WHITE ALBUM2 ~永遠に続く幸せを~   作:藤原久四郎

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絶賛プレイ中。雪菜は確かにちょっとアレな所ありますが、流石正統派ヒロインなだけあって報われない。(矛盾)
はやくCCクリアしないと(使命感


繋がりあう心

 何秒たっただろう。一瞬だろうか、もっとだろうか。詳しい事はわからないけど、ただ俺も冬馬もお互いの距離を確認し合うように、気持ちを確認し合うように初々しいキスを繰り返していた。

 

「んっ……はぁっ……んんっ!」

「はぁっ……あっ……」

 

 そしてどちらからというわけでもなく、名残惜しそうに糸を引く二人の混ざり合った唾液を切り離して、お互いに見つめ合う。

 

「なんだよ北原……キス、下手だな」

「っせぇ……初めて、なんだから」

「奇遇だな、私もだ」

 

 そして、またキスをした。ようやくすれ違っていた、届かなかった、届くはずのなかった気持ちを慈しみ、確認し合う。唇の先がまるで情報伝達の機関であるかのように。確かにこの時、俺は冬馬と繋がりあった。身も心も。

 

「冬馬……好きだ……」

「北原ぁ……北原っ……んんっ!?」

「いひゃぁ!?」

 

 舌を噛まれた。理由としては、俺がいきなりかずさの唇の隙間から舌を侵入させたからである。自分でも無意識の内に、かずさを求めるあまりにしてしまった事である。……自分でも意外なくらいに抑えが利かない事に驚きを隠せない。

 

「い、いてぇ……」

「ば、馬鹿野郎! い、いきなり舌いれてくるやつがあるか!」

「だ、だってぇ……」

「こ、この馬鹿……」

 

 口の中に染みわたる血の独特の鉄の味を感じながら、確かに冬馬と繋がっていられたという事を実感する。絶対に拒否されるって、俺なんか相手にされないってそう思ってたから。そう思うと嬉しいのか、何かが悲しいのか涙が零れそうになる。

 

「だ、大丈夫か?」

「大丈夫だよ。それより、ここ……離れないか?」

「え……?」

 

 気が付けば、ホームの向かい側やこちらのホームの離れた所から嬉々とした視線や、見て見ぬふりをしながらチラチラとこちらを窺っている姿がいくつか見られた。そりゃあ、こんな人が来るってわかりきっていた所ですればな……

 

「ば、馬鹿! なんで先に言わないんだ!」

「いてぇ! なんで殴るんだ!」

 

パンチというには些か優しすぎる拳がお腹辺りに直撃。その痛みは、先程舌を噛まれた時と同じで、ほんの少しの痛みと何か嬉しい気持ちが一緒に湧いてきた。

 

 

「もういくぞ! 来なくても置いてくからな!」

「お、おい! 待ってくれよ冬馬!」

 

 スタスタと早足で、ホームからまた一歩と離れていく冬馬。置いていく、という言葉についてこいという意味を感じ取ったので、すぐさま追いかける。……傍からみたらカップルに見えるのだろうか。それはそれで、きっと嬉しい。

 

「だから待てって言ったのに……」

「し、仕方ないだろ! 恥ずかしかったんだから!」

「それにしたってなぁ……」

「だからごめんって謝ってるだろ!?」

 

 かずさは、怒ってホームから飛び出していったわけであるが、勿論それは考えなし――いや、その場から離れるという実に合理的な判断に基づいた行動ではある。だが、それは合理的であって賢明な判断ではなかったわけだ。

 

「で、どうするよ。ここから」

「……帰る」

「へぇ。どうやって、だ?」

「……歩いて」

「まぁ、確かに帰れるだろうな。普段の倍以上の時間がかかるけどな」

「あぁぁぁ! もう! 北原は一々細かいんだよ!」

「冬馬の無計画さには、流石にもう慣れたさ」

「わかったふりをするな! 本ッ当に意地汚い奴だ……なんでこんな奴好きになったんだ」

「あーあーすみませんねー。意地汚いお節介で人の心も考えられない最低野郎でねー」

「そこまでは言ってないだろう! いつからそんなに卑屈になったんだお前は!」

「かずさが毎日俺の心をへし折るから、気が付いたらこんなふうに」

「……そんなにひどくはしてない、は……ず……」

「自信ないなら言うなよ……」

「う、うるさい! はやく帰るぞ!」

「だからさっさと歩いていくなって!」

 

 ……タクシー拾った方がいいかも。

 

 

 

「案外いけるもんだな」

「だから大丈夫だって言ったろ」

 

 紆余曲折……などもなく、二人で他愛のない話をしながら歩くこと数十分。気が付けば最近ではすっかり我が家のように感じる、冬馬の家の前についていた。

 

「で、お前この後どうするんだ? 正直すぐ帰りそうな気配がないんだが」

「そう見えるか? 一応、俺だって男だし、それ以上に冬馬ともっと話していたいんだけど」

「……変態かお前」

「男は皆変態だ……冬馬がいいって言うならもっと一緒に居たい」

 

 自分が健全な男子高校生であることは理解しているし、人並みにしてみたいことはある。だがそれはあくまで相手の意思を尊重した上であり、無理矢理したり相手を軽んじる事は許されない。だから冬馬の返事を待つことにしたわけで。

 

「私だって北原と一緒にいたいけど……でも……」

 

 冬馬は思うところがあるのか、逡巡するような仕草をしながら口を濁らしている。先程まで二人とも言わない様にはしていたが、今の冬馬が考えているのはきっと……雪菜の事だろう。俺自身、あの場は急いで飛び出してきてしまったが、まともな返事も雪菜の行動の真意だって聞いていないのだ。もしかしたら雪菜の悪戯かもしれない、からかって後の話のネタにするつもりだったかも、なんて自分でも最低だと思う推測を立ててしまうくらいには今だって気にしている。……真意はどうであれ、雪菜どう考えたって本気だったんだから余計にだ。

 

「……そうだな、今日は大人しく帰る事にするよ。いきなり家に上がるなんて無粋な真似はしないことにするさ」

「それを言うなら北原は厚顔無恥の最低野郎に相違ないな。付き合ってもいない女の家に上がって何度夜を越えたことか」

「それは相手から誘われたからノーカン」

「裸も見られた」

「あれは事故だからノーカン」

「うわぁ、事故とはいえ同年代の女の柔肌を見ても何も感じないイ○ポ野郎だったのか北原」

「冬馬お前……本当に女か?」

「なんだ北原、お前は男が好きなのか」

「揚げ足をとるな! 口調とか行動とか、本当に女らしいところないな……日常生活もずぼらだし」

「ほらそこは、将来の旦那さんに任せるって事で。ダメ人間好きのお節介焼きで、なんでもできる男を嫁にもらうことにしよう」

「そんな都合のいい男が、たまたま冬馬に世話焼いてくれて、たまたま好きになってくれて、結婚してくれるといいな」

「……あぁ、そうだな」

「じゃあ、帰るよ。またな、冬馬」

 

 適当なタイミングで話を切り上げ、名残惜しさを感じながら冬馬に背を向けて歩き出す。

 

「……北原」

 

 と、いましがた別れたばかりの冬馬が背中に向かって声をかけてきた。こちらに向かって歩いていると思われる足音と共に。

 

「なんだよ冬馬――んっ!?」

「んんっ……ふぅっ……」

 

 振り返れば既に目の前にいた冬馬から熱烈なキスが飛来した。思わぬ出来事に戸惑ったがすぐさま冬馬の唇を受け入れ、お返しとばかりにこちらも思い切り激しく、まだたどたどしいキスをしていく。自分でも驚くくらいにキスに溺れてしまっている。……真面目で優等生の北原春希はもろく儚く崩れていったんだとしみじみ思わざるを得ない。

 

 永遠の様で一瞬の、ただ確かめあうだけの口付け。冬馬の唾液が、思いが酷く熱く流れ込んでくる。

 

「……ぷはっ」

「……またな、北原」

「頼むから心の準備くらいさせてくれ……」

「それは無理な相談だな」

「なんでそんなに偉そうなんだ……」

 

 俺は嬉しい妨害を受けてから再び、何もない我が家へ帰るべく歩き出した。

 




報われる冬馬……歪みをただした北原さん……

二人が本当の意味で繋がりあえるといいんですが……

本当の意味で優しい世界は見られるんでしょうか(届かぬ思い
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