「モンテリの名に懸けて!」
わたくし、カルロッタ・モンテリは今日もいつも通り与えられた任務をこなします。
今し方終えた任務はとある区画で起きた暴走した音骸の制圧。
「ありがとう! 助かるよ!」
「お礼には及びませんわ。わたくしたちは為すべきことを成しただけですもの」
やはり人から感謝されるのは気持ちのいいものです。
とはいえ、そんな下心ありきで任務を受けているわけではないので誤解されたくはありませんが。
「そこのお兄さんも助かったよ!」
「お礼なんていい。あなたたちが無事でよかった」
ところで、先ほどは『わたくしたち』と申し上げました。
そう、何を隠そうにもこれは以前再会を果たしたわたくしの『パートナー』との共同任務なのです。
「行きましょう、漂泊者さん。簡単なものですが、この件の報告をするのに付き合ってくれませんか?」
どんな些細なことでも何かしらの事件にはファミリーへの報告があります。
どこで起きたか、何が原因か、解決方法は何だったか、など再発防止や類似事件の参考のために残すものは残さないといけません。
「構わない。けど、通信での報告じゃダメなのか?」
そんな漂泊者さんの疑問も尤もで、特にモンテリファミリーの拠点に戻れないときは通信でのログがそのまま証拠となります。
「時と場合にもよりますが、今回の件は次に解決しなければならない急な事件も残っていませんので、このままファミリーの拠点に戻って書類を仕上げるのが通例となります」
ここからファミリーの拠点まで歩いて戻ったとしてもそこまで時間はかかりません。
「わかった。行こう」
そうして数十分後、先ほどの事件が大きな騒ぎにならなかったこともあり、報告書もすんなり受け入れられたのでそれなりの時間が余ってしまいました。
「漂泊者さんはこのあとどうするつもりですか?」
お昼から2時間ほど経った今、どこかへ出かけようにも中途半端な時刻。
「考えてないけど……カルロッタは?」
ノープランなのは漂泊者さんも変わらないようです。
「そうですね……よろしければ、一緒にショッピングとかいかがですか? オススメのお店が近くにあるんです。わたくしも何回かお世話になっているのですよ?」
ラグーナ城の噴水に面しているそのお店は、わたくしがパーティーなどへ出席するための服装を仕立てるのに利用しているお店。
女性のみならず男性のものも揃えているため、漂泊者さんが退屈するようなことはないと考えた上での提案です。
「カルロッタが利用しているお店? ちょっと気になるな。行ってみよう」
予想通り、漂泊者さんの気を引くことは成功しました。
「決まりですわね! それではご案内しますわ」
わたくしもここまでは何気ない1日、わたくしにとって幸せな平和な1日が過ごせると思っていたのです。
それが、まさかあんなトラブルに巻き込まれるなんて考えてもいませんでした……。