Re Take of Evangelion 作:Air1204
生きてます。
練っては消し練っては消しを繰り返し
挙句の果てに飽きてシャドバに逃げてました。
これからはちょこちょこ更新します。
許して。
「…。うっ!」
泣かないと決めたのに立て続けにこれだけの人が自分の前から居なくなる。捨てたはずの感情が胸の内で高鳴る。
恨めしそうにMark6を睨みつける。
「アンタが…アンタが邪魔をしなければァァァッ!」
七つの光剣がMark6へと何度も突き立てられる。
3+4号機の装甲の色が怒りの色に染まる。
「驚いた…。彼女の死が…。式波君を更なる高みに押し上げたって言うのか…。」
既に操作系はカヲルの手を離れた。それを駆るのはアスカの怒りただ一つだ。
ズタズタに切り裂かれ影も形も残らずに塵と化したMark6。主を失った04Bは殲滅対象を滅するべく3+4号機へとそのフィールド反射膜を集める。だが3+4号機、いやアスカの敵では無い。
「邪魔よ。」
七つの剣が駆け回りズタズタと反射膜を切り裂く。
行き場を無くした04bは右往左往と切れた反射膜を漂う。
「Ende,」
あすかの一声で光剣は本体を穿つ。
今まで顔を上げなかったアスカの瞳からは一筋の涙がこぼれ落ちた。その瞳には十字に光が灯っていた。
「ソウ…リュウ…。」
彼女がこの世界で生きやすいように名前を付けた、それこそ自分の愛してやまない人の名前。
好きだったから…。好きになれたからその人の名前を彼女に授けた、最初こそ、ただ自分の都合のいいように懐柔しただけのつもりだった。
なのに彼女はあの村で生活した彼女と共に生活をするにつれて僕は彼女にも惹かれていた。
僕を頼りにしてくれていた彼女と共に居る事を望んでいた。
だからこそのこの悲しみ。これはきっと彼の感情ではない。
僕の感情だ。ふつふつと滾るその感情。
爆心地であるNERV本部へ目を送る。
黙々とした煙が晴れる。
目下目標の第13号機は健在だ。
装甲の所々は砕けその素体が顕になっている。
砕けた顔から覗かせるその四眼たるその眼は素体たるその顔が顕になり禍々しさが増している。
「綾波…。もう良いよ。」
その呼び掛けに答えるように14年経った姿で現れる綾波。
「もう…良いの?」
「うん…ありがとう。もう大丈夫だよ。あとは僕がやる。」
その制御システムとして本来の6割程度の力しか出せていなかった初号機とヴンダー。だからこそ…これからの戦いに遠慮はない。
「そう…。なら碇くんに任せる。」
そう言って姿を消した綾波。本来の力の100%を引き出すべくその操作系を握りしめる。
「流石は人ならざる域に到達した第13号機か…。ソウリュウの命を賭した攻撃でもあの程度の損傷なんて…。ッ!」
刹那、ヴンダーに衝撃が起こる。
先の戦いで殲滅したはずのMark9がヴンダーに取り付きその触手のような根を下ろしていた。いつの間にッ!?
制御システムの4割を即座に乗っ取られヴンダーからも光の翼が展開される。
それに呼応するかのように槍へと変貌した黒き月が地獄の門門へと突き刺さろうと下降を始めた。
「ここまでは…父さんのシナリオ通りってワケか…。」
睨むように第13号機を見つめる。素体をさらけ出したソレは不敵に笑っているかのようにも見える。
「ごめん。Mark9…。アヤナミ…。ッ!」
新造されたとは言え元はあのアヤナミレイの機体だったそれを憂う。例え誰であろうと邪魔をするものは殲滅する。ヴンダーの肋を突き破りソコへ取り付いたMark9の首を掴みあげる。もがく様にじたばたとする様はまるで子供の様だ。
それでも僕は構わずそれを折れた肋へと叩きつける。
咄嗟の行動に反応すらできなかったそれはされるがままに突き刺さる。それでも尚動くことを、ヴンダーを乗っ取ろうともがいているのが見ていてとても痛々しかった。
「この戦いが終われば…。君達も自由にしてあげられる…だから…どうか…。」
祈りにも似た言葉。それでも尚その役目をはたさんとするMark9。だがそれを見ている余裕もなく、悪鬼の如きその顔をさらけ出した第13号機。それを睨みつけつぶやく。
「父さんッ!」
「式波タイプのオリジナルの最後の抵抗は無駄に終わったようだな…シンジ。あの程度の物で神が亡びるわけが無いだろう…?」
「無駄じゃないッ!彼女は自分の命を賭してまでここまで時間を稼いだッ!後は僕達が貴方を何とかするッ!」
操縦棍を握りしめ新たなるヴンダーの姿をイメージする。
人型で大きく…そして今までのエヴァを踏襲した姿を。
それに応えるように、ヴンダーのその形を人型へと姿を変えていく。
予期せぬその変形に戸惑うクルーたちの声が響く。それでも構うことはない。被害を広げぬように乗組員達を1箇所に集める。
翼であったそれは腕へと姿を変え尾翼はその質量を無視した脚へと姿を変えた。
これが最終決戦になる。これ以上誰も死なせる訳にはいかないと吠えるように父さんに言い放つ。
「父さんの思いどおりにはさせないッ!」
「止められるものなら止めてみるが良い!」
3つのエンジェル・ハイロゥを展開しその推力で宙に留まる、とはいえ3機の戦艦を相手にするのは流石にこの姿でも骨が折れる。
ゆっくりと降下していた黒き月が地獄の門に突き刺さりその深淵へと姿を消した。噴水の如く吹き上がるエヴァインフィニティの群れが渦を巻き波を立て世界各地へと飛び散る。残された時間はあとわずかしかない。睨み合う僕と父さん、正直言って不利だ。だがその状況を打破すべくカヲル君とアスカの駆る3+4号機が舞い戻る。
「待たせたね。シンジくん。」
変わらぬ声色で安心させるかのように言うカヲル君、かえってアスカは暗い声色で話しかけてくる。
「…バカシンジ遅くなった…。」
浮かない表情のアスカ、その瞳は十字に輝いている。ヒトとして次のステージに進んだ彼女には嫌という程にソウリュウの最後の気持ちが流れ込んでいるのだと、そう思えた。
「ごめん…アスカ。僕が…しっかりしていれば…。」
「アンタが謝ることじゃない。さっさとケリをつけた方があの子の為だから…。やるわよ。」
「うん。」
「ちょっと待ったあぁ!2人だけにいい顔させないよんッ!」
割り込むようにマリさんの怒号が響く。
未だに取り付かんとしているMark9、それの背後から8号機が飛び付いた。
「あらよっと!」
フェイスが展開しその口が開く。Mark9の腕の1本を食いちぎるとそれを自分の肩にくっつけるとまるで自分の腕かのようにその姿を変えた。
そのまま頭部からエントリープラグまで貪ると背部にエンジェル・ハイロゥを展開し3+4号機と同じように宙を舞う。
「おまた!シンジ君!アスカ!」
「マリさん。」
「遅かったわね?あの腕、そんなに手強かったの?」
「まぁちと…ね?すまないねシンジ君。ソウリュウちゃん、助けられなかったよ…。」
マリさんらしからぬ暗い声、らしくないよと叱責出来るほど僕も出来ちゃいない。
「マリさんは気に病まなくていいよ。不甲斐ないのは僕だ、入れ替わりの違和感にすぐに気付けたはずなのに…。」
「けど、彼女のお陰でゲンドウくんが贄として使える使徒は居なくなった。」
睨むように滅紫色の機体に視線を送る。
「何度話してもお前には理解できないようだな…。シンジ、お前は母であるユイに会いたいとは思わないのか?」
「…お生憎様、前にも話したように僕は母さんには会わなくても良い。それよりもこの世界が、この星に生きとし生ける生命が消えてしまう方が…僕にとっては問題だ。」
「他のヒトの換えなどいくらでも効く。肉体を捨て魂の形を変えれば生命は無限に生き長らえることが出来る。なぜそれを理解しない…。」
静かに唸るように声を出す。恨み辛みがある訳では無い。
「ヒトの…生命体の命は有限だからこそ綺麗なんだ。その一瞬の煌めき一つ一つがヒトの希望であり祈りなんだよ!」
「仕方ない…。回り道をしよう。父としてお前と同じ土俵に立ってやるのも悪くはないからな…。」
2番艦の鼻先に降り立つ第13号機。腕を組み仁王立ちしているそれを尻目にエルヴズュンデはその姿はヴンダーと同じく漆黒の弩級人型決戦兵器の姿となった。
「僕達は…。補完計画による絶望のリセットよりも、希望のコンテニューを選ぶ。」
「…シンジ!」
巨大な手と手が殴り合う、その衝撃波が辺りに広がる。
「シンジ!碇ゲンドウは任せた!4番艦はアタシが潰す!」
「うん!任せたよアスカ!」
「同じくぅ!3番艦はアッシが請け負うよん!」
「ありがとう。マリさん!」
滅紫色のラインが入ったその巨大な顔を睨む。
ひしひしとその悪意が胸に刺さるように感じた。
どうやら僕にもアスカと同じ様な力に目覚めつつあるようだ。
「度重なる疑似進化形態がお前を人類として更なる高みへと連れ出したか…。それでは困るのだよ…。お前や式波君のような人類の新たな可能性は…我々にとって邪魔になる。一刻も早く消さなければ…な!」
敵機の肩パイロンから湧き出るようにしてビットが飛び出てくる。
こちらも負けじとビットを放つ。
弩級人型決戦兵器同士の戦いの火蓋が切って落とされた。
「こうして相対すると…篦棒なデカさしてるわね…。」
「そうは言えども…君には関係ないだろう?」
「当たり前よ。何がなんでもNERVのエヴァは全機落とすッ!カヲル出力を!」
「承知した!」
唸りを上げさらに出力を増すエンディミオン・ユニット。
轟々と烈火の如く燃え上がるように吹き出す光の翼。口腔は青白く光を放ち、光の剣はその刀身を燃えるような赤色に染め上げた。限界を超えたその力は、両肩と両膝の辺りにマイクロブラックホールを生成した。
「形振り構うもんか。一気にカタをつけさせてもらうわ!」
真紅に燃える光剣を縦横無尽に駆け巡らせる。撃ち落とさんと4番艦もビットを放ち使徒と同じような光線を放つ。
雌雄のない汚れなきアドバンスドアヤナミシリーズ。だからこそ脳波で制御するビットを遺憾無く使いこなすことが出来るのだろう。やっとの思いで辿り着いた境地だというのに、それを平然とやってのけられるのは悔しいものだ。
目線をを甲板に座すMark12へと向ける。首を傾げこちらを見やるそれから感じられるのは無邪気さのみだった。
「子供に構ってられるかッ!」
狙いを4番艦に絞り網の目を掻い潜るようにビットと光線をくぐり抜ける。
光剣を握りしめ、戦艦の鼻っ面目掛けて振り下ろす。
だがそれを防ぐかのようにMark12が割って入りそれを受ける。
全身がコアとはいえ痛みは伴う。それは嫌という程に伝わってくる。無視しようにも出来ないこの胸に直接響くその声。出る嗚咽を飲み下しながらも殲滅せんと振るう剣。何度も防がれるも漸くその鼻っ面にそれを突き立てた。火花を散らし体制を崩したそれは轟々と黒煙を上げる。
それでも沈まぬのはガフの守り人たる船の権能か。
今度こそ沈めてやると決意を固め持てる力を全て出し切るつもりで4番艦に光剣を突き立てる。
「沈めぇッ!ッ!?何!?」
だがそれは唐突に横から殴り込むようにして入ってきた巨大な腕によって憚られる。
「ッ!コイツも…あれと同じように変形出来るってのッ!?」
腕だけを器用に変形させたそれは私達3+4号機を締め上げる。
「ぐっうぅ!カヲルッ!何とかしなさいよッ!」
「今やってるよ。全く人使いの荒いお姫様だ。」
「誰が姫だ!ナルシスホモ!」
「気が散るから変なこと言わないでくれ!」
鍵盤のように何度もコンソールを叩くカヲル。まるで血のように赤い瞳からは以前よりは考えられぬほど真剣さが伺える。
アタシと同じく、瞳に十字を宿したカヲルが真剣に何かを呟いている。
「ボソボソ言ってないでアタシにも伝わるように話せ!MAVだろ!」
「以前同様にMark9がヴンダーに接触した時にした侵食。人外未知のエンディミオン・ユニットを搭載したこの機体なら同じことが出来ると思ってね…。」
「それって…。」
「うん…。この船を乗っ取りこっちの戦力にする。そうすれば戦況は幾らか覆るだろう?…だがリスクもある。逆にこっちが乗っ取られる場合もあるからね…。」
「…メリットとデメリットどっちが大きいと思う?」
「そりゃあ勿論…。付き合ってくれるかい?」
「上等ね、何すればいい?」
ニヤリとほくそ笑みカヲルを見る。
言うと思ったと言わんばかりのカヲル、やれることはとことんやってみなければ始まらない。
「七つのうち五つの光剣を指定のポイントに撃ち込んで欲しいんだ、残りの二本でMark12を制しながら…出来るかい?」
「ッハ!これだけの巨体で激しく動き回るこれの指定ポイントに寸分の互いもなく突き立てろって?無茶苦茶言っててくれるわね!」
モニターに表示されたポイントに目を向ける。
中々にシビアな場所が表示されている。
「ココが4番艦のウィークポイント、言うなれば神経節のような物だ。だからここにあれを穿てれば…。」
「奪えるって言いたいわけね。」
こくりと頷くカヲル。ふっと短くため息をつき目線を向ける。
頭に1、両肩に1、心臓部に1腹部に1の計5カ所。
簡単な心臓部と腹部を除き、他の3箇所は防がれる可能性の方が高い。
目を落とせばわらわらと無限に湧き出るインフィニティ達が渦巻く。そううかうかしてられる時間はない。
兎に角腕から抜け出るのが先だ。
上空に光剣を打ち上げはるか上空からキリモミさせながら降り注がせる。ズタズタと切り裂かれた腕はたまらずにアタシたちを離す。
「これで一先ず自由ね…。」
呆気にとられているMark12を尻目に心臓部と腹部を目掛けそれを撃ち込む。
それは避けることも適わず深々と突き刺さった。
「流石、式波君。同時に2箇所とはね…」
「あとの3箇所が楽じゃないっての…。」
「センセイ、ご無沙汰です。」
一切の攻撃行動を示さない3番艦、その内部に潜入したマリは見知った後ろ姿の老人に声をかけた。
「その呼び名、懐かしいな…。イスカリオテのマリア。」
「嫌だなぁ?最初から私はずっとイエスの守り人だよ?」
嘲笑するように言った老人、冬月の言葉を皮肉を込めて返す。
「最も、ユイくんに近しい女だったな…君は。」
「今や、ユイさんに1番近いのは彼ですよ。」
3番艦のモニターに目線を送る。映し出されているのはヴンダーと2番艦の壮絶な殴り合い。
「第3の少年か…。彼にはこの世界の真実を告げたよ。」
「貴方は本当に不憫な役回りをする…。そういう話は父であるゲンドウくんがすべきはずでは?」
カツカツと艦橋にハイヒールを鳴らしながら進むマリ。だが、冬月は視線を逸らすことなく告げる。
「第3の少年より子供だからな…アイツは…。にしても第3の少年…彼は…。」
何かを言いかけたところでマリがその言葉を遮る。
「知っての通り我々の知り得る時代の碇シンジくんではありません。もっと未来の、いや…遥かなる過去からやってきたのか…。でも彼の性根は明らかに成長している。」
「だからか…私の話に驚くこともなく、ニコニコとしていたのは…。」
「それだけではないと思いますけどね。でも貴方達の計画は必ずここで終わる。」
「分かっているよ。それでも今暫くは碇のワガママに付き合ってやるつもりだ…。」
額に汗を流しながら答える冬月。その様子を見てマリが気づく。このブリッジ内の異様なL結界密度の高さに。
「痩せ我慢ですか?ここのL結界密度はリリンにとってはキツすぎる。」
「元来、有人仕様では無いからな。真希波くん。君が欲しいものは全て準備してある。」
「わざわざありがとうございます。」
「第3の少年を、ユイくんの望みを果たせ。」
「皆まで言われなくとも私はシンジ君を助けますよ。ではセンセイ。ご武運を…。」
そう言い残しヒールの音は遠くへと消えていく。
1人になったブリッジ内で冬月は呟くように言う。
「ユイくん、これで良かったのかね?」
そう言い残すとその老人はLCLへと還元され爆散した。
ところ変わり第3村。空は黄昏時でも無いのに紫に染まり暴風が吹き荒れている。
シンジが直し補強したL結界浄化システムのおかげでインフィニティの波の大軍はそこに入ることは出来ず防波堤のように打ち付けてはその飛沫をあげている。
「なんや…何が起きとるんや…シンジ…。」
トウジは見送った親友の名を呟いた。それは親友、碇シンジが必ずこの状況を打破してくれると信じているからであった。
隣で身を震わせ怯えている、ヒカリを胸に抱き寄せる。
腕の中では酷く脅えたツバメが泣き声を上げている。
「…ワシはお前を…お前さんらを信じとる…。頼むで…式波…シンジ…ソウリュウさん。」
ケンスケは1人、その状況を収めるべくカメラを回す。だがその時、空高く舞い上がったインフィニティ、その一体が上空からその結界を突き破り落下してきた。
それはムクリと立ち上がると人々のいる方へその存在しない頭を向けた。
ザワつく民衆。
―ウォオォオォンッ!―
だがそれを制するように狼のような咆哮が木霊する。ものすごい速さで黒い影がそれに迫る。露出したコアの辺りに飛び付くと赤い血飛沫を吹き上げそれが倒れる。
「な、なんや…何が起きたんや…?」
トウジの見つめる先には獣の如き様相のエヴァ。ウルフパックがインフィニティを貪っている。
その甲殻には山吹色のラインが走る。
それが視界に入ったツバメはキャッキャと笑い声を上げ手を叩き始めた、ヒカリは無意識にその名を呟く。
「…そっくりさん?」
何の因果かアヤナミレイの残留思念はウルフパックへと集った。人性を欲したウルフパックに残ったマリの残留思念か、はたまた運命のいたずらなのか…。
薄れゆく意識の中彼女は思う。
―どうか…どうか、この村を守って。ツバメやあの人達が暮らすこの村を―
それに応えるかのように咆哮をあげたウルフパックは人々とインフィニティの間に割って入る。もし決壊しても自分が盾になれるように…と。
「父さんッ!」
打ち付け合う互いの拳。何度も繰り広げられたそれによって船体は大きく損傷し始めている。
ビットの大半もその役目を終え宙に漂う残骸と化している。
「争いは何も生まない。それを理解しえないのか!シンジ!」
「黙って死ぬよりはマシだ!初号機は絶対に父さんには渡さないッ!」
大きく足を振りかぶる。それをガードするかのように相手も足を振り上げるが互いの足がぶつかり砕ける。
互いにボロボロと船体は崩れ落ち立っているのさえやっとな姿になる。
エントリープラグ内ではぁはぁと肩で息をする。全身が痛い。それは父さんも変わらないはずだ、それなのに自分の意思を曲げようともしない。それは僕も同じか…。
「分からずや!なんでそう分かり合おうともしないんだ!!」
「お前と馴れ合うつもりは無い。さっさと諦めて初号機を明け渡せッ!」
「吐かせ!誰が渡すもんか!!」
おもむろに突き出された腕を手刀で叩き折る。
バチバチと稲光を上げ分断された腕が落ちインフィニティの群れの中へと消えた。
「どこまで私の邪魔をするのつもりだッ!」
「父さんが自分の計画を諦めない限りだッ!」
胸倉を掴みかかり額と額がぶつかり合う。激しく打ち付けられ火花を散らす。激しい戦いの末にその船体の胸部からは互いのエヴァが顔を覗かせている。
流石はアダムスの生き残り、そこいらの量産機や試験機とは訳が違う、新2の特攻によって傷つけられたその顔は見る影もなく、既に自己修復を終えていた。滅茶苦茶なスペック差それを埋める事は到底叶わないだろう…。
「…。碇くん?」
「そんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫。僕が必ず何とかしてみせるよ。」
怪訝な表情で僕の顔を覗き込む綾波。それでもその心配を拭うように僕は声をかける。
圧倒的戦力差は埋まらない。それは僕の経験を持ってしてもだ。
例え僕があるはずのない第1始祖民族だとしてもその優位性は覆らない。
僕の不安な気持ちがシンクロを通して綾波にまで伝播してしまったか…。
ん…?エヴァ初号機の…。コアは…母さんの筈…じゃあさっきから顔を出さないのは何でだ?
これはきっと母さんの望む諦観された神殺しじゃあない…。だとするなら…?既に…エヴァ初号機には…母さんの魂は残って…ない…?
「私を前に考え込むとは…!悠長なものだな!!」
第13号機の腕が初号機の首根っこを掴む。
もし僕の仮説が正しいのなら…試してみる価値はあるのかもしれない。
「あぁ。良いよ。父さん。これは力で決することじゃあない。」
「ようやく理解したか…。暴力や恐怖は我々の決着の基準ではないからな。」
「史上最大の親子喧嘩ってか…。なら最後はちゃぶ台囲んで大団円になればいいね。」
「素直に従えばよかったのだ…。最初から。」
そう言うと僕と父さん、いや、初号機と第13号機は互いに掴み合いながら地獄の門の下、マイナス宇宙へとその身を沈ませた。
「初号機、第13号機共に反応ロスト!!」
「マイナス宇宙か…。私たちには到底手の出せない、神の領域ね。」
「くっ…。マリやアスカたちは!?」
「健在です!主モニターに回します!!」
「にゃろー!!ちょこまかとじれったい!!往生際が悪いんだよーん!!」
オップファータイプの最後、Mark12を追いかける8号機と私は雌雄も穢れもないが故に、純粋な暴力の化身と化している私達に恐れ戦き逃げ惑っている。
Mark11はアスカと渚が対応してくれている。これを取り込めばあとは3+4号機が処理したあれを喰って終わりだ。
「はよう行かんとシンジくんが危ないんじゃい!!」
ATフィールドが変質し虎のような獣形取る。
その顋がそれの膝から上を丸々と飲み込む。
「3機目ぇ…。」
背部にエンジェルハイロウが3つ煌々と輝く。残るはあと1つ。
「頼むよアスカ。渚。」
「んにゃろー!!!巫山戯んじゃないわよ!!」
「式波君あと1箇所だ!」
「ええぃ!!洒落さァァい!!」
なりふり構っていられるものか!ビュンビュンと当たるかも分からぬ光剣を飛び回らせるよりも自らの手で刺してしまうのが手っ取り早い!
剣を手に携えスラスターを限界まで吹かし頭上まで駆け上がる。
さすがのサイズ差。掴みかかろうとこちらへ向け拳が空を切り迫る。その風圧に巻き込まれバランスを崩しそうになるが逆にその慣性の法則とも言える空気の流れを利用して巨大な腕を駆け下り、最後のウィークポイント、頭部めがけ一気に駆け下りる。
「これで!!ラストぉぉぉ!!」
轟くアタシの怒号が辺りに響き渡る。寸前最後っ屁と言わんばかりか触手のような何かが全身を襲う。脚を穿ちスラスターを穿ち腕を穿つ。ボロボロの満身創痍、ほぼ達磨のような姿になってもその歩みを止めるつもりは無い。
痛みよりもこの戦いに終止符を打つ方がよっぽどいい。
もがれた腕に変わり口で剣を咥え、降る、と言うよりも落ちていく勢いに任せその頭上に剣を叩きつける。
ふぅ…あとは渚に任せときゃいい…。死んでも文句ないわね…。
「式波君!よくやってくれた!あとは僕の方で!!」
怪しく赤い光を放つ眼。それに呼応するかのように五線譜が光り音階を刻む。ウィークポイントに突き刺さったそれがアンテナのような役割を果たすのか、その音を刻み込まれ身悶えをしている。耐えきれなくなった4番艦は形を船の形へと戻って行った。かく言う私達は推力を失ったせいでそのまま地面に真っ逆さま、だが、間一髪、マリの駆る8号機がその腕を伸ばしその身体を受け止めた。
「ナイス!!アスカ!渚!mark12はあっしが引き受けるよ!!」
「悪いわね。コネメガネ…。もう流石に機体も限界みたい…。後は…バカシンジのことは任せた!」
「請け負った!ヴンダーまでは連れて帰る!!」
「済まないね…真希波くん。」
「後はシンジくんがケリつけてくれるよ。あとは黙って待つだけさ…。いざとなったら私が迎えに行く。その為のプラスフォーインワンだからね。」
インフィニティの波が押し寄せる。だが辺りには先程のような激しい戦闘の音はもう無い。後はシンジ、あいつに託すしかないのだと嫌でも分からさられる静寂。ま、親子喧嘩、あとはあいつがどうにかしてくれると信じてる、何せアタシのシンジだから。
何時もながら誤字脱字はご愛嬌。
物語の流れも多分大丈夫なはず…。
指摘があればなんなりと