Re Take of Evangelion   作:Air1204

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第11話 嘘と沈黙

「今日はわざわざありがとう。」

 

あれから数日が経ち父さんが月から帰ってきた。それの報告も踏まえ食事会へと至った訳だが…。

 

「…。あぁ。」

 

本人はこの調子だ。怒っているのか…悲しんでいるのかいまいちはっきりしない。加持さんからは監視カメラなどの類は全てダミーが流れていると報告を受けている。腹を割って話すには今しかないハズなのに。

 

「この間SEELEの連中にも見せて貰ったよ…。それにカヲルくんが乗るんだって?」

 

「あぁ…。」

 

「しかもゼーレ側のパイロットとは…。今度こそ彼敵になるかな?」

 

「あぁ…。」

 

段々と苛立ちが勝ってくる。呼び出したのは自分なのに…。

 

「…。あのs…。」

 

「シンジ、すまなかった。私の説明不足でSEELEに騙される結果になってしまったと加持君から伺っている。」

 

言葉選びに時間をかけ過ぎなんだよ!たったこの一文に時間をかけ過ぎだ!

 

「はぁ…。まぁそれでも引き受けてしまった以上僕の寝首を掻かれのは勘弁願いたいんだけどね…。まさか幽閉先がNERVの地下深くだとは思いもしなかったけど。」

 

「すまない…。ちゃんと説明しよう。この世界に来る前に私がした事を、お前でないシンジがした事を…。」

 

父さんの口から語られたのは第10の使徒、所謂ゼルエルを倒す時に覚醒した初号機が引き起こしたニアサードから続く因縁の14年の話。

全ては自分の掌の上とタカをくくって居た父さんは覚悟を決めた僕を恐れ、そこに居た母、僕を子として初めて愛おしいと思いアナザーインパクトのトリガーから降りる事にし僕に託した、という話だった。

そこから僕がしたのは自らを贄にミサトさんが命を賭して生み出したガイウスの槍でネオンジェネシスを引き起こしたと…。

それによってエヴァの無い世界を生み出し大団円…となったはずだった。だが父さんはその輪廻から抜け出すことは叶わずまたこの地に立っていたという事のようだ。

 

「だからといって…同じ道筋を辿る必要は無いんじゃないの?」

 

「…。」

 

「尚更、使徒がいると分かってる3号機にアスカを乗せて寄生させる、そして贄とするなんて…。絶対にしてはダメだ。僕が僕であるから良かったものの…。」

 

「私は…。ユイと共に今度こそネオンジェネシスの中心に立ちお前が自分を犠牲にしなくていいようにしなくてはならないのだ…。」

 

「じゃあ母さんと父さんが贄になって僕らを次の世界に送り出すと?父さんも母さんも居ない。僕はそれで本当に幸せなの!?」

 

ドンっとテーブルを殴りつける。幾つかのグラスが倒れてしまいワインがこぼれる。

 

「僕は許さない。だったらこのままエヴァのある世界で幸せになればいい。世界が続けばいい!円環の物語だろうが、定められた物語だろうが僕が全部ぶち壊す。僕は僕だ!わがままで欲張りな僕だ!今までの碇シンジじゃない!ここに存在するはずのないエヴァに乗り使徒を倒す者だ!」

 

「…シンジ…。」

 

「その為に僕はこの世界に来たんだよ。今ならそうであると自信を持って言える。理を円環を壊すイレギュラーとして。使徒を倒す為に生まれ落とされたアダムスの系譜とも、リリスの系譜とも違うイレギュラーな使徒がこの僕だ。」

 

「…わかった。お前がそこまで言うのならば…私達はお前に未来を託す。」

 

「…ありがとう父さん…。3号機には…僕が乗る。それで構わないよね…?」

 

「…あぁ。」

 

説き伏せる形にはなってしまったけれどこれで誰かが3号機の犠牲になることはなくなった。それだけでも良しとしよう…。

 

 

「シンジが!?3号機に乗るですって!?」

 

「そ!本日付で封印されている初号機に代わってシンジくんの新たな機体として運用する事が決まったのよ。」

 

「ダメよ!絶対!だってあれには!もごご」

 

「はぁーいストップ姫。それ以上はお口をチャック。」

 

後ろから現れたマリに口を塞がれてしまい使徒がいると言葉を紡げないままになる。

 

「それは伝えるべきじゃない。シンジくんはシンジくんなりに考えがあるんだよ。それに…SEELEが黙っているとも思えないからね…。」

 

「むぐぐ!」

 

SEELEが!?この間のシンジ誘拐だけじゃ飽き足らずって事!?

 

「大人しく待っていようよ…。ね?」

 

「ぷはぁ!帰ってきたら問いただしてやる!生半可な理由だったらアイツの愚息噛みちぎってやる!」

 

「はぁ…お転婆なお姫様だ事…。ま、多分姫にそんな余裕ないよ。それじゃ、私は帰るよん。じゃあねん」

 

そう言い残すとそそくさと帰っていくマリ。残されたアタシとミサトはなんの事だかも理解出来ずキョトンとすることしか出来なかった。

暫くしてドアが開く音がする。シンジが帰ってきた音。

 

「あ!ちょ、アスカ!待ちなさ!」

 

ミサトの制止も聞かずに廊下へ飛び出しそのまま駆け込みシンジの胸ぐらを掴みあげる。コイツ…こんなに重かったっけ…。

 

「どうしたんだよ。そんな怖い顔で…。」

 

優しい笑みでヘラヘラと笑うシンジ。それが余計に癪に障る。

 

「どういう事よ、3号機の事。アンタが乗るって…。」

 

「あぁ…もう聞いたんだ…。相変わらず仕事が早いなぁ父さん…。」

 

「そんなのはどうでもいい!アンタ!あれに何がいるか分かってるんじゃないの!?それなのにな…!んむぅ!」

 

本日二度目の口塞ぎ。今度は強引なキスで…。舌まで入れてくれちゃって…。じたばた暴れようにも抱きしめられていて逃げることも出来ない。やっぱり…こんなに強くなってるなんて…。

 

「んー!!ー!!!ー?!!???」

 

長い永い口付け。とうにアタシは暴れることを止めされるがママになっている。体に力が入らない。

 

「ぷはぁ!…流石にここまで長いと…。難しいね…。」

 

「う、うるひゃい…。ばかぁ…。」

 

ダメだ…足腰に力が入らない。このバカ!どこの女と…って私とミサトとかか…。

 

「あっらぁ…。帰ってくるなり熱烈なキッスとは…。羨ましいわねぇ…。」

 

ふふふと言った表情でこちらを覗き込むミサト。

だがシンジはそうはいかない。靴を脱ぎ捨てて駆け出す。そのままの勢いでミサトに飛びつく。

 

「あ、え!?シンちゃ…んんぅ…。」

 

人の事笑ってらんないのよアンタも…。でも、自分がもし3号機に乗るって決めたんだったらそれまでの期間…。こうして恋人達と熱い日々を送るんだろうなと思う。現にアタシはシンジと離れたくない。そんな気持ちも露知らず、レイもミサトも何事もなくシンジは帰ってくるものだと思っているだろう。

バカね…。鈴原の奴は片足で済んだからいいものの…。

 

「んんぅ…。シンちゃ…ん…。ちゅ」

 

「…ふぅ…。ただいまミサトさん。」

 

また屈託のない笑み。狡い。この裏でどんな気持ちなのか考えるのも辛い。

 

「ふ…。今日は積極的ね…。あんまりアスカやレイの前ではキス、してくれないのに。」

 

「偶には…独占欲出しておかないと損でしょ?」

 

はっ!バッカみたい。そんな事しなくてもアタシゃあんたから離れないっつーの!

 

「でもアスカ、すっごい目で見てる。」

 

そりゃそうよ。立てないんだもん。オマケに洪水。溜まったもんじゃない…。玄関だからね?ここ!すぐ下コンクリートなんだからね!?

 

「立てないからよ!それに立ったら恥ずかしい思いをするから!」

 

「あらあら…。アスカも可愛いところ、あるのね?」

 

「ごめんようアスカ。」

 

ととっとと走りよって手を差し出してくる。

 

「バカね…。掛かったわね!」

 

そのままグッと手を引っ張りバランスを崩したシンジは倒れる。そのまま馬乗りになって身動きの取れないシンジを上から見下ろす。

 

「…。相変わらず。アスカはこの体位好きだね?」

 

「バカおっしゃい。アンタを責め立てるのが好きなだけよ。」

 

「でも…下から突き上げた時のアスカの顔…凄いよ?」

 

「言ってろバカシンジ…。」

 

もう我慢の限界。あんなことをされて黙っていられるほど人間できてないもの。自分の下着を下ろしスカートをたくしあげる。

 

「早く入れなさいよ…。」

 

「まったく…。今日は2人とも寝かしてやらないよ…?」

 

その時にみせた憂いに満ちた顔。今でも忘れることが出来ない。

結局、その日はシンジの口から乗る理由を語られることは無く、あくる日もあくる日もアタシやミサト、レイを交えて淫らな行為は続く。

さながら…シンジの寂しさを埋めるように…。

 

 

「ミサト。ちょっといいかしら?」

 

「んー?何?リツコ。」

 

「これ、リョウちゃんから。」

 

「フロッピーぃ!?前時代的なもん渡してくんのねアイツ…。内容は…?」

 

「…私が見たとでも?」

 

「モチ。だって私宛じゃないもんこれ。」

 

「ホンットに昔っからそういうところは鋭いわね…。見たわよ。」

 

「内容は?」

 

「見たほうが早いわ。これからのNERVに、いや世界の存亡に関わるものだから…。」

 

 

入っていたデータは司令室の盗撮データ。先日のシンジくんと司令の食事会の時のものだった。

 

シンちゃん。彼は自分を使徒だと言った。リリスでもアダムスでもない…。第三者。それが本当かは分からない。でも司令と2人で話しているからには…きっと間違いではない…。

オマケにリツコにまでシンちゃんが未来からやってきたことがバレてしまう。と同時にアスカや司令も未来から来たものだということがバレた…。

 

「よもや信じるしかないわね…。あの時の言動を含め、彼の戦績は不自然だったもの…。ミサトは…あんまり驚いて無いのね?もしかして…知ってた?」

 

「ちょっち…。」

 

「…まぁ言えるわけもないか…。ここの上層部にバレたら…大変だものね…。この映像は私達だけの秘密としましょう…。それにシンジくんからはパターン青は検出されていないもの。」

 

「彼は誰よりもこの世界を憂いている。何者であれ…大人である私達が彼を信じられないで誰が信じてあげるのよ。」

 

「その通りね…。それで例の…3号機の件…。」

 

扉が急に開きアスカが飛び込んでくる。額には大量の汗が滲んで肩で息をしている。

 

「リツコ…ミサト…話がある。」

 

そう言ったアスカの顔は何か決意をしたような…。真っ直ぐな瞳をしていた。

 

 

第三中学校 校舎 屋上

 

「…。」

 

どれ程長くここに居るのだろうか。幾度もチャイムを聞いた気がする。アスカも綾波も今日は学校に来ないと言う。

 

「やーっぱりここに居たか…。授業5限まで放ったらかしで鍵かけて屋上に引こもるなんて…。らしくないねぇシンジくん。」

 

「あぁ…マリさん…。」

 

「うわぁ…缶コーヒー温まってるよ…?どんだけここに居んの…。久々にこんなに熱い缶コーヒー触ったよ…。」

 

「ちょっとね…。3号機のこと…考えてたから。」

 

「だけじゃないだろう?己がこの世界に生まれ落ちた理由も含めて…だろう?」

 

「何でもおみとおし…ってか…。アダムスの子たる使徒。リリスから産み落とされたリリン。一応はこの星のシステムに則ってどちらも生きてる。アダムスを模したエヴァという仮初の神様を使って必死に抗ってる。」

 

「…。」

 

「第三の来訪者たる僕は…一体なんなんだろうね?きっと第一始祖民族からすれば生命の書に記されていない僕の登場はきっとイレギュラーだったはずだ。なによりこの星に2つの生命が落ちてきたのが最も誤算だとは思うけどね…。」

 

差し込む日差し。そよぐ風が気持ちいい。まるで僕の心とは裏腹に……。

 

「アルマロスもきっと今の僕と同じなんだ。与えられた役割こそ僕とは真逆だとしても。僕が破壊者ならば彼は歴史の保全者さ。定められた方舟としての人類補完計画の為の舞台である地球が生み出した言わば免疫機能かな?」

 

「シンジくん。君が何を言っているのか私には分からないよ。」

 

ムッと眉を顰め気難しい表情のマリが僕の隣にもたれ掛かる。

 

「じゃあ逆にリリンでも使徒でもない君は…地球はなんの為に呼んだんだろうね?」

 

「さぁね?それが分からないから…困ってるんだよ。やりたいことやれば良いのかってそうでも無いのは今までの1978回でよく分かってるし。」

 

「え゛2000回もループしてんの…?」

 

「うん。でも今回の世界は僕知らないしさ、全然分からないことだらけなんだよ。ダミープラグはゴルゴダベースにあるって言うし。第3の使徒は知らないし。アダムは4体もいるし。」

 

「ユイさんは何か言ってたりしないの?」

 

「シンジの好きなようにやりなさいとは言うんだけどね…。今回は心臓持ってかれたっきり特に話しかけてきても無いから…合ってるのかどうかも定かじゃないんだ。」

 

「そっかあ…。」

 

沈黙。蝉の声だけが響き渡る、だらしなくフェンスにもたれ掛かるマリさん、その手にはいつの間にか僕の買った缶コーヒーが握られていた。

 

「…ちゃっかり飲んでるし…。まぁいいけど…。」

 

大きくため息をつく。やることが多すぎるが故に。

3号機に潜む使徒を押さえ込み尚且つ自分が使徒として処理されぬようにたち振る舞う、その上傷も癒えぬうちにアイツがこの街を襲うのをどうにか倒さなければならない。

 

「嫌になるよ…まったく…。」

 

鳴り響く携帯電話、この着信音は父さんからだ。嫌な予感が胸を過ぎる。

 

「…もしもし?」

 

恐る恐る取った携帯電話。電話口の父さんの息が荒い。

 

「…すまないシンジ…。私には止めることが出来なかった。」

 

どうやら嫌な予感は当たってしまったみたいだ…。

 

「赤木博士と葛城三佐含む職員達とパイロットである…レイ、アスカくんが3号機の起動実験を強行。原因不明の爆発を起こし今やどうなっているかも連絡が付いていない状態だ。」

 

焦る様なかなしいようなそんな声を上げる父さん。

 

「…。分かった。すぐNERVに向かうよ。」

 

「すまない。鈴原くんや真希波にもよろしく頼む。」

 

「うん。」

 

ツーツーと切れる電話。力なくその場に項垂れ倒れ込むし事しか出来なかった。

 

「ち、ちょ!シンジくん!?」

 

「…マリさん…。僕は…アスカを…ミサトさんを止めることが出来なかった…。3号機の起動実験。リツコさんや達に…強行されてしまった…。」

 

「…。」

 

「黙っているってことは…あなたも知っていたんですね…。」

 

終焉までのカウントダウンを告げる、鐘が鳴り響く。そんな気がした…。




一応ちょっとえっちです。
一発で書き切るのは勿体なくて2回に分けたので文字数が今回は少な目です。
そろそろ追いついてしまうので…。
次回はようやく3号機のお出まし、です。
初号機に乗れないシンジくんはどう対処するのでしょうか?
タイトル、ちょっと思いつかなかったのでTV版からそれっぽいの引っ張ってきましたけど…。レリエル、アイツは結構好きな使徒でした。
悲しきか新劇ではカットされてしまいましたがね…。
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