人体改造ウマ娘   作:電動ガン

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運動

青木の元、俺のトレーニングが始まる。まぁそれでも俺のメニューが出来るまで五日は掛かった。そして今日は俺のメニューをやる初日なんだが・・・

 

「ラジオ体操?」

 

「そうだ。ミカに掛けられる負荷はラジオ体操が限界だと判断したんだ。」

 

「なるほど。」

 

基本的にトレセンの午後は体育。トレーナーが付いてる子はトレーナーの元で、そうじゃない子は教官の元で体育をする。俺は青木がトレーナーなので教官とは別だ。

 

「それじゃ。まずはラジオ体操第一。」

 

青木がラジオをかけ、ラジオ体操が始まる。ちなみにマイは既にコースへ行っている。

 

「いっちに・・・いっちに・・・」

 

うん。普通のラジオ体操・・・だな。

 

「背伸びの運動ー・・・」

 

いち、に。いち、に。よし。ジャジャーンとラジオ体操が終わる。一瞬だったな。

 

「よし。終わりだよ。どうだい?」

 

「まぁ・・・普通のラジオ体操だな。」

 

「そうだね。だけどミカにはこれが限界だ。あのファイルに入っていた情報によると女性ホルモンとウマ娘ホルモンの乱れが1番大きいから、それを見越してのトレーニングになる。」

 

「ちなみに・・・女性ホルモンはわかるが・・・ウマ娘ホルモンの乱れというのはどういう症状が出るんだ?」

 

「代謝の乱れ・・・汗をかきづらくなったり、過剰に分泌するようになったりとか。あと呼吸の乱れ・・・酸素の吸収率の問題とか。それと筋肉比の乱れ・・・筋肉が付きづらかったりとかかな。」

 

「ふむ・・・」

 

なかなか深刻だ。かなり俺の体は不安定らしい。

 

「わかった。」

 

「よし。今日のトレーニングは終わり。後は見学だ。マイのところ行くよ。」

 

「ああ。」

 

コースに向かう。そこでは果敢に走るマイと、物凄いスピードで疾走するウマ娘がいる。併走・・・だったか?してるのだろう。

 

「お、バクシンオーも今日は早いな。」

 

「バクシンオー?」

 

「もう1人の担当だよ。サクラバクシンオー。メジロマイヤーとミカと合わせて3人が俺の担当なんだ。」

 

ふむ・・・俺とマイの他にもう1人いたのか。まぁ7年目と言っていたし。複数担当くらいするか。

 

「おーい!!マイ!!バクシンオー!!!」

 

青木がメガホンで叫ぶと気づいたマイとバクシンオー・・・先輩がコースを外れてこちらに来る。バクシンオー先輩めちゃ速いな。

 

「はぁ・・・はぁ・・・トレーナーさん!やっと来ましたね!!!」

 

「ふはぁ・・・バク先輩今日もめちゃ速ですわ・・・」

 

「体は温まってるな。それじゃ今日のメニュー始めるぞ。」

 

「はい!!」

 

「了解です!!・・・やや!!そちらは噂のミカさんですね!!!」

 

「ああ。バクシンオーにはまだ紹介してなかったな。」

 

「わーっはっはっはっは!!!どうもミカさん!!!高等部1年!!!サクラバクシンオーです!!!」

 

「ああ。よろしくバクシンオー先輩。」

 

なるほど声がデカい。強そうな先輩だ。

 

「おしゃべりするのは後にして・・・トレーナーさん、今日は何から?」

 

「バクシンオーはショットガンタッチだ。マイ、頼む。」

 

「了解ですわ!!!」

 

ショットガンタッチ?マイがカバンからバレーボールを取り出した。何するんだ・・・?そしてコースを外れ、土のコースに向かうとマイがバレーボールを構える。バクシンオー先輩は瞬間走りだしマイがバレーボールを高く投げた。ウマ娘が投げるとあんな高く飛ぶのか。

 

「はぁーーーーーー!!!!」

 

そしてバクシンオー先輩がダイビングキャッチ。なるほどそういうトレーニングか。

 

「バクシンオー。予測で動くな。もっと反射神経を大事に。」

 

「はい!!!」

 

「マイ。もう少し早く投げて。」

 

「はいですわ!!!」

 

それからショットガンタッチを2時間ほど熟し、午後3時。2人とも泥だらけだ。これは洗濯が大変だ。

 

「うえー泥だらけですわ。」

 

「わーっはっはっは!!!マイさんこれも努力の勲章です!!!」

 

「はい!!!」

 

マイはキラキラした目でバクシンオー先輩を見ている。なんか・・・仲良しだな。

 

「よし。それじゃあと30分後にコース使えるから少し休憩して。チームレグルスの子達と模擬レースだから。」

 

「はい!!!」

 

「わかりました!!!燃えますわね!!!」

 

チーム・・・チーム?

 

「青木、チームってなんだ?」

 

「ああ、チームっていうのはね。5人以上担当がいるトレーナーが結成するものなんだ。コースやプールの予約を取り安くなったりとかいろいろ恩恵があるんだ。」

 

「そうなのか。青木はやらないのか?」

 

「・・・実は三年前にはチームを組んでた。チームアルファっていうんだけど。」

 

「へぇ。なんで辞めたんだ?」

 

「あまりにも仕事量が多くて、トレーニングに支障が出たから解散したんだ・・・サブトレーナーを2人入れても物凄い仕事量でね・・・」

 

「そうなのか・・・」

 

「まぁチームメンバーが12人もいたっていうのが原因なんだけど。」

 

「へぇ。」

 

「それからは少数精鋭にしたんだ。最高でも3人まで。」

 

「そうか。」

 

「やっぱり少数にした方が面倒を見るには最適だよ。おかげでバクシンオーはG1バになれたし。」

 

「それはすごいな。」

 

「ああ。バクシンオーはほんとすごい。全ての距離を走ってるし・・・でも勝ててるのは得意距離の短距離だけなんだけどね。」

 

「そうか。」

 

「うん。よーし!2人とも!!コース行くぞ!!」

 

それからコースに行って模擬レースをした。チームレグルスは10人のチームで。中等部1、2年生が主なメンバーなんだそう。バクシンオー先輩はG1バの威信を見せるとぶっちぎっていた。マイは・・・まぁ頑張ってた。地団駄踏んでたけど。

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

ある日。トレーナー室。

 

「ごくごく。」

 

今日はプールらしい。俺はお留守番。コーヒーを飲みながらレースの映像を見て勉強。トレーナーが作ったノートで戦法などを確認しながら見ている。するとコンコンとドアがノックされた。

 

「はい。」

 

「失礼するわ。」

 

入ってきたのは3人のウマ娘・・・誰だ?

 

「あら?青木トレーナーいないの?」

 

「ああ・・・今はプールでトレーニング中です。」

 

「そうなの。あなたは?」

 

「秋川ミカ。中等部1年です。」

 

「・・・噂の・・・。」

 

「・・・走れない・・・。」

 

「・・・出自が・・・。」

 

3人のウマ娘はなにやらコショコショと話し合っている。どうしたんだ・・・?

 

「おほん。ミカさん。私はリボンヴィルレーです。」

 

「私はリボンララバイ。」

 

「リボンオペレッタ。ですわ。」

 

「ええ・・・よろしくお願いします。」

 

「ちょうどいいので・・・ミカさん、ちょっと来てくださる?」

 

「え?」

 

「いいから。」

 

「少しで終わるので。」

 

なにやら・・・雰囲気が変わった。少し警戒する。大丈夫か・・・?着いて行っても。

 

「ミカさん?」

 

「早く。」

 

「ああ・・・はい。わかりました。」

 

どうする・・・救援を呼ぶにしてもみんな体育で・・・呼べる知り合いがいない。やよい達も忙しいだろうし・・・本当にどうする。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

黙って着いていく。そしてピリピリした雰囲気のまま、校舎の外へ出て、奥へ。人気がどんどん無くなっていく。マズイ・・・か?

 

「ここでいいかしら。」

 

「そうね。」

 

「これで誰にも見られない筈。」

 

「・・・。」

 

ギラリ・・・と恐らく先輩達と視線が交わる。これは・・・もしかしなくても、やっかみだ。走れないのにトレセンにいて、あまつさえトレーナーに担当してもらっている。よく思わない輩がいるに違いない。遅かれ早かれそういう物に巻き込まれるのは時間の問題だったな。

 

「貴方・・・」

 

「・・・。」

 

「貴方、足の大きさは何センチ?」

 

「・・・へ?」

 

「聞いてなかったの?足の大きさよ。」

 

「21センチ・・・です。」

 

「21センチ・・・ね。」

 

「身長は?」

 

「139センチ・・・です。」

 

「139センチ・・・と。」

 

先輩方はなにやらメモを取っている。なんだ・・・?

 

「貴方得意距離は?」

 

「バ場適正は?」

 

「得意戦法は?」

 

「え、ええっと・・・」

 

「あっ・・・」(察し)

 

「?」

 

「おほん。オペレッタ、ララバイ。こうなったらもう全部です。」

 

「わかったわ。」

 

「ええ。」

 

「???」

 

「ミカさん。貴方は走れない。間違いありませんわね?」

 

「え、ええ・・・」

 

「でも、トレセンにいる以上、走らないわけにはいかないのです。」

 

「走れないのと走らないのには雲泥の差がありますわ。」

 

「は、はぁ・・・」

 

「良いこと?覚えておきなさい。走れなくても走らなくてはならないの。ウマ娘ならば、ね。」

 

「はぁ・・・」

 

「よし。場所を変えますわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

打って変わって、場所は空き教室の倉庫のような場所。何するんだ?

 

「ええと・・・これは少し大きいですね。」

 

「こっちは?」

 

「そんな派手なの使うのララバイだけよ。」

 

「なんですって!?!?」

 

「喧嘩しないで・・・」

 

「???」

 

3人はゴソゴソと置いてあるダンボールを漁っている。なんで・・・?

 

「あ、大丈夫ですわよ。ここにある荷物はトレセンに頼んで置かせてもらってるリボン家の荷物ですから。」

 

「はぁ・・・」

 

「これですわ。」

 

「またそんな派手なの・・・」

 

「そんなの使ってたら厄介な先輩に絡まれるってなんでわからないの?」

 

「ララバイはおかしい。」

 

「なんですってぇぇぇ!??!?!」

 

ぎゃいぎゃい騒ぎながら荷物を取り出す3人。

 

「これでよし。」

 

「蹄鉄は予備も含めましょう。」

 

「ナイスアイデア。」

 

「ミカさん。これ受け取ってくださいな。」

 

「え・・・は・・・え???」

 

そう言って大荷物を渡される。いくつものシューズに・・・学園指定じゃないジャージが数着。それに蹄鉄。後はドリンクボトルやランニングバッグ。更にサンバイザーやサングラスも。

 

「これ・・・え?これは・・・」

 

「私達はもう使わないので。」

 

「新品よ。」

 

「こんなとこに貯めておくなんて無駄ですわ。」

 

「でも・・・」

 

「良い?ミカさん。聞いて。」

 

ぐいっと顔を掴まれ、視線を合わせる。

 

「ミカさん。ウマ娘は、例え足を失おうとも、走る運命から逃れられない。」

 

「走れなくとも走る時が来る。」

 

「未来が走れない未来だとしても・・・その先の未来で走り出す。」

 

そう言って先輩はジャージの裾を捲った。

 

「・・・!!!」

 

そこには、痛々しい包帯。膝や・・・足首、足全体を巻いている。

 

「私たちは走れなくなった。」

 

「でも、まだ走りたい。」

 

「最初から走れない貴方も。」

 

「「「いずれ走り出す」」」

 

「・・・。」

 

「ミカさん。これは投資です。」

 

「走れなくなった私達が、まだ未来がある子へ託す、投資。」

 

「貴方は走り出してくださいまし。」

 

「・・・。」

 

俺に・・・そんな未来はあるのか?本当に走る事になるのか?

 

「・・・先輩達は、どうして、俺に?」

 

「・・・ちょっと、気が向いたのよ。」

 

「走る事を知らない子に、走る楽しさを教えてあげようと思って。」

 

「ウマ娘なら、走らないと、ですわ。」

 

「・・・。」

 

そう言って・・・先輩方はにっこりと笑った。そうか・・・なら、走り出さなければ。

 

「わかり、ました。」

 

「ええ。これら、有効活用してくださいな。」

 

「ありがたく、使わせていただきます。」

 

「どうぞ。よしなに。」

 

「ついでにこれも使ってくださる?」

 

「あ、こらララバイ。」

 

「その派手なのしまいなさい。」

 

「ふふ・・・」

 

「ミカさん、私たちは貴方の味方です。」

 

「家から通達が来た時はどうしたと思いましたが・・・こういう事でしたとはね。」

 

「貴方の未来に、幸があらんことを。」

 

「ありがとうございます・・・先輩。」

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

 

こうして、俺は青木に許可を取りに行き、朝、3kmのウォーキングロードワークを勝ち取った。ウマ娘に取って3kmは3分ちょいで走り抜けられる距離だがそれを俺は30分掛けて歩く。これ以上の負荷は認められないと念を押されたが。

 

「よし。」

 

少しずつだが・・・運動出来てる。汗をかくまではやれないが。

 

「さて、帰ろう。」

 

てってってと歩く。走り出せるまでどれくらい掛かるかはわからない。だが、少しずつでも前進しているという実感はある。

 

「ふふ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ、登校。そしてだが。俺は呼び出しにあった。やよいからだ。どうしたんだろう。

 

「やよい、来たぞ。」

 

理事長室へ入る。そこには高そうなスーツを着たおじさんが3人ほどいた。みんな困った顔をしている。

 

「ミカ君・・・」

 

「やよい。どうしたんだこれは・・・?」

 

「まずは、彼らを紹介しよう。」

 

おじさん達が立ち上がって、自己紹介してくれた。

 

「URAレース部調整部長の梶です。」

 

「URAトレセン応対部主任の花咲です。」

 

「URA幹部の大坂です。」

 

すごい。URAのお偉いさんだ。どうしたんだ・・・?

 

「これは・・・秋川ミカです。よろしくお願いします。」

 

やよいが座ってくれと促したのでソファーに座る。たづながコーヒーを出してくれた。

 

「ミカ君、すまない。学園生活はどうか?」

 

「学園生活・・・はどうかって言われても・・・順調だとしか。」

 

俺が順調だと言ったらURAの幹部陣は露骨にホッとした顔をしている。なんだ?

 

「いや、実はな・・・ここにいるURAの幹部はミカ君の事情を知っている。異世界人だという事も、クローンだという事も。」

 

「それで?」

 

「URAが言い出したのはミカ君の処遇だ。アスリートの超精鋭学校である中央トレセンにミカ君を置くのは過酷で、メンタルやフィジカルに良くないのでは・・・と。」

 

「はぁ・・・」

 

「ミカさん、我々URAも異世界人の保護に関しては慎重になっているんです。」

 

「ミカさんが不当に、虐められたり、する可能性はゼロじゃありません。」

 

「異世界人がその様な扱いを受けた場合、我々はとんでもない被害を被ることになります。」

 

「保身に来たってことか?トレセン以外の学校に移ってもらうために。」

 

「正直に言えばそうなります。」

 

「異世界人に寛容で、手厚い福利厚生がある学校に移ってもらいたいんです。」

 

「・・・嫌だと言った場合は?」

 

「我々がすごく困ります。」

 

「URAはすごい不安を抱える事になります。」

 

「異世界人に関しては過敏に反応されてしまうので・・・」

 

「・・・。」

 

「すまないミカ君。めんどくさいことだろう。」

 

「まぁな・・・」

 

「申し訳ないとは思っている、が、トレセンはウマ娘のマンモス校、気性難の巣窟です。」

 

「我々の不安も理解して頂きたい。」

 

「異世界人の扱いというのは・・・大変なのです。」

 

「・・・いや、そもそもだ。URAのおじさん達。」

 

「なんでしょう?」

 

「もう、異世界人の俺は、バラバラにされて死んでいるんだ。俺はこの世界で生まれたクローン。この世界の住人って事にするのはダメなのか?」

 

「それも検討しているんですがまだ答えが出ていません。」

 

「人間、そしてウマ娘に改造されたクローンというのは全世界的に見てもミカさんだけ。」

 

「稼働しているクローンというだけで貴重なのに、ウマ娘に改造されているとなったら希少過ぎて・・・」

 

「・・・難しい問題なんだな。」

 

「そうなります。」

 

「大変申し訳ありません。」

 

「異世界人問題というのは非常に難解なのです。」

 

「・・・。」

 

俺が黙り込んでしまったら理事長室が沈黙に包まれた。もう・・・どうする?トレセンから移る・・・というのは・・・嫌だ。もうたくさんの仲間や先輩が俺の味方だと言ってくれているのだ。それを態勢が整ってないからはいそうですかと抜けるのは信用に関わる。裏切りに近い。

 

「正直・・・トレセンは離れ難い。」

 

「そうですか・・・」

 

「ううむむ・・・」

 

「どうしましょう・・・」

 

「もうこのトレセンで、仲間や、味方だと言ってくれる先輩はかなりいる。それをはいそうですかと抜けるのは・・・裏切りだ。俺は生きる為に悪事にも手を染めたが、悪人になるつもりは無いんだ。」

 

「しかし・・・」

 

「しかしもかかしも無い。俺は、トレセンを出ていくつもりは無い。まぁ・・・アスリートの学校なのに走らないつもりか、などと言われてしまえば・・・許してくれと懇願するしかないが・・・」

 

「いえ、それは・・・まぁ、問題と言えば問題ですが。」

 

「奨励学校へ行けばそう言った柵も無くなりますが・・・そうですか、もうご学友と・・・」

 

「難しいですな・・・既に友人が多いなら離してしまう方が問題になるかと・・・」

 

このおじさん達は、そう頭が固い連中では無さそうだ。前の世界では、老害などと称された老人が闊歩していたが・・・

 

「まぁ異世界人問題がセンシティブで大きくなりやすいというのも理解している。それでいてトレセンに居たいという俺の問題も・・・」

 

「ええ・・・」

 

「ミカ君。」

 

「なんだやよい。」

 

「一応奨励校への転入の書類も用意してあるから。万が一が起きたら言ってくれ。」

 

「わかった。」

 

まぁこれ以上問題は大きくしたくないというのは双方にあるから大事にはならないだろう。だから無理矢理という形にはならない・・・筈。俺が問題を起こしたりしない限りは。そうなったら潔くトレセンを去ろう。

 

「わかりました。ミカさんの意思を尊重します。」

 

「ですがミカさん・・・くれぐれも・・・くれぐれも・・・ですよ。」

 

「我々も問題が起きてしまっては鎮火は難しいですので。」

 

「わかりました。」

 

それから・・・俺はURAのおじさん達に他愛もない話をしておいた。日々穏やかに過ごしてますよーって。

 

「異世界人としての情報は隠した方がいいのでは・・・?」

 

「まぁそうなりますよね。」

 

「隠すとバレた時大変なのですが・・・」

 

「ありのまま隠さずに居た方が大変だと思いますよ。」

 

「ですよねぇ・・・」

 

まぁ・・・いろいろな情報統制も必要だなと思いましたまる。

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

ある日。もう7月になる。まぁそれは置いとこう。

 

「え?夏合宿?」

 

「そうだ。なんだが・・・」

 

夏合宿、それはトレセン学園は取り仕切る夏のパワーアップイベントなんだそうな。

 

「今年は行かない。」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。ミカがいるからね。」

 

「俺?」

 

「ミカが体調崩した時側に居なかったら大変だから。」

 

そうか・・・それはちょっと、申し訳ない。

 

「申し訳ないな・・・」

 

「いや、まあ仕方ない。夏合宿を不意にするデメリットは大きいが、ミカに体調を崩された時の方のデメリットが大きい。」

 

「リスク管理か・・・」

 

「それにミカに体調を崩されたら理事長が怖い。」

 

「ああ・・・」

 

まぁ・・・仕方ない。

 

「マイもバクシンオーもごめんな。」

 

「いえ、仕方ありませんよ。」

 

「わたくしもミカさんを引き入れた責任があります。」

 

「すまん。」

 

こうして夏合宿は行かないという事になった。ごめんな。

 

「まぁ代わりにと言ってはなんだが。バブリーランドに行く計画はしてるから。」

 

「おお!!」

 

「やったー!!」

 

「バブリーランド?」

 

「プールですよ!」

 

「楽しいですわよ!!!」

 

「プールか・・・」

 

ふーん・・・

 

「まぁいいか。」

 

バブリーランドか・・・中身の年齢からするとプールで遊ぶ年齢ではないのが辛いな。

 

「じゃ。今日のトレーニング行くぞ。」

 

「はーい!」

 

「わかりました!」

 

「おう。」

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

ある日。ラジオ体操、ウォーキングと解禁されたが、遂にプールまでも解禁された。

 

「がぼ・・・ごぼぼ・・・」

 

「ミカさーーーーーん!?!?!?」

 

「大変ですわーーーーーーー!?!?!?」

 

「ミカーーーーーーー!!!!」

 

俺は・・・泳げなかった・・・たった水深1メートルのプールで見事に溺れた。バクシンオー先輩が助けてくれたが俺は2度とプールには入らんと心に決めたのであった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ふはぁ・・・これは大変ですね・・・」

 

「ミカさんまさか泳げないとは思いませんでしたわ。」

 

ウマ娘は全体的に泳ぐのは苦手らしいのだが、その中でも犬かきが出来ないほど全く泳げないのは珍しいらしい。俺とは・・・

 

「ミカは見学な。」

 

「わかった・・・」

 

俺はプールサイドで耳の中に入った水をなんとかして出そうと頭を振り回す。う、目が回ってきた。

 

「うう・・・」

 

レーンを見るとバクシンオー先輩とマイがすごい速さで泳いでいる何メートル泳ぐんだあれは。

 

「ふぅ・・・」

 

そして・・・ふと横を見ると青木。手には浮き輪。は?

 

「ミカ。」

 

「それは・・・」

 

「浮き輪だ。借りてきた。」

 

「・・・。」

 

「やるぞ。」

 

「・・・。」

 

仕方ない・・・やれと言われた事はやると言ってしまったのだ。プール、頑張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プール終わり。というか、なんでプールの外にアイス売り場があるんだここは。

 

「プール終わりのアイスは格別ですわ。マックイーンお姉様の言う事は正しいですわ。」

 

「ふはーーー!!おかわり!!」

 

「待てバクシンオーおかわりは無し。」

 

「美味い。」

 

アイスを食べて、午後5時。後1時間でご飯だ。今はトレーナー室で休憩。

 

「すみませーん。」

 

「ん?たづなさんだ。どうしたんだ?」

 

たづなさんが来たらしい。

 

「青木さん、ちょっと今よろしいですか?」

 

「ええ。はい。」

 

「こちらメジロマイヤーさんのメイクデビューの出走表です。」

 

「おお!!来ましたか!!」

 

「はい!頑張ってくださいね。」

 

メイクデビュー・・・新バ戦って奴だな。シバノオーで読んだ。

 

「トレーナーさん!!わたくしのメイクデビューですの!?!?」

 

「そうだ!!9月頭の出走だ!!気合い入れろよ!!」

 

「はい!!」

 

そう言ってマイの出走表を見た・・・よくわからない。まぁ良いか・・・でも・・・ダート?

 

「なぁ青木。」

 

「どうしたミカ。」

 

「これ・・・ダートって書いてあるんだが・・・マイは芝のコースで練習してなかったか?」

 

「そうだな。マイはダートもやっているぞ。それにマイはかなり強いパワーがある。ダートの方が向いてるんじゃないかと思ってな。それでメイクデビューはダートだ。」

 

「ふぅん。」

 

「やってやりますわーーーーーーー!!!!!」

 

気合い入ってるな。まぁいいか。俺がとやかく言う問題じゃない。

 

「マイ、頑張れよ。」

 

「勿論ですわミカさん!メイクデビュー勝って!!目指せ天皇賞ですわ!!」

 

「おお。」

 

天皇賞が何かはわからない。シバノオーでも出てなかった。だがデカいレースなんだって言うことはわかる。

 

「トレーナーさん。」

 

「どうしたバクシンオー。」

 

「あれ、マイさんにやりました?」

 

「あれ・・・ああ。」

 

「あれ?あれってなんですの?」

 

「ちょうどいいからミカもやるか。」

 

「ん?」

 

そうして青木に連れられ保健室へ、何するんだ?

 

「・・・。」

 

「青木、何するんだ。」

 

「それはな、予防注射だ。」

 

「予防注射。」

 

「・・・。」

 

次の瞬間、マイは脱兎の如く逃げ出した。だがバクシンオー先輩にすぐ捕まる。

 

「いやーーーーーーー!!!!!」

 

「こら!!!マイさん!!!ダメですよ!!!」

 

「やですわーーーーーーーー!!!!!」

 

「青木、何の予防接種だ。」

 

「破傷風。」

 

「なるほど・・・」

 

「いやーーーーー!!!!いやーーーーーー!!!!」

 

「暴れないでくださいマイさん!!!!」

 

「ではすみませんがお願いします。」

 

「はーい。」

 

保険医が引き出しから・・・なんだそのでっかい注射器は。流石の俺でも身構えた。

 

「なぁ・・・青木。注射、デカくないか。」

 

「ウマ娘の破傷風ワクチンはちょっと大変でな。抗破傷風ヒト免疫グロブリンでは対処出来ないからウマムスコンドリア配合のヒトウマ免疫タイプが必要なんだ。このタイプは結構な量の注射が必要なんだ。」

 

「そうなのか。」

 

「はぁい。じゃあまず貴方から。」

 

「はい。」

 

デカい・・・注射器が俺の腕に刺さる。ちく、じゃなくてブス、だった。

 

「・・・。」

 

「はーいおしまい。」

 

「はい。」

 

「いやーーーーーー!!!!!いやーーーーーー!!!!!」

 

「保険医さん!!!次です!!!」

 

「はぁい。」

 

「あああああああああーーーーーーーーー!!!!!」

 

バクシンオー先輩がマイをコブラツイストで締め上げながら注射をさせる。ブス。

 

「あわああああああーーーーーーーーー!!!!!」

 

「うるさいですよマイさん!!!!」

 

「バクシンオーも大概だぞ。」

 

「ははは・・・」

 

大騒ぎだな。注射は大変だ。

 

「そういえば青木。なんで今予防接種なんだ。」

 

「ああ。出走登録は予防接種無しで出来るんだが。出走証明は予防接種が必要なんだ。」

 

「ふぅん。」

 

「まぁ・・・この通り、ウマ娘にはめっちゃ嫌がられる。」

 

「そうだな。」

 

注射が終わったにも関わらず大泣きしながら大暴れするマイを見る。すごいなあれは。

 

「ははは・・・まぁ破傷風は怖い病気だ。俺も心を鬼にしてやってる。」

 

「まぁ・・・そうか。」

 

「トレーナーさぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

 

「うわ来た。」

 

「許さないですわあああああああああ!!!!!!」

 

「うわ、ちょ、やめ・・・ぎゃあああああああ!!!!!」

 

「保健室では静かにですよー」

 

ウマ娘ってのは本当に大変だな。トレーナーも。個性的で・・・独創的で・・・我儘で、愛らしい。そんなウマ娘を相手にするのは一筋縄ではいかない。まぁ俺もその一員なんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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