめる。
精緻に描かれた中華風の後宮の風景。女官たちの軽やかな動き。謎めいた少女の表情──。
銀狐は食い入るように画面を見つめた。
「おお……この衣、唐風ではないか……それにあの女、ただ者ではないな……」
1話を観ている間、銀狐は終始前のめりの姿勢だった。
時折「あの男、怪しいのう」「この女官、目が笑っておらん……」など、完全にドラマの世界に没入していた。
視聴が終わると、銀狐は長く息を吐いた。
「すごいのうこれは、ただの芝居ではない、絵巻を重ねた如き、心に迫る物語じゃ」
「どうでした?」
「見事じゃ。絵の動き、言葉の遣い、間の取り方、そして何より登場人物の心の動きが……全て、見える……」
タブレットをそっと撫でるように置き、銀狐は呟いた。
「一話を見ただけで魅了されてもうた、今の世ではこれほどのものが毎日のように作られ、自由に見れるのか?……なんと贅沢な世じゃ……」
「まぁ、そうですね。何千、何万本とありますし、好みに合うのもたぶん見つかりますよ」
「うむ……気に入った!他にも見てみたいのう!」
「じゃあ、今度は違うジャンルも……笑えるやつとか」
「わらえる?それは滑稽噺のようなものか?」
「まぁ、そんな感じです」
銀狐の目がきらりと輝いた。
「それは是非見てみたいのう。……今の民が何に笑い、何に泣くのか、もっと知りとうなった」
現代娯楽への第一歩──銀狐、ついにその世界に足を踏み入れたのであった。