Re Take of Evangelion   作:Air1204

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なんか書いてたら長くなりすぎたので急2つに分けさせて下さい。
え?失踪したかと思った?
Xが動いてる限りは書いてると思ってくださいよ。
てなわけで久々の更新ですね。


第14話 Air 急 ①

「…まずは、無事に君達が帰還したことを感謝せねばなるまい…。」

 

「…。」

 

なんとか国連、戦自の猛攻を掻い潜ることができた。

それは、父さんが真実を叩きつけたのが大きな要因だろう。人類補完委員会、通称SEELE。アレがどう言った組織かと加持さんと父さんの2人がかき集めた情報を叩きつけた。

それに伴い、上からこの戦役に待ったがかかったのだ。言いなりであった他の支部、エヴァシリーズの建造に携わった各国も、あのような代物は建造していないと口々に言う。ケンスケが言っていた僕が第13の使徒という情報にも待ったが掛けられた状態だ。

それでも、亡くなった命が戻ることは無い。

僕やトウジが帰還すると同時にパイロット全員と役職者が重苦しい空気の中、この円卓へと集められた。

 

「すまなかった。何も伝えることもなく、身を隠したせいで疑われる要因を作ってしまったな。」

 

「うん。そこに関して先に説明してもらわなきゃならないよ。ー号機から吐き出されたと思ったらそのまま居なくなっちゃうんだもん、びっくりしたよ…。」

 

「NERV本部内に裏切り者が居ると加持君から聞いていた。それを炙り出すために私はこの身を隠すことに決めたのだ。私が居なくなればそれが自ずと炙り出される。そう思っていたからな。」

 

「成程。それで顔を覗かせたのが副司令だったと…。良くもまぁあそこまで知らぬ存ぜぬで隠し通せたね…あの人も…。」

 

「…ユイに会いたい一心で人の域を超えたのは確かだ。」

 

いつもの顎の下で手を組む姿勢は崩さないままに真実を述べる父さん。

 

「だとしてもこの世界の流れはあまりにもおかしすぎるわ。アタシも知らない、カマホモも知らない、シンジも知らない、この世界に何が起きてるって言うのよ…。」

 

「まぁ、でもとりあえず、考えすぎるのもどうかと思いますけどね…。ひとまず、襲撃を乗り越えたそれではダメ…?」

 

「「…。」」

 

「…そういう訳にもいかないよ。綾波のこと、そして、新型のパイロット達のこと色々考えなくちゃならないk…。」

 

「ストォォップ!!!シンジ??さも当然かのようにいるその女は何!?普通にアンタにベッタリくっついてる意味がわからないのだけれど!?」

 

「せや!シンジ…帰ってきた思たら同じエントリープラグから出てきたそのおなごは誰や!?」

 

あぁ、そうか…ソウリュウとは、あの世界から一緒に居たから僕にとっては当然だし、アスカやカヲル君達も居たから余計に紹介なんて考えちゃいなかったね…。

 

「あぁ…ごめん…まず…彼女を紹介をする前に…。僕の身に何があったかを話さないとややこしくなるから…ね?」

 

あの世界であったことを話す。マリさんはよく知っている世界のようでウンウンと頷いては所々違う事象にびっくりしていた。それは父さんも同じ様であの世界がハッピーエンドで終わったというのが信じられないようだった。

 

「ということだね…。オリジナルのアスカとアヤナミを救えなかったのが心残りだったけど…どういう訳か…そのオリジナルのアスカはこうして他人としてこの世界に着いてきたって訳だから…。」

 

「よぅわからん棺に取り込まれて、出てきたと思ったら訳分からん姿になってたのはそのせいかいな…。」

 

「へぇ…。オリジナルだのクローンだの面倒臭いわね。ま、アタシ達には関係の無い話ね!」

 

「どっこい、この世界でも式波typeのテストベットは既に開発済みよん?だ、か、ら、姫のクローンが私達を襲ってくるかも?」

 

「げっ…それは勘弁かも…。自分相手とかやりづらすぎるし…。」

 

「…現実問題無理だろうね…。エヴァシリーズと良く似たあれにエントリープラグは刺さっていた。だとするならきっと、ナギサタイプかシキナミタイプのいずれかだと思うよ。」

 

「うへぇ…すり潰しちゃったよ…ごめんねぇ姫…。」

 

「…。それならまだいいじゃないの…。おぇっ…。あんなことしなきゃ良かったわよ…。」

 

「どんな潰し方したんだよ…アスカは…。」

 

「そりゃもう、積年の恨み辛みを晴らすが如く、過去の世界宜しくぐっちゃぐちゃに…。」

 

「み、皆まで言うなぁ!!」

 

顔を青ざめさせたアスカが慌てふためく、可愛らしいもんだね…。

…いつの間にメガネなんて掛け始めたのだろう…。今、聞きたいけど、きっと今じゃない。後で、2人になれたら、似合ってるよと伝えてあげよう。兎に角、先にソウリュウの名前を決めなくては…。

 

「て事で…名前が…ね?決まってなくて…。」

 

と言うよりも顔を見合わせるのは初めてだけど、とても綺麗な顔立ちをしているんだよなぁ…ソウリュウ…。

赤みがかった黒色の髪に色白の肌…。なっがいまつ毛に二重で赤い瞳。スッとした白い指…透き通るようなその白が映える整ったボディラ…。

 

「ウラァッ!」

 

「いった!?アスカァ!?」

 

「アンタ、変なこと考えたでしょ?だからよ悲しみの累積ってヤツ。」

 

流石はアスカと言ったところだね…。3年も離れてても僕の事をよく見てる。てか、普通に痛いんだけど。

 

「にゃははは!シンジくんも痛いとこ突かれるねぇ!でも無事帰ってよかったよ!」

 

「マリさん…。ありがとう。あの世界、身をもって経験したけど…結構散々だったよ…。それでもヒトは懸命に生きていたよ。」

 

「うんうん。私たちが通ってきた世界、経験してくれてよかったよ…にしてもサクラの事引っぱたくとは思わなかったけど。」

 

「それに関してはごめんって思ってる…。トウジ…ホントにごめん。」

 

「しゃあないやろ。誰でも検体とかモノ扱いされてシカトされとったら怒って当然じゃ。ワシがその場におったら逆にワシがぶっ飛ばしとる思うで。」

 

カラカラと快活に笑うトウジ、本当に優しいやつだと心から思う。本当は委員長、ケンスケの事で頭いっぱいな筈なのに…。

…それは僕も同じか…。

 

「ありがとう…。それで…。えっとソウ…リュウ?」

 

「えぇ?何かしら?」

 

「君の名前を決めようと思う。」

 

「まぁ、アスカがやりづらいだろうしね。妥当ね。」

 

険しい表情のミサトさんが口を開く。

あぁ、ごめんなさい。帰ってきてから…ろくに会話もできてないしね…。だからって人のムスコをその綺麗な脚でぐにぐにするのは辞めて欲しいんですよね…。

アスカもミサトさんも素直じゃないなぁ…。

 

「闇色の髪。うーん…常闇?違うわね…。夕凪…。ちょっと違うのよねぇ…。」

 

珍しくアスカがうーんうーんと唸っては苗字らしきものを呟く。

 

「うーん…。宵凪?…安直かな?」

 

「いーんじゃないの?中身がアタシなら凪なんて漢字似合わないわよ」

 

「ふふっまぁ確かに私の方が幾らか落ち着いていますものね?」

 

「ふぅん…。元アタシだってのに喧嘩売る気?」

 

「ストップ!ストップ!!ソウリュウも喧嘩売らないしアスカも買わない!」

 

「「どっち呼んでんだか分からないわよ!」」

 

ほれみろ…。こっちのアスカは式波だけど元惣流だし、頭おかしくなるよ!!

 

「宵凪リンネってのはどうかしら?この輪廻に終止符を打つ。という意味でもね?」

 

「ミサトさん…。凄いです…。」

 

「あらぁ?素直に褒めてくれるのね、私嬉しいw…」

 

「普段センスもクソも無いのに今回は完璧ですね!」

 

「やってられるかぁ!!久々に会えたと思ったらこの扱いは何なのよ!!」

 

「冗談ですよ。ミサトさん、あたらめてただいま。」

 

「まったく…。おかえりなさいシンジくん。元気そうで何よりよ。」

 

「ミサトさんも元気そうでなによりです。でも…まさかあのタイミングだけでエヴァの呪縛にかかるとは思いもしませんでしたけど…。…?ミサトさん…?なんか…デk…。」

 

「はぁいストップー。お話したいことも沢山あるだろうけど、まずはレイのことを考えないとね。」

 

…そうだ。何を浮かれて…まだなんにも解決しちゃいないんだ。ケンスケ達、ヱヴァンゲリヲンと呼ばれる新型の存在。そしてゼーレ、アルマロスの言葉の意味…僕にできることを…。

 

「シンジ君。そんなに怖い顔しないで?すぐに殺されるようなことには絶対にならない。それはさっきも説明したようにね、だからこそ僕達は彼らの目的を探らなければならない。何よりもあの裁定者の言葉が妙に引っかかるんだ…。」

 

「そうだね。ありがとうカヲル君…。」

 

「焦っても仕方ないのよバカシンジ。レイならヤワじゃないから問題ないわよ。何年アタシのバディやってた思ってんのよ…。」

 

「そうだよね…。ん?綾波が…アスカのバディだったの!?」

 

「そうよ。当たり前でしょ?あんたって言うエースが居なかったんだからアタシが組めるのなんてレイかマリくらいでしょうよ!」

 

「トウジとカヲル君は選択肢に上がらないんだ…。」

 

「カマホモとエセ関西弁は無理。スタンスが違うもの。足でまといよ」

 

「な、なんやて!?エセ関西弁て…しかも足手まといって!なんちゅーやっちゃ!」

 

「まぁまぁ、トウジは上手くやってるよ。私と組んだ時は姫やシンジくんに迫る戦績だもんね?」

 

「おお!せや!マリん言う通りや!ワシかて黙って見とったわけちゃうで!」

 

ふんっと鼻を鳴らして得意げに笑うトウジ。委員長のこと、心配でたまらないはずなのに、これだけ強く居られると言うのは凄いというか精神的に大きく成長しているという事だろう。

 

「ふん!いい気になって!模擬戦じゃ一度もアタシに勝てちゃ居ないじゃ無いのよ!!」

 

「なんやと!?178敗2分1勝や!!忘れたとは言わせへんで!?」

 

アスカから引き分けと勝ちをもぎ取ってる!?そっか…僕もうかうかしてられないや。

 

「シンジくん、本題を戻そう。君が以前SEELEに語っていた月と地球の関係。それはあながち間違っていないようだ。僕もそれに関しては、確証は得られていなかったが、どうやらあのヱヴァシリーズと呼ばれているアレらに用いられているのは旧時代の遺跡。即ち、『月』に存在していた文明の遺産である『エヴァシリーズ』とその文明の始祖たるリリスを用いたもののようだね。」

 

「やっぱりか…。尚ややこしいね…アレにはサードインパクト時のエネルギーが封じ込められている。破壊したとしても、腹部に突き立てられたロンギヌスの槍の模造品を取り込んでいる…だからか…。甲乙がー号機にダメージを与えられた理由っt…。」

 

言葉を遮るようにアスカに肩をガシッと掴まれる。

とても険しい表情を浮かべ僕を睨むように口を開く。

 

「少しはちゃんと説明をしなさい。分かりやすく、噛み砕いて。ね?」

 

うんうんと一同が頷く。まぁそうなるよねぇ…。

 

「そうだね、ちゃんと情報の共有はしなければならないね?付き合ってくれるかい?シンジ君。」

 

 

 

つまる話、地球でサードインパクトが起き、生命の絶滅が起きるとそれに呼応して月で、リリスが目を覚まし、生命活動を始める、そして月が次の地球として歩みを始めるわけだ。その逆も然り、幾度となくこの世界はその輪廻の中に居る。そういう話。

そして厄介なのが…

 

「月の住人は月でしか基本的に生きられない。そしてその世界で起きる事象がαだね。その逆がβ基本的にはこの世界は交わる事は無い。だから基本的にはシンジ君と式波君はαの住人だったはずだ、だからこそあの白いエヴァシリーズを知っている。反対に、シンジ君のお父さんや副司令等はβの世界の住人だ。だから使徒の数が13で終わっている。まぁ、僕と真希波君はイレギュラー的存在だね。」

 

流石はカヲル君。言ってることが本当に訳が分からないよ。

 

「…相変わらずこのナルシスホモの説明は胡散臭いし分かりにくいのよね…。もっとマシな説明しなさいよ!」

 

「参ったな…。これでも分かりやすく説明したつもりだったのだけれど…。君達2人は今は月の『世界』からやってきた存在なんだよ。本来、この『世界』にも君達は存在しているはず、だけれど、何かのイレギュラーでそれが書き変わってしまった。だから式波君の記憶が一時的に無かったんだよ。」

 

「…成程。まぁなんとなくは分かった。でも、シンジはそれだけじゃないんでしょ?」

 

「そうだね、彼に関して言うなら…。αでありβでありγでもある。故の1978回目の輪廻なんだろう…。」

 

「ち、ちょっと待ってよ。カヲル君は?マリさんは…?」

 

「私はαじゃただのモブっていうか…ユイさんの研究室に居たただの天才児ってだけだったからね。そこから急にβの世界に来て、5号機乗り回してシンジくんを導いてって動き回っていたから…。正直4〜5回くらいじゃないかにゃ?」

 

「何度も円環を繰り返している僕でさえ、君ほど円環の中心に居るシンジ君は見たことがない。しかも幾度も世界を書き換えているなんて…。」

 

難しい顔をしているカヲル君を尻目に、僕は僕にしか出来ないことを考える。この身が朽ちても綾波を救い出す。そして、ケンスケやマナがしようとしていることを止める。それだけは必ず…。

 

「端的に説明するよ…シンジ君、君はきっとその身を粉にしてもこの世界を正しく存続させようとするかもしれない。だが、君という存在はこの『世界』のキーであり、無くてはならない存在なんだ。噛み砕いて説明するなら…君が消えればこの世界も滅びの道を辿る。」

 

「ま、待ってよ!僕が消えたらこの世界が消える…?そんな訳…。」

 

そんな訳…!僕が居なくなったからって世界が終わる?

 

「…今まで君が起こしてきた奇跡を辿って見て欲しいんだ。それは…普通かい?初号機が引き起こした最初の変態。そして、君の心臓を取り込み引き起こした奇跡。ー号機の誕生…そして…2号機と零号機の変異…。リンネ君という存在の確立…全て偶然だと思うかい?」

 

はっとその場にいた全員が目を見開く。

そうだ…確かにそうだ…。こんな…偶然が全部重なるなんて有り得ない。今までもずっとずっとそうだった…偶然、奇跡を自分で手繰り寄せていた、そう思っていた…。

違う、違うんだ…僕が居るから僕のしたいように…奇跡が起こり続けるんだ…。

 

「良いかい?シンジ君。これから彼等は自分達の望みのために因果を歪めてでも君を殺しにくる。だがそれを拒む剣がこの世界には数多存在しているね?」

 

「ー号機…?」

 

「だけじゃないさ。でも、あながち間違ってはいない。あれは君が望むように動き続ける願いの聖杯さ。だからこそ君が絶望すれば先程のようにガフの扉は開いてしまう。式波君も綾波君も、葛城総司令も。そしてリンネ君も君の剣だ。だが同時に君の弱点でもある。」

 

「僕の…弱点…。」

 

「君は何度も世界を繰り返し…自分が強くなったと思っている。だが、それは仮初の姿でしかないのは自分でも理解しているはずだよ。」

 

カヲル…君?何を…?僕は強くなった…。皆を護れるくらいには強く、強く…。

だから僕には君が言っていることが理解出来ないよ…。

 

「…綾波君が連れ去られた時に…いや…その兆候はもっと前か…。鈴原くんがウルトビーズと対峙した時点で…君のソレノイドグラフは反転していた。護るべきものが傷ついた時、君の弱さは表に出る。自分が護れるからと高を括り。そして、それが叶わないと知れば君は…」

 

「やめろよ!!僕は弱くなんてない!!何度も世界を繰り返して!みんなを護って!幸せを叶えてきたんだ!!」

 

「だからこそだよ。君は自分の願いを他者の願いに重ねて、自分を犠牲にしたんだ。だから君の居た元の世界は消えてしまった。君という柱を失ったが故にね。」

 

「…ッ!!」

 

「君は他者の幸せを勘違いしている。君が犠牲になって自分達が幸せになるなんてみんな望んでいないんだよ。君が居て自分が幸せでなければならない。そう思っている。」

 

そんな事ッ!!出来るわけないよ…。僕は…要らない人間だ。

どの世界にも必要ないからはじき出されていた。ずっとずっとそう思っていたから…身を粉にしても願いを叶えていたのに…。

その世界が続かないなんて…じゃあ…ぼくはなんのために…?

自己満足で…勝手に死んだっていうの…?

 

「…。」

 

「ー号機も当分は使えない…何より、どのような封印を施されているか僕達にも分からないからね…。この機会に君は…自分とよく話をした方がいい。君を守るための剣であり、自分の弱さの象徴でもある彼女達との在り方を…。」

 

「…。」

 

 

 

以降、黙ってしまって、下を俯いたままのシンジに変わってアタシが書き記す。

バカマホモのせいっちゃせいなんだけど、それでもアイツの言葉に偽りはない、そう感じさせられていた。

庇うことも慰めることも許されないそんな状態。

だからこそ副艦長であるアタシは決断を下す。

シンジを守る為、自分の考えを改めさせる為に。

 

「……ミサト、シンジに権限は?」

 

「まだね、シンちゃんはこの船の正式な艦長じゃない。」

 

「そ、ありがと。シンジ、先に謝っておく、ごめん。でも、アンタのことが嫌いなんじゃない。皆アンタを大好きだからこの決断を下すしかないのよ。ー号機、現時刻をもって凍結。ー号機パイロットである碇シンジ大佐は降格。以降は少尉として…この船のクルーになってもらうわ。」

 

沈み込んだ暗い面持ちでそう伝えるしかない。

大丈夫…大丈夫。シンジなら…きっと。

 

「…なん…で?僕の…存在してる理由は君達を守る事なのに…どうしてだよ…!!アスカ!!!」

 

ぐっと、襟元を掴み掛って恨むようにアタシを睨む。

 

「…。このまま戦ってたらアンタ…死ぬわよ。アタシじゃ守り切れない。」

 

「みんなが死ぬよりは良い!!どうしてわかってくれないんだよ!!ケンスケに対抗出来る機体はー号機しかないのに!!なんでなんだよッ!!」

 

バシンと強い音が会議室に響く。パイプ椅子をなぎ倒して倒れるシンジ、その音の正体はマリがシンジを思いっ切り平手打ちした音だった。

 

「いい加減にしろワンコ君。アスカがどんな思いでそれを告げているか理解してるのか?ユイさんがどういう思いで君に初号機を託したか理解してんの!?」

 

「った…。なんなんっだよ!!僕が何したってんだ!!君らを守るって誓ったんだよ僕はッ!!」

 

食ってかかるシンジ、だがそれを許さないのはマリだ。

馬乗りになってシンジの襟を掴む。

 

「黙れ!!今のアンタに守って貰うほど私達はヤワじゃないッ!!もう少し自分を客観的に見つめ直せッ!!」

 

シンジの気持ちは痛いほどに分かる。

バカね、アタシをエヴァという呪縛から解き放った癖に、自分が今1番囚われてる。

愚民を守るのはエースの務めだったかしら?

とうにアタシは捨てた考えだ。だからこそレイに、マリに背中を預けられた。

そして、黙り込んでいたリンネが席を立つ。

つかつかと鋭い足取りでシンジに迫る。

流石に、2人にも叩かれてしまえばシンジが弱ってしまう、そう思ったアタシは止めに入ろうとするも、そうでは無い事が目の前で起こる。

 

「もういいのよ。今は…何も考えないで…ね?」

 

「リン…ネ?」

 

そう、アタシがしたくても出来なかったことをリンネはやって見せたのだ。優しく抱きとめて頭を抱え撫でる。

そんな簡単な仕草でも、今のシンジの気持ちを落ち着けるには効果覿面だった。

 

「もう、無理しなくていいから。今は休んで、目が覚めたら一緒に考えましょう?私がそばに居るから。」

 

そのリンネの言葉にハッとした表情を浮かべたシンジは間もなく瞳を閉じて深い眠りに落ち込んでしまった。

抱えきれない情報量そして、受け止めきれない真実にほぼ気絶と言っていい程の眠りへの落ち方…、ごめんね、シンジ…。

懺悔の言葉は届くこともなく。険しい表情のリンネはアタシたちに向けて鋭い視線を送ってくる。

 

「葛城さん、アスカさん。シンジさんは私で預かります。どれぐらい掛かるか分かりませんけど、NERVもない、WILLEも無い土地で少し休ませてあげないと、彼の心がもちません。」

 

「…そうは言っても警護対象。彼が死ねば世界が滅ぶというのなら私達の目の届く範疇に居てもらわないと困るわ。それに、彼を癒すというのならパッとでてきた貴方よりずっと一緒にいる私達の方が適任だと思うのだけれど?」

 

「あら、重役のあなた達が彼の側にいて何をしてあげることが出来るって言うのかしら?護るべき対象から『貴方はもう何もしないで』と言われた彼の気持ちを理解できるの?パッと出て来た私にそれを責められてるのに何が出来るのよ。」

 

嫌な売り言葉に買い言葉。当然だ、アタシたちが勝手すぎる。

勝てなければシンジに縋って、守ってもらっていたのに。

危険だと判断すれば切り捨てるなんて…。

でも、そうでもして少しでもこの状態から切り離さなければ、かえってシンジの身を滅ぼすのだと思った上での判断だ。

…でももっと優しくしてあげられたのかもしれない。

 

「姫はよくやってるよ。私にはこうすることしか出来なかったしね…。シンジ君ごめんね。辛い思いをさせてしまったね…。」

 

悲しい表情のマリがシンジを眺めて声を掛ける。まるで子を慈しむ母のような面持ちで…。

それでも、ミサトとリンネの喧騒は鳴り止まない。互いに罵倒し傷つけ合う様は到底、シンジには見せられない。

 

「ええ加減にしてくださいッ!」

 

握りしめた拳をステンレス製の円卓に凹むほどの勢いで叩きつけた鈴原が声を荒らげて2人を静止する。

 

「そんなん見たらシンジが悲しむとか思わんのかいッ!ワシだってケンスケとヒカリと守りたいもんは仰山おるんじゃ!守りたいんは分かる。でもゆっくりさせてあげてやってくださいよ!!総司令の会いたかった気持ちもよう分かります。でも今はそっとしておいてやらんと壊れてしまいます。」

 

「鈴原君…。」

 

「宵凪さん。シンジの事は任せるさかい…そばに居てやって下さい。きっとワシがおったら辛い思いをさせてしまう。シンジの奴はきっとヒカリとケンスケをどうにかせんといかんと考えてしまうからの…。」

 

「セ…鈴原さん。ありがとう。貴方は本当にどの世界でも優しいヒトなのね…。お義父さん異論は有りますか?」

 

「…無い。だが、有事の際は…。…というか今お義t…。」

 

「ー号機の起動プロトコルはわかっています。最悪私一人でも乗れますから。」

 

ちょっと気持ちの悪い笑みを浮かべた元司令を放って淡々と説明を続けるリンネ。バツの悪いように苦虫を噛み潰したような顔のミサトは未だそれを受け入れられないような表情で佇む。

重苦しい空気の中リンネは駆けつけた救護班と共にこの会議室を後にした。




まぁ、めんどくさい事にオリキャラを出してしまうと読者が着いてこなくなると言うのを痛感しながらも続きを投稿します。
根本的にはあんまり変わっていないシンジ君。
当分彼とリンネの出番は無くなる予定です。
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