Re Take of Evangelion 作:Air1204
旧南極へ向け舵を切る。
慣れぬ巨大戦艦故に青葉さんと日向さんの声を頼りに旧南極への進路を違えることは無い。
何事もなく到達した旧南極上空。にて青葉さんのアナウンスが入る。
「旧南極爆心地エリアへ侵入!L結界鏡面に入ります!」
「ようやくお出ましってか…。NERVの戦艦です!」
鏡面を突き破り姿を現したNERVの舟。
その姿は漆黒に染め上げられヴンダーとは似ても似つかぬ形になっている。
「NERV戦艦2番艦のエアーレーズング…やはり完成してたのね…。」
「仕方ないっ!邪魔するってんなら!」
重い舵を切り旋回する。目標目掛けてその速度を上げる。
「ち、ちょ!?ぶつけるってワケぇ!?」
みるみるうちに近づくヴンダーその鼻先がエアーレーズングの横っ腹に突き刺さる。
「この距離ならッ!」
ゼロ距離で主砲を打ち込む。だがATフィールドによって然程ダメージは入らない。実弾でダメならATフィールドで!
鼻先にATフィールドを用いた巨大な槍を形作る。まるでドリルのようなソレをもう一度速度を付けつつ横っ腹に突き刺す。
「す、凄い…これがエヴァ初号機の本来の力…?」
「間もなく潜航可能ポイントです!」
長良さんの声が響く、だが、そう易々とはエアーレーズングも離しちゃくれない。主砲を1つ抉りとったところでその機能にはさして問題は無いからだ。もう片方の主砲を目玉のように動いている。こちらに狙いを定めると使徒と同じような光線がヴンダーの左翼を穿つ。
「主砲の威力が段違いすぎる!」
「完成品と未完成品の違いってか!でも主機はこっちの方が上だ!」
尾翼でエアーレーズングを薙ぎ払い距離をとる。流石は初号機のATフィールドか、直撃を受けダメージを受けても損傷は軽微で済んでいる。
「一気に潜航する!ミサトさんッ!」
僕の掛け声にミサトさんが反応を示す。
「皆掴まって!」
勢い任せに舵を切り真下へと潜航を始める。全スラスターを全力で吹かし第1層、第2層と駆け抜ける。
「前方にインフィニティの群れです!」
「構わないわ!シンジくんッ!」
「ヨーソローッ!」
構うことなく潜航を続ける。インフィニティの群れを掻い潜り第3層へと片足を突っ込んだ時にそれは現れた。
「…3番艦エルヴズュンデ…。まんまと副司令にやられたって訳か…。」
「構うもんか!このまま突っ込む!」
さらに出力を上げ前方にてこちらを睨む3番艦へ突っ込む。
エンジェル・ハイロゥによって出力を増したヴンダーはその鼻先目掛け突っ込んでいく。
「3番艦回避行動!」
「逃がすかァッ!」
第2、第3ブリッジが3番艦の尾翼を捉えた。
「耐えてくれよッ!」
そのまま直上に向け舵を切る。上下逆さまになった3番艦をそのままに舵を切る。主翼を3番艦にぶち当て自分と相手の位置を入れ替える。
「L結界第3層に到達!インフィニティの群れを抜けます!」
「黒き月とNERV本部を肉眼で確認!既に黒き月下方へシフトしてる模様!」
「不味い。第13号機の再起動が近いぞ…。」
「シンジくん!2番艦と3番艦が艦尾より接近中!」
日向さんが後方の状況を伝えてくれるため幾らかやりやすい。
しかし、振り切るにはまだ出力が足りない。
「前方よりエヴァ7シリーズを確認!その数…数えられませんッ!」
ドクロを象った面を着けたエヴァシリーズ。まさかここまで数を増やしているとは…。
「シンジくん。後方の舟は僕たちが引き受けるよ。」
カヲル君の乗る3+4号機から通信が入る。
カヲル君とソウリュウ…?ん?何だこの違和感は…。
「シンジ…さん。アタシとカヲルさんに任せて!」
「え、ああ、うん!ミサトさん!」
なんとも言えぬ違和感を抱えたままミサトさんに号令をかける。
「了解!3+4号機の最終安全装置を解除!射出して!」
「了解っ!」
空中へと打ち出された3+4号機が一筋の光を吐き空へ飛び上がる。ヴォルテクス翼と良く似たそれは『アマテラス』と呼称されていた。
その手にはマゴロックスとカウンターブレードが装備され背面にはガトリング砲と思しきものも携えている。
明らかな体格差、それもなんのその3番艦の鼻っ面を蹴り上げ体勢を崩させる。それこそ2番艦の方に向けて。
少しばかりの猶予はできた。
NERV本部へ向け急速潜航する。携えた誘導弾と共に…。
「本部直上!第13号機を光学で確認!」
「全弾放て!!」
追従していた戦艦がそれに向かって打ち出される。何十隻もの戦艦の集まりだ。これだけ喰らえば…。
だがそれは空中にて撃墜される。
獣の如くNERV本部より顔を覗かせた第13号機がこちらを睨み光弾を放ったからだった。
「既に再起動済み!?どういう事なの!?」
予想外の動きに困惑する一同。
「仕方ない!アスカ!マリさんッ!」
「請け負った!出るよ!ひめ!」
「うん!」
…?やはり先程と同じく違和感を感じる…。それにこの胸騒ぎは…。だが構っている余裕は無い。僕が第13号機の相手をしない事にはどうにもならないからだ。
「このまま一気に潜航します!」
コンソールを握りしめ奥に押し込む。出力を増し突っ込むヴンダーそれに対し何発もの光弾を撃ち込む第13号機。
「無茶苦茶ですぅぅ!」
「シンジくん!構わないわ!そのまま突っ込んで!!」
「うおぉぉお!」
だが不幸というものは続くのである。偽装コクーン内に潜んでいた4隻目の舟がヴンダーの主翼へと深々と突き刺さった。
それに加え、3+4号機さえも振り切られ3隻の舟がここに集った。
「くっ…。」
「おらおらー!どけどけ!!!」
マリがMark7の群れを掻い潜り何機も潰しながら落下していく。それと同じく2号機もガトリングや12連砲を駆使しながら殲滅を繰り返す。それでも篦棒に多いMark7の群れ。
「マリさん!次の武器を!」
「あいよ!」
両端に回転式鋸のような刃を付けたブレードを振り回し群れを掻い潜る。それでもなお勢いを増すMark7の群れに辟易とする。その内の何体かが、2号機に取り付いた。
噛みつきという原始的な攻撃だが当たれば1発即死必死にもがき抜け出そうと試みるも中々抜け出すことが出来ない。
「離して!離しなさいよ!」
「姫!」
間一髪8号機が駆け込みMark7を引き剥がす。
脚にまとわりついたそれらを2本に分けた回転式鋸のような武器で頭をかち割る。
「ごめんなさい!迷惑かけたわね!」
「気にすんなよ!ありゃ…エヴァもどきが群れて通せんぼとは洒落臭い!」
それらが群れ、螺旋のように渦を巻き旗艦目掛けて新2、8号機諸共貫くつもりだろうか。
ソウリュウはその二対の武器を捨てた。
こんなチンケなものでは太刀打ちできないと悟ったからだ。
両脚に備え付けられた砲門を開く。打ち出されたN2ミサイルはその群れを包むように爆散する。だがそれも虚しく、離散しただけのそれは元の形に戻り同じように押し迫ってくる。
「えぇ…。質量が全く足りてないじゃないの…。マリさん手を貸しなさい!」
「承知した!」
新2と改8が横に並ぶ。互いの掌を重ねた2機がATフィールドを展開する。
共鳴したATフィールドが共鳴し、位相空間が変異する。大小の歯車が折り重なったような粉砕機の様な形を成すとその群れに突っ込んだ。
数多のMark7がすり潰され光の十字へと姿を変える。
「ぐぅぅぅう!」
その舞い上がる風圧と残骸の波を全身で受けながらもその姿勢を崩さない。全ての群れを消し去ると勢いのまま黒き月を越えNERV本部へと落ちる。改8を抱えたまま落ちる新2。脚部のスラスターを吹かすも耐えきれずに地表を転がる。
「あべっ!」
無様に転がった改8、新2から離れたところに投げ出されてしまう。
対する新2は元凶であるそれを目の前に固まってしまう。
「なんで…。なんで私が居ないのに動いてるの!?少なからずシングルエントリーのはずじゃ!?」
嫌な予感が胸をよぎる。
地表に落ちたそれを目を細めて確認する第13号機。
見つかった。
ゆっくりとその滅紫色の機体は赤い二股の槍を2本携え新2に向け足を動かす。
「艦首損傷!主砲システムダウン!」
多摩さんが伝える。全身を襲う痛みで状況を察する。
「4番艦…ゲベート!」
「両舷の第2船体をNERV4番艦が直撃…。主砲諸共貫通されてます。」
「まんまと副司令の罠にハマったというわけね…。」
唸るように低い声でリツコさんが言う。
ことが終わったと言わんばかりにヴンダーを無視し下降していく2番艦と3番艦。
「追撃するなら今のはず…なんで!?」
下方に視線を送る。赤い霧が晴れ南極のその全容が明らかになる。
「呪われたセカンドインパクトの爆心地…。カルヴァリーベース…か…。地獄の門が開いている…?ッ!まさか!」
3番艦と2番艦が揃って光の翼を展開し始める。
「ガフの守り人たる舟をトリガーにインパクトは起こせないはず…。それに…黒き月を取り巻く事象が計画とは異なっている…。これはゼーレのシナリオにない、私達の知らない全く新しい儀式よ…。」
NERV本部の上に浮遊している黒き月が中心から真っ二つに裂け二重螺旋を描きそれはやがて新たな槍へと姿を変えた。
「くっ…。全くの予想外…。アナザーインパクトって訳ね…。」
「ぐっ…まさかMark4とMark6を新造し直してアタシたちに差し向けてくるとは…。」
「いやはや…流石はリリンの王と言ったところかな…。」
カヲルとアタシがモニターを睨みつける。5機の44Aと04Aソレを率いる04Cその上に座すようにしているのは先の戦いで第12使徒として殲滅したはずのMark6
「仕方ない…エンディミオン・システムを使おう…。既に第13号機も再起動を果たしている…時間が無い。」
オメガシステムとも称されるそれはL結界浄化システムと同様人外未知の言語にて制御されている。
アマテラスに内蔵されたそれは有事の際に使徒であるカヲルの手によって本来の権能を取り戻すように設計されている。
モニターに出る識別信号BLUEの文字がカヲルが力を解放したことを意味している。
ただ下部に向けスラスターを吹かせるだけだった機構がそれの形を展開し翼のような形に変わる。
光翼が展開し背部には2対のエンジェル・ハイロゥが展開された。
重く閉ざされた顎部が開く。咆哮と共に衝撃波がMark6らを襲う。
「うっく…。重いィッ!」
「無理に操作系を握らなくても良いさ。君はメロディを奏でようとしてくれればいい。」
涼しい顔で言うカヲル。そういうの苦手なんだけどね。
「目下目標はあのちょこまかウザったいMark4って所かしら?」
大まかな操作はカヲルに任せる。アタシが駆るのはその武器だ。エンディミオン・ユニットから生成された七つの光剣。
大小様々な形をしているが要は脳波を感知して動き回る独立ユニット。今や懐かしくなってしまったが過去に日本のアニメで見たことがある。
「ファンネル…。宛らアニメの世界ってワケ?」
「もっとも。そんなに世界は優しくはできてないけれどね!」
急速旋回。縦横無尽に縦に横にと飛び回りMark4を追いかけ始める。掛かるGは相当なものだがそれでも文句を言うことは無い。
狙いを定める、1本2本と光剣を打ち出し狙う。
1本ならまだしも7本も打ち出すと目まぐるしく視界が暗転する。
「うぇ…気持ち悪い…。良くアムロやシャアはこれをバンバン使ってたわね…。」
「アニメの世界だからね…。ニュータイプにはリリンは成れない、でもせめて君なら強化人間くらいのスペックはあるんじゃないかな?」
「簡単に言ってくれる!ッ!カヲル左斜め後方ッ!」
アンチATフィールドを纏ったそれが否応無しに突っ込んでくる。
「よく感知出来たね。リリンはやはり面白いよ…。」
「脳が焼き切れそうよ…。まったく…。次!下から!」
光弾やら触腕やらをアタシの声一つで回避しているカヲルもさることながら、ヒトの身に無理やり戻されたアタシでさえもこれだけの感知能力があるとなるとあながちヒトは侮れない。
「ッ!」
脳に電流が走る。成程、そういう事か。
期待が反応するよりも早く光剣の1本を頭上に打ち出す。
撃ち抜かれた04Aは爆散し十字の光を伴い消える。
「いやいや…。これだけの短期間でエンディミオン・ユニットに適応できるとは…。さすが式波君だね。」
「それ、嫌味にしか聞こえないんだけど…。」
加速する戦況に幾らか慣れてきた。さっきのに続き2機、3機と撃墜し残るはMark6と04cのみとなる。
重い首を表にあげこちらを睨むMark6
「元愛機とは言え、堕ちたモノ…。壊すのに躊躇いはないさ…。」
「はっ!どうだか?」
ロンギヌス・レプリカを掲げ宙に出たMark6
ソレを援護するかのように分裂した04cはフィールド反射膜を展開し04Bを生成した。
「大詰めってワケね。カヲル、さっさと決めるわよ。」
「うん。早く行かなければ…ソウリュウ君が危うい。」
再起動を果たした第13号機と渡り合うほどの力を有しているとも思えない新2
増援に行ってやりたいところだが…まだそれは叶わない。
「あぁ!もうしつこい!さっさとどけぇ!」
第13号機の腕とコアのみで形成されたエヴァらしきモノがぴょんぴょんと飛び回りチクチクと8号機を攻撃する。
その内の一体が腕に取り付き自爆したことで片腕は欠損し劣勢を強いられている。
「ちょこまかちょこまかしつこいんじゃい!」
何機も蹴り飛ばすも直ぐにぴょんぴょんと近づいてプログレッシブナイフによって切りつけられる。
「武装は全部パージした。もう残ってる武器はこれしかない!」
新2が放り投げた回転式鋸のようなそれの片割れがどういう奇跡かそこに落ちていた。
振り回すように飛び回るそれらを切りつける。
それでもなお、襲ってくるそれらに為す術はない。
「ヤバっ!」
残されたもう片方の腕さえも爆散し両腕が欠損する。
その痛みに耐えモニターを睨みつけるマリ。
その瞳には第13号機と対峙する新2の姿が映っている。
「このぉぉぉ!」
何度も袈裟羅と婆娑羅を振るい果敢にも第13号機に切りかかるも赤い二股の槍によっていなされてしまう。
その動きはどこか自分に似たものさえ感じる。
式波タイプはあれに乗っている彼女とオリジナルの自分しかいない筈なのに。
「なんで!届かないの!よ!」
我武者羅に振るうも軽く流されてしまう新2、剰え最後のなぎ払いによって姿勢を崩してしまう。
喉元に突き立てられたロンギヌスの槍。だがその状況にも関わらず不敵に笑みを浮かべる。
「掛かったわね。」
肩より生えたもう一対の腕がロンギヌスの槍をしっかりと掴む。既にソウリュウは第9の使徒たるその力を解放していたのだ、バチバチと稲妻が舞う。
「裏コード…999。」
隠されていた真の権能を引き出す。
ソウリュウの体に使徒封印柱は仕込まれていない。
青白く輝く右の眼、それは我が身を捨ててでも第13号機を殲滅するという意思が取れる。
鳴り響く警報音。自身の身につけたDSSチョーカーが作動する。
「エンジェルブラッド…全量注入…。」
歯を食いしばるソウリュウ。今までに経験したことの無い痛みに全身が犯される。涙目になりながらも目の前の第13号機を睨みつける。
「貴方が…止まれば…。センセイも…!ツバメも笑って暮らせるのッ!そうすれば…!あの子だってッ!」
祈りを込めた呪言。彼女の願いはただ1つ。第3村の面々が安心して暮らせる世を作るだけ。
感謝してもしきれないほどの人の温かさを学んだ。シンジ以外の人の温もりに触れた。初めて友達と言える人が出来た。その想いが彼女を突き動かす。
人の域に留めていたエヴァがアダムスの分身たるそれが使徒を取り込んだことによる擬似進化形態。初号機のそれとも、第13号機のそれとも様相が異なる悪鬼羅刹。
邪魔だと言わんばかりに義体であるJAユニットから体を引き抜く。ブチブチと音を立て引き抜けるケーブルの類。
痛々しく縫合された素体が姿を現す。ぐぐぐと身を震わせるとあの時の初号機のような光の腕が形成された。腕だけではない。下半身すらもその爆発的なエネルギーによって再生させむくむくとそのサイズをエヴァの身体から何倍もに膨れ上がる。
腰部にマウントされた停止信号プラグを引き抜く。
「動いていようが!いなかろうがァァッ!これでおしまいよッ!」
第13号機の四肢を巨大になった腕で拘束し宙に釣り上げる。
鳥葬の如く磔にされた第13号機拘束を逃れようと身動ぎをするもその巨体故に指1つ動かすことは叶わない。
コアを目掛け一気に振り下ろされる停止信号プラグ。
「これでラストぉぉぉッ!!」
コアに届く寸前。抵抗を諦めたかに見えた第13号機はその眼から光線を放ち停止信号プラグを握った腕を穿つ。
爆散した腕と停止信号プラグ、全身を襲う強烈な痛みにソウリュウは絶叫する。
痛みだけではなかった。悔しさと憎悪と悲しみと怒り。全てが入り交じった強烈な叫び。
それに呼応するように空気が抜けた風船のように萎み出す。
エヴァと大差ないサイズに戻るとその首根っこを締めるように掴む第13号機。
そして第13号機の腕が新2のコアを。エントリープラグのある場所へと叩き込まれる。
「式波タイプのオリジナルよ…なぜ私に離反した。」
エントリープラグの先から元凶たる男の声が響く。
「お莫迦さん…。離反も何も私は好きなようにさせて貰ってただけよ…?」
「もとよりお前は第13号機の調整用に生かされていた。それを理解した上での行動なのか?」
「さぁ?少なからず貴方よりはシンジさんの方がまともだったってだけよ。」
プラグスーツの首元を引き裂きDSSチョーカーをさらけ出す。
「こういうのをネズミの最後っ屁って言うのかしらね…。あーあ。生きて帰りたかった。」
新2が再起動し残された力で第13号機へまとわりつく。
「貴様!離せ!」
「ここまでしておいて離すわけ無いでしょう?本当にお莫迦さんね…。」
身を乗り出しゲンドウを睨みつける。
「死なば諸共よ。」
不敵に微笑むソウリュウ。だがその瞳には寂しさが映る。
プラグ内の自爆装置も起動した。
あとはコイツを巻き込んで自爆するのみ。
だか一筋の涙が頬を伝う。
―あーあ…。もっとシンジさんと一緒に居たかった。もっとアスカさんを知ればよかった。―
ボロボロとこぼれる涙、それでもゲンドウを睨むのは止めない。
「貴方がいなければこの儀式は終わりを迎える。全部が全部貴方の思惑通りになるとは思わない事ね!」
―ツバメ…元気かなぁ?センセイは…?あの患者さんは腰良くなったのかなぁ?―
思い返すのは他人の事ばかり。安寧をもたらすべく死を選んだ。彼女…アヤナミは笑って私を迎えてくれるだろうか?
最後に彼女は大好きな彼と彼女と変わってくれたあの子の顔が見たくなった。
モニターをつけ泣きながらも満面の笑みで通信を繋げる。
「…やっぱり君がアスカと換わってたのか…ソウリュウ…。」
「辛気臭い顔はしないの!私が全部引受けるから…。」
にっこりと笑う。それでもシンジは悲しみの表情を浮かべる。
「バカ言ってんじゃ無いわよ!ソウリュウ!アンタも生きてこっちに戻って来なさいよ!」
「お莫迦さんね…。そんなことしたら新2のATフィールドは消える。そうなったら元も子も無いじゃない。」
「だからって!死まで許した覚えは無いッ!」
「ホンットにワガママなヒト…。良い?あなた達2人は絶対に生きて帰りなさい。あなた達を待ってる人がいる、貴方たちを頑張ったって抱きしめたい人がいるだから生きて帰りなさい。」
涙ぐむ声で話すソウリュウ。
「そんなの!君も同じだッ!僕らと一緒に帰ってまたツバメちゃんに!トウジに顔を見せろよッ!」
「…ッ。あーあ…通信、繋げるんじゃなかった。こんなの悲しくなるだけじゃない…。あとは任せるわ。」
「「待てよッ!ソウリュウ!」」
「アスカさん。貴方とは仲良くなれたら良かった。二人で並んで歩いて美人姉妹ねって笑われたかったわ。」
「アンタが一番の大馬鹿者だわ!勝手に死のうとするな!」
「シンジさん、好きだったよ。第13号機から引っ張りだされた時は貴方を信じられなかった。でも村で暮らして貴方が本当私を大切にしてくれてるのがわかったから…。」
「ソウリュウ!」
「2人とも――」
コアが圧縮崩壊しその機体も萎むように臨界を迎えてNERV本部を巻き込む大爆発を起こす。
最後の一声は爆発の光と爆音によってかき消されて消えてしまった。
元より…シキナミのオリジナルはこの為に…。
別れは悲しいものです…。
次回はシンジとアスカ、両名の新人類としての覚醒を描きます。
そこ、ニュータイプとか言わない。
参考にしてるのはニュータイプだけどね…?
原稿が追いつきました。頑張って書きます。