Re Take of Evangelion   作:Air1204

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第1話 使徒、再び


「ごめんね!碇シンジくんね?お待たせ!」

 

気付けばいつもここから物語は始まる。

何度繰り返したか分からないこの景色。

幾度繰り返してもまた一から始まってしまうこの世界。

正直もう慣れたと言えば慣れてしまった。

幾度となく繰り返したこの世界。人の心を壊すなど造作もなく。

性格の悪い僕を演じたことさえあった。

今隣でルノーを運転するミサトさんを手篭めにしたこともあった。

だが多少の違和感を感じる…?なんだろうかこの違和感は…。

当たり障りのない会話をしながらNERV本部への足を急がせる。

いつも通りならば戦自がN2爆雷を使って使徒の殲滅を試みるだろう。

 

「戦自が離れていく…まさかN2地雷を使うわけ!?伏せて!」

 

ドーンという大きな炸裂音と共に爆風がこちらに吹き付ける…。ん?車が倒れない…なんでだ!?

ガタガタと揺れる車窓から外に目をやる、紫色の足が視界に入る。いや、まさかね…。おそるおそる窓から顔を出し見上げるとそこには見知った紫色の巨人の姿が…。でも…なんでF型装備に…?

なにがともあれそこにはエヴァ初号機が立ち尽くし単騎でATフィールドを展開、僕たちが横転しないように風よけになっているのだった。

愕然と見上げる僕の横から身を乗り出して頭を出すミサトさん。

背中には柔らかいものが押し当てられている。

 

「エヴァ初号機!?誰が乗っているの!?それにこの姿は…!?。」

 

プルプルと鳴り響く携帯電話。唖然としてそれを見あげているミサトさんはそれに気づかないようだ。

肩をぽんぽんと叩くとようやく着信に気づいたようでハッとし携帯を手に取る。

 

「なんですって!?初号機が突然姿を消したって!?レイは病室!?じゃあ無人で動いてるって言うの!?」

 

綾波でも乗っているのかと思っていたが、実はそうではないようだ…。無人…母さんも無茶をする…。

ミサトさんは未だ電話をしている。背中がムニムニとこしょばゆい。

 

「今目の前にいるわよ。それに、今までとは違うよく分からない装備をしているわ。まるで私たちを守るようにして佇んでね…。」

 

爆風も収まり初号機がこちらを向きかがみ込む。車内を覗くように目を細める。僕に今乗れって…コト!?

しかしまぁ今から本部に戻りとやかく説明を受けるよりも断然そちらの方が被害は少なく済む。

トウジの妹であるサクラちゃんも怪我をしなくて済むのではないか?そう思い至りその決意を言葉に変えミサトさんへ伝える。

 

「ミ…葛城さん。僕がこれに乗ってさっきのあれと戦ってきます。」

 

「へ!?シンジくんが!?レイだってシンクロに7ヶ月も有したのよ!?それなのにいきなり戦闘だなんて!え?碇司令が電話を変われと…?はい。はい。分かりました。」

 

スっと差し出された携帯電話、ミサトさんは口パクで「おとうさんから」と言う。それを受け取り耳に当てる。

「もしもし?」

 

「…シンジか?」

 

「僕だよ。久しぶりだね父さん。3年ぶりかな?」

 

「あぁ。説明はあとだ。それに乗ってアレと戦え。」

 

「そりゃそうだよね。僕にしか乗れないしね…。」

 

「お前は何を…っ!あの時の起動実験を未だ覚えているとでも言うのか!?」

 

「ちょっと違うけど、そういうことにしておこうか…。詳しく話すには時間は足りないし、もし聞きたいってんなら後で時間を作ってもらうしかないよ。」

 

「…。わかった後で時間を作ろう。」

 

「ありがとう。それじゃ行ってくるよ。」

 

そう言い切れた携帯電話をミサトさんへと返す。

「やけに…聞き分けがいいのね?」

 

「はい。父が無闇に僕を呼ぶことなんて有り得ませんから。」

 

NERVのパンフレットを人差し指でなぞりながら俯き気味に話す。バツの悪そうなミサトさんは申し訳なさそうに僕に言葉をかける。

 

「ごめんなさい…。こんなことを任せてしまって…。」

 

「葛城さんが謝ることでは無いです。僕は僕がやれるだけのことをやってみます。」

 

「ありがとう…。急で申し訳ないけれど、この街を人類をお願いするわ。」

 

「請け負いました。それではいってきます。」

 

屈む初号機の腕に乗りエントリープラグのハッチを開ける。

 

「ただいま母さん。待たせてごめんね。」

 

それに応えるかのように初号機の喉が唸る。

エントリープラグに入りインテリアに腰掛ける。なんだか昨日まで乗っていたのはずなのに懐かしさを感じる。

下からせりあがってくるLCLを飲み込む。何度飲んでもこの血なまぐささだけはなれることが出来ない。

通信が繋がりNERVの職員たちの声が聞こえてくる。

 

『シンクロ率…60%!?初めてのシンクロですよね!?なんなんですか…この数値…。レイぐらいならまだしもアスカすら易々と超えてますよ!?』

 

『莫迦げてるわ!まさか、彼女が目覚めてるとでも言うの!?』

 

目覚めているも何もずっと起きているのだ、我々人類を、僕を未来永劫見守る為にエヴァに残る事を決めた母さん。何度もこの場所で出会いもう何度目よと小言を言われたことか…。

シンクロ率だってそうだ、これ以上下げようがない、無理矢理変なことを考えこの数値を安定させる術を得たのはもうだいぶ昔の事だ。

ふぅっと大きくため息を漏らす。

 

『乗ってくれてありがとう碇シンジくん。自己紹介はまた後でにしましょう。まずは歩くことだけかんが…。』

 

市街地へ向け全速力で駆け出す。いくらエヴァとは言えど数キロ離れていれば時間はかかる。

悠長に『歩行』など考えている暇は無い。

これだけ重い装甲を引っさげていればその動きは機敏なものにはならない。

それ故の『フィールド応用型補助機構』というものがF型装備には常設されている。幾度となく繰り返した世界の果てに僕が考案したこの姿を支えるための補助機構。

防御壁としてのみの運用となっていたATフィールドをどうにか攻撃や移動に使えないかと何度もループを重ね生み出した装置である。

腰のウェポンラックに収められているマゴロク・E・ソードとカウンターソードを確認して安堵する。如何様にもこの武器があれば大抵の戦いはどうにかなる。そのために習得した居合だ。

この巨躯で居合をするのはとても楽ではなかった。その前に首を撥ね飛ばされ胴を切り裂かれ何度死んだことか…。

ようやく形にしたのは最近になってであった…。

ギャーギャーと騒がしい管制室に辟易としながらもようやく市街地が見えてきた。爆心地は見るも無惨に街はなぎ倒されている。

死傷者は出ていないだろうが、これが長引いてしまえばどれだけの人が傷つき亡くなるかは計り知れない。早々に決着をつけねば…。

サキエルはまだこちらに気付いていないようで轟々と燃え盛る火炎の中肩にある呼吸器官らしきものを何度も上下させ再生を図っているようだ。

とりあえず近辺に生体反応がないかを調べるのを優先すべきだ。

 

「…とりあえず人らしきものは確認できない…か。無事であることを祈るしかない…か。」

 

『なぜ急に駆け出したの!?もし倒れでもして怪我をした場合どうするの!?』

 

とキーキーと喚き散らすリツコさん。怒るのも分かるけど流石にちょっと煩いかな…。

やれやれと頭を抱えていると急にぶつりと回線が切れた。

さぞパニクっているだろうな管制室は…。たまにはいい事するじゃん母さんも。

 

「とりあえずっと。さっさと片をつけよう。」

 

マゴロックスを鞘から抜き取り構える。その音と敵意に気付いたのか此方へ振り返り様子を伺うサキエル。その刹那光弾を飛ばすされる、すかさずマゴロックスで上空に叩き上げる。

光弾を弾かれたのに驚いたのかおもむろに接近戦へと持ち込もうと此方へ飛びかかってくる。

ひらりと身をかわしその左腕を切り落とす。紫色の血を吹き上げ宙を舞い地に落ちる。

その眼をぱちくりとさせ首を傾げ切り落とされた腕と血が出ている腕を交互に見やる使徒。

状況を理解したのか凄まじいほどの勢いで此方へ光弾や光の槍で攻撃を仕掛けてくる。だが、様々な使徒との戦いを終えそのデータを元に作られたF型装備の装甲は伊達では無い。

僕のATフィールドで補強されたそれはこの程度の使徒では中和させることすら叶わない。逆を返せば使徒には僕の攻撃を防げるほどのATフィールドは残っていない。ということにもなるのだが…。

初号機から距離を取りジリジリと攻防戦を続ける。何せ変にドンパチを繰り広げて街への被害を大きくはしたくない。

腕を再生した使徒はこちらから距離を取り牽制と言わんばかりに近寄ってくる気配がない…。何かおかしい…。

胸騒ぎを覚えた僕は早々にケリをつけるべく懐へと潜り込みそのままマゴロックスとカウンターソードをコアへと叩き込む。そして僕はその胸騒ぎの原因を理解した。

 

「はァァ!?腕ェ犠牲にしてまでコアを守ったァ!?」

 

そう、今までの使徒では考えられなかった戦いの中で進化していくという性質。戦いを終え次の使徒が強く、その次がさらに強くと作戦を変えてくるのではなく、戦いの最中動きを学習し自己進化ていくようだ。

極めつけにいつも通り初号機に取り付き自爆を図る。被害広げないようにしなきゃな…。

コアが潰れ眼前での爆発。もちろん痛くないことは無いのだがこれにも慣れたものだ。

ATフィールドで爆風を上空へ逃がし市街への被害は最小限にと留めたつもりだ。

あとは通信が回復して回収班が迎えに来れば一件落着。だがまぁあれだけの爆風に晒されながらも無傷での生還。そしてパイロットも無事となると僕の尋問は回避できない。しかして、この無様な初戦闘は使徒の自爆を持って終わり新たな物語の幕開けとなったのであった。

 




華々しき第1話目。

当初は、エヴァ堕天録という漫画を元ネタにソウルイーター的要素を加えてオリキャラを交えた展開で考えていました(既に四年前だが…。)

何かごちゃごちゃとしすぎたために根本よりストーリーを変更。プロット、と言うよりも粗方の大筋を序破と書き記しそこから追記or変更を加えてある程度旧世紀版のタイトルに沿うような形に脚色を加えてやってますが…。それでも使徒戦がメインになりがちか…。
合間合間の物語を書くかは未定ですがこれ以上書くと話がだいぶ逸れるのかなと思い取り敢えず完成版をいくつかに分けタイトル付けを行っている、という状態でしょうか…。
(2025/06/12 16:07:53)追記
読みやすいように改行を加えました。
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