Re Take of Evangelion   作:Air1204

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第4話 碇シンジの日常

あれから何日経ったのか。

手のやけどと内蔵を掻き回される感覚のせいで学校を休むこととなった。

相も変わらずミサトさんは戦後処理と予算に頭を振り回されてんてこ舞いみたいだ。

 

「もう!何回目よ!」

 

「とか言って。楽しんでるのはミサトさんでしょ?」

 

「う…。」

 

たわいもない会話。雨の降り頻る夕方。珍しく仕事を部下に押付け家に籠ったミサトさん。今日はダラダラしないと心がもたないという事でこういう事になったのだが…。

 

「シャワー浴びてきます。」

 

「…一緒にじゃないの?」

 

いじらしい笑みを浮かべてそう呟く。まったく…素直に一緒にと言えばいいものを…。

だがそれを許さぬかのようにドアホンが押される。

 

「まったく…誰だよこんな時に…。」

 

そそくさと服を着直して玄関のドアに張り付く。トウジ…。とケンスケ?委員長も…。

 

「ごめんください。あの碇くんいらっしゃいますか?」

 

「あー…はいはい…。」

 

ドアを開ける。キョトンとした顔で僕を見やる。

 

「転校生…傷良くなったんか?…。」

 

ぶっきらぼうに聞くトウジ。こっちも素直じゃない。

 

「傷はね。でも命令違反は強く響いたよ?」

 

「「うっ…。」」

 

「ま、2人が無事でよかったよ…。」

 

ドアにもたれ嘆息をもらす。何故かって?腰が痛いからだよ。

 

「明日は学校…来れそうか?」

 

不安そうな表情。別に行きたくなくて行ってない訳じゃないから心配して欲しくないんだけどなあ…。

 

「行くよ。ごめん、心配かけて。」

 

ぱぁっと明るくなる2人、そんな中何が気に食わないのか仏頂面のトウジ。

 

「態々プリント届けてくれてありがとう。委員長も忙しいのにありがとうね。」

 

「いいのよ。鈴原が行かないって言うから、あんた助けてもらった礼も言ってないんだからちゃんと言いなさいって連れてきただけだから…。」

 

流石委員長だ。

下を向きプルプルと震え耳まで真っ赤なトウジ。やれやれここまで何も言わないとは…。

 

「転…校…生…。その…。」

 

「なに?鈴原くん。」

 

「ワシが悪かった…。帰ったあとオジンにもオトンにもサクラにも怒られてもうた…。なしてお前は邪魔するんじゃって…。あの人が乗れんくなってしもたらどうするんじゃと。」

 

「うん。それで…?」

 

まだ何か言いたげなトウジに言うように促す。

 

「ワシを殴れい!投げられただけじゃ足りん。しかっとツラァ殴ってくれんとワシの気がすまんのじゃ!」

 

「鈴原!?」

 

「委員長良いんだよ。止めちゃダメだ。これがトウジなりのケジメの付け方なんだよ。」

 

「でも…。」

 

「シンちゃーん?お風呂湧いたわよーん?ってあらお友達?」

 

ショーパンにキャミソールそしてTシャツ姿のミサトさんが顔を覗かせる。

 

「んな!?碇!?お前こんな美人と一緒に住んでんのかよ!」

 

「まぁ…。一応…保護者…?うーん恋人?」

 

「っ!碇くん!不潔よ!まだ14歳なのに同棲なんて!!!」

 

「だから!うーん…。」

 

「あらあら…。3人ともありがとうね?わざわざシンちゃんの為に。おともだちちゃんと出来てたのね?」

 

「うち2人はつい先日僕が助けたやつですけどね…。」

 

「何でもええ!はよ殴らんかい!」

 

「うーん…気乗りはしないけど…。相田くん、委員長。ちょっと通路空けて?」

 

多分ちゃんと殴らねばトウジは納得しないだろう。その為に通路を空けさせる。後ろに立たれていたらかえって危ないからだ。

 

「じゃあ…いくよ?」

 

「うっし!来い!」

 

どんっと拳が左頬を撃ち抜く。後ろに吹っ飛び転がるトウジ。

 

「これで貸し借り無しだ。また明日から頼むよ。トウジ。」

 

「お、おう。シンジ。また明日からよろしくたのむで。ええパンチやったわ…。」

 

降りしきる雨は終わりを告げて雲の隙間から晴れ間が差す。

何故か僕の心も晴れやかで清々しい気持ちになった。

 

「シンちゃん意外と重いパンチするのね?」

 

「えぇ、まぁ、自衛のためですけど、一応人に舐められない程度にはやっておこうと…。」

 

「だからそんなに引き締まっていい体してんのね?」

 

すすっと人差し指が脇腹を這う。くすぐったくてかなわない。

シャワーをかける。

 

「わっぷちょっとぉ!顔は止めてよ!」

 

「脇はダメだって何度も言ってますよね!?」

 

「だってぇ、面白いんだもの。えい」

 

「ひぅ!」

 

「あははは、女の子みたいな声!」

 

「やりましたね!なら僕も!」

 

湯船に飛び込み脇をくすぐる。

 

「あははは、ちょシンちゃん!ストップ!すとっぷぅ!」

 

そう言われてもくすぐる手を緩めることは無い。

 

「しんちゃぁんだめよ!すとっぷ!」

 

これでもかと擽る。だがお腹の傷を見てその手が止まる。

 

「ごめんね?こんな傷あって…。見苦しいわよね…。」

 

表情を曇らせるミサトさん。この傷はセカンドインパクトでできた傷だとミサトさんは言っていた。優しく撫でる。

 

「ひぅ!」

 

「見苦しくなんかないですよ…。ちゃんと生きようと必死でもがいた結果ですから…。」

 

指を傷に這わす。上から下に。擽ったいのか身じろぎをする。

 

「んん!もう!触り方がえっちいのよ!ばか!」

 

顔を赤くし水をかけてくる。それでも僕は真剣な表情を崩さない。

 

「いずれこの傷を消すこともできるようになるはずです。使徒を全て倒してミサトさんの償いが終わったら…ね?その為に僕も協力しますよ、貴方のために…。」

 

「もう!ホントに恥ずかしがりもせずに淡々とそんなこと言われたらこっちだって恥ずかしいのよ!?」

 

「そう…ですか?」

 

「そうなの!あー全く!シンちゃぁん…もう1回…ね?」

 

身体を絡ませ紅潮した顔でねだってくる。

 

「え?もう1回!?せっかくシャワー浴びたのにもう1回ですか!?」

 

「お風呂だったら関係ない…でしょ?」

 

「まったく…。」

 

タガが外れた女は怖い。ましてやストレスMAXのミサトさん程怖いものは無いと身をもって知らしめられたのであった。

 

「シンジくん。最近調子良さそうですね?」

 

「…スゥ。まぁそうね?」

 

「学校でいい事でもあったんでしょうか?」

 

「そうじゃないかしら?先の事件の子達と仲良くやっているようだしね。昨日なんか2人揃ってシンジくんに謝りに来たんだから。」

 

「そうなんですね!よかった!だから葛城さんも調子よさそうなんですね!」

 

「うっ…。ま、まぁそんなとこかしら。」

 

「ミサト…アンタってほんとに馬鹿ね。」

 

「リ、リツコ…。そんなこと言わなくてもいいでしょ!?」

 

「サカリのついた大学生ね?まるで。」

 

「リツコ!」

 

エントリープラグで静観する僕。呆れ顔のリツコさんと赤面したミサトさん、キョトン顔のマヤさん。唖然としている日向さんが画角に収まる。傍から見たらすごい情報量だぞ。

 

「シンジくん。腰痛いだろうけどもう少しちゃんと座ってくれるかしら?」

 

「リツコさん!?」

 

「バレバレなのよ…。プラグスーツにはパイロット保護のためにいくつもの計器が装備されている。どこに不調があるか、すぐにわかるようになっているのよ。」

 

あいやー…。あんな呆れ顔のリツコさん初めて見たぞ…。

仕方ない…真面目にやろう…。

 

「零号機に乗り換えてこの数値…。初号機がベストだけど零号機でも可もなく不可もなくって感じね。」

 

「レイは?」

 

「初号機とのシンクロ率好調です。第4の使徒戦の時に乗せようとした時よりも15点高いです。」

 

「レイも実用の範囲内…と。」

 

先刻、零号機の解凍作業を含む改装が終わり、無事シンクロテストの運びとなった。以前の零号機暴走の事件からかとりあえず先に僕が零号機に乗って暴走の危険がないかを調べる、と言った具合なのだろう。

 

テストも無事終わり開放される。エントリープラグはLCLで満たされている分腰がいくらか楽なのだが地上ではそうはいかない。

 

「いっつつつ…。着替えるのも一苦労だよ…。」

 

何せ普段使わぬ筋肉を使っているため両脚まで筋肉痛なのだ。片足立ちがこんなに辛いとは思わなかった。

 

「碇くん。」

 

「どわぁ!?」

 

びっくりして姿勢を崩す。派手にすっ転ぶ。両脚にズボンを通したのが間違いだった。

 

「あ、綾波さん!?ここ、男子更衣室だけど…?」

 

派手に転んだ僕はパンツ姿のまま綾波に答える。

 

「なぜ、そんな姿で寝ているの?」

 

寝たくて寝たんじゃ無いんだよなぁ…。

 

「それに。」

 

「?」

 

「そこは無闇に見せるものでは無いと碇くんが言ったのよ。」

 

指を指されたその先を確認する。oh....。こんにちはしてるじゃないか…。

 

「あっちょっ…ごめん!」

 

急いで立ち上がり直そうにも足がもつれなかなか立ち上がれない。

 

「でも不思議。何故男と女は形が違う?」

 

「そんな冷静に言わなくても!ちょっと立ち上がるの助けてよ!」

 

「男性器…初めて。不思議な形。」

 

「そんなまじまじ見なくていいから!綾波ぃー!!!」

 

それから立ち上がるのに要したのは約10分。その間ずっと観察を続けまじまじと見られ続けたのであった。

幸いにもこってりと搾り取られた後だったのでおっ立たなかっただけ不幸中の幸いとも言える。

 

「いいかい!?綾波!必ずノック!僕以外の人が居たらどうするの!」

 

「どうもしないわ。」

 

「他の人も綾波に見られたら恥ずかしいんだよ!僕と同じように!」

 

「他人に見られてはダメ。他人のを見るのもダメ。難しい。」

 

「難しくなぁーい!」

 

「分からないわ。碇くんは怒ってる…。何故?」

 

「怒っちゃいないよ!だけど頼むよ!何も難しく考えなくていいんだよ!」

 

「怒ってない。それなら良かったわ。」

 

「うんまぁ…。怒ってないものは怒ってないしね。」

 

「不思議、碇くんと話してると胸がドキドキする。何故?」

 

「たのしいから?」

 

「楽しい…これが?」

 

小首を傾げ考える仕草をする綾波。可愛いんだから…。

 

「僕と話すのが楽しいのか色々と新しいことを教えてくれるから楽しいのかは分からないけれど。多分それが楽しいんだよ。」

 

「そう…これが楽しい。分かったわ。」

 

胸に拳を当て自分にその気持ちを刻み込む仕草。不思議な子だよホントに…。

 

「でもさっき碇くんが怒ったと思った時は胸がきゅっと傷んだ。」

 

「それは不安。嫌われてしまったらどうしよう。楽しくお話が出来なくなってしまう。そこから出る不安。」

 

「これが不安…。嫌われてしまう?碇くんに…。ドキドキしない…?嫌。胸がきゅっとして傷む。」

 

「そうだよ。他人に嫌われてしまうのは悲しいことなんだ。楽しいことができなくなるって言う悲しさなんだよ。」

 

「不安と悲しいは…似てる?」

 

「うん。けど悲しいはもっと胸がズキズキと傷むんだ。」

 

「まだ…私には分からない…。」

 

悲しげに下に目線を送る。僕が少しづつでも気持ちを、感情を綾波に教えてあげられたら、アスカとも仲良くしてくれるだろう。前はそういう世界もあった。すごく骨が折れたけどね。

 

「しーんちゃん。」

 

後ろから声をかけられ飛びつかれる。何やら上機嫌なミサトさんのお出ましだ。

 

「お疲れ様でした。ミサトさん。」

 

「さすがシンジくんね?トップスコア独走中よん?レイも以前よりスコアは上がってきてる。問題なさそうね。」

 

こくりと頷く綾波。そして、なぜだか自分の事のように誇らしげなミサトさんはへへんと鼻をさする。

 

「まるで自分のことみたいですね?」

 

「そのくらい嬉しいのよ。」

 

「葛城一尉。」

 

「なんだか胸がズキズキします。」

 

おやおやぁ?どこでそんなフラグが立ったのかな?

 

「やっぱりまだ治ってなかったのかしら…。リツコに…。」

 

「違います。その。碇くんに葛城一尉が抱きついた時にきゅっと胸が苦しくなって…それからズキズキと…。」

 

キョトンとした表情を浮かべるミサトさん。その意味を彼女なりに解釈したのかあらあらと微笑ましい表情になる。

 

「レイがシンジくんをねぇ?良い事ね?」

 

目線を僕に送る。元よりそのつもりだしその旨は一応ミサトさんにも伝えてはある。別の誰かを好きになっても貴方も大好きです…と。欲張りめ!ってデコピンされたけどそれでも構わないわと抱きしめられたのを思い出す。

 

「まだわからないですよ。それは決めつけになってしまいますから…。」

 

「碇くん。葛城一尉にしたように私にもして欲しい。」

 

「え゛!?」

 

突拍子もない提案にたじろぐ、だがニヤニヤとやっちゃえ顔のミサトさんはどうぞどうぞお好きなようにとイタズラに笑っている。

 

「綾波…いくよ…。」

 

「うん…。」

 

後ろからそっと抱きしめる。久々に抱きしめるがやはり細い。

明らかに健康的では無い細さに力を込めていいのかと一瞬躊躇う。

 

「碇くん。」

 

「は、はい?」

 

「ちゃんと」

 

「あぁ…はい…。」

 

どうやらしっかりくっつけとのご要望のようで上半身を背中にくっつけ腕に力を込める。

 

「暖かい…これが落ち着く?でもドキドキしてる…何故?」

 

頬が赤く染っている。初めての感情ばかりで戸惑うのも仕方ない。

 

「それが嬉しい。よレイ。そして恥ずかしい。」

 

「恥ずかしい…?でも楽しい時と一緒胸がドキドキしてる。…?違う…さっきと…脈拍が…こっちの方が少し早い…。」

 

もういいだろうと離れようとする、さすがに中腰でずっと抱きついているのはしんどい。ミサトさん良くあの姿勢で抱きつけたなぁ…。

 

「あっ…。」

 

名残惜しそうな声が上がる。咄嗟に出した手は僕の腕を掴む。

 

「ん?綾波…?」

 

「寂しさ…。碇くんが離れる時悲しいって思った…。だからもう少し…。」

 

「ふふっ。レイも人間らしくなってきたのね?」

 

細い笑みを浮かべその気持ちを胸に刻み込むように目を瞑る綾波。そしてそのまま…。

 

「すぅ…。すぅ…。」

 

「あの…ミサトさん…これ、寝てませんか…?」

 

「…寝てるわね…。」

 

「いやこの姿勢で寝るって凄いな…。」

 

「でもまぁ、今日はこのあと2人とも何も予定ないんだしもう少しこのままにしてあげれば?」

 

えぇ…それは僕の腰がもたない。確信犯と言わんばかりのミサトさんは男の子でしょ!っと僕の腰を軽く叩く。イラッとした僕はミサトさんの太ももをパンチ。声にならない声を上げ倒れ込む姿を見て大層満足したのであった。

 

 

あれから数刻、綾波の睡眠に付き添い僕もウトウト仕掛けたところで奴さんが目を覚ました。「ずっとこうして…?」と聞かれてまぁそうだねと答えた。それに対する返答はなく。ただ「ありがとう」と感謝を伝えられそのまま更衣室を出ていってしまった。心做しか耳先まで真っ赤だったのは忘れよう。それからは何事もなく帰路につく。今日は早めに床につこう…。なんだか疲れた。

 

「おはようございますミサトさん。」

 

「ふわぁー。んにゃ…。シンちゃん…早起きね…。」

 

今日からまた学校だ。授業は退屈だがトウジやケンスケがいると思えば多少は楽しみになる。本音を言うならミサトさんとイチャイチャしてる方が有意義なのだが…。

早起きした理由はたまには僕が朝ごはんを作ろうと思い至ったからだ。何千、何億回と作った料理。それだけ研鑽を重ねればそこらの料理人よりは上手く作れる自信がある。それをひけらかさないのはミサトさんやアスカのやる気をそいでしまえば必然的に僕が食事を作らねばならなくなるからだ。

かと言って手を抜く訳では無い、今朝もしっかり作れるものは作る。ベーコンエッグを乗せたトーストに低温調理した鶏胸肉を使ったチョップドサラダ。スープは冷製のコーンスープ。これだけやれれば上等であろう。

 

「んー…いい匂い…。たまには和食じゃないのも良いわね…。」

 

「もう少しでできますし先にシャワー浴びてきたらどうですか?」

 

「んーそうする!」

 

少し駄々を捏ねるかとも思ったが今日はすんなり入るようだ。

シャッとアコーディオンカーテンを閉める。ホントに今日はやけに素直だ。だがそんな関心もすぐに落胆へと変わる。

再び開くカーテン。

 

「シーンちゃん。覗いてもいいけど…。下着は持っていかないでネ♡」

 

イラッとした僕はそのままミサトさんを追いかけ脱衣所に、キャッキャウフフと盛り上がるミサトさんに「わざわざ出来るのに下着、とる必要ありますか?」と問いただす。

一転、モジモジと恥ずかしそうにするミサトさんの「バカ」の一言で僕の負けが確定した。そう、図られていたのだ、僕の行動、そして脱衣所に入ってくることも。

 

「もうここまで来たからには一緒に入りましょ?ね?」

 

向けられた少女のようなイタズラな笑顔にはぁとため息が漏れる。女性というのは本当にすごいなぁと感心するのであった。

 

シャワーを済ませ調理に戻る。何せ今日は作る弁当が1つ多い。

 

「あら…サンドウィッチ?」

 

ミサトさんが顔を覗かせる。せめてTシャツ位は羽織って欲しいものだ。パンツ一丁で出てこられてもこちらが困る。

例えバスタオルを肩に羽織り胸が隠れていたとしてもだ。

 

「…はい。今日はそういう気分だったので…。」

 

「でもなんで3つ?」

 

「あー、それはあ…。」

 

「私が当てるわ!レイね!?」

 

ふふんと誇らしげに答える。普通に考えそれしか答えなんて無いのだが…。

 

「僕とミサトさんはBLTと昨日のポテサラをホットサンドメーカーでチーズと一緒に焼いたヤツ。」

 

「?でもレイのもほぼ一緒じゃない?」

 

「それはちょーっと工夫してあるんです。肉嫌いでしょ?綾波って。」

 

ニヤリと笑みを浮かべる。まぁ大した工夫では無いが…。

 

「えー?教えてよシンちゃん。」

 

「企業秘密です。これはミサトさんでも教えてあげませーん。」

 

「けーちー!ええぃ!」

 

綾波のサンドイッチを1つ摘んで口へと放り込む。

 

「あ゛!ミサトさんのはこっちって言ったのに!」

 

「むふふ…。ん…。なにこれ…うっま…。本当にベーコンないの…?この肉みたいな食感と燻製の香りは…?」

 

「もー…。まったく…。僕、学校休んでる期間あったじゃないですか。あの時に暇だったから庭で燻製、作ってたんですよ。その時に。」

 

「えぇ…。文句言われなかったの…?」

 

「きちんとやりましたから。それで食感は…。」

 

こしょこしょと耳打ちをする。誰も聞いちゃいないが。

 

「えぇ!?冷凍して水分を抜いたこんにゃくぅ!?」

 

「しっ!声が大きい!誰かに聞かれたらどうするんですか!」

 

「しっかしそれだけでこんなにそれっぽく仕上がるのかしら…。」

 

「まぁそういうことも有るんですよ。」

 

「ふーん…。もう1個!えいっ!」

 

「あー!!」

 

またしてもひとつ食べられてしまう。作り直しじゃないか!

まぁでも満足そうなミサトさんだし。大目に見てあげよう…。

そうして、僕は朝餉をミサトさんととり、完成した弁当をもって家を出たのであった。行ってきますのキスは?それはもちろん…。

 

「ふぅ…。」

 

「お、碇!来たんだな!」

 

「あ、おはよう相田くん。」

 

学校につき大きな嘆息を漏らす。いの一番に挨拶をしてきたのはケンスケだった。

 

「もうケンスケでいいぜ。俺と碇の仲だろう?」

 

「いいのかな…?じゃあ…ケンスケ。おはよう?」

 

「おはよう!にしても腰押さえてるけどなんかあったのか?」

 

「あ、いや、昨日さシンクロテストで結構ハードなことさせられてさ…。困ったよ…起きたら痛いんだもの…。」

 

大嘘。きっとNERVで言っていたら白々しい目で見られていただろうな…。

 

「なぁんだそういうことかよ…。てっきりミサトさんと一発やっちまったのかと思ったぜ。」

 

そっちの方が正解だよ…ケンスケ…。

 

「お、おはようさん!」

 

「おはよう!トウジ!」

 

「おお、トウジ、今日は早いんだな。」

 

「オトンがはよ行ってこいって急かすからのう…。ホンマはもう少し寝ておきたかったんに…。」

 

こちらも大嘘。目の下のクマから見てわかるように僕に対してどう挨拶をすべきか考えていたら朝だったというのがオチだろう。

 

「頬、お父さんに何か言われた?」

 

「ワシが無理言って殴ってもらったんじゃって言ったらようやったのうって頭撫でて来よった。ほんまムカつく親父や…。」

 

「あはは、トウジのお父さんらしいじゃん。良かったよ。」

 

「あっから定時に帰ってくるんが増えよってメシィ4人分準備せにゃならんのや…。」

 

「え!?トウジん所も!?俺ん所も最近帰ってくるの早いんだよ!趣味に没頭できる時間が減っちゃってさぁ…。」

 

それに関しては手を回したのは僕だ、子供と一緒いる時間が作れるようにと僕の方から父さんに伝えて遺憾無く虎の威を借りたってわけだ。

 

「へぇ…でも良かったじゃん。家族一緒にいれるようになってさ!」

 

「碇んとこは…親父さん…一緒じゃないのか?」

 

「忙しいしね。従業参観や面談は全部ミサトさんに任せてあるから…。」

 

「親とくらさんでもあないな美人と住んでられたら本望やろ…。こんにゃろ!」

 

「あいた!トウジ!?何すんだよ!」

 

「悔しかったら追いついてみぃや!」

 

何気ない日常。とても学生らしいことをしている自分が正直信じられない。

これからどれだけ壊れるのか、どれだけの人が僕の元を去ってしまうのか、それを考えるだけで心が荒む。いくらこの街を守ろうと戦ったとしても結局はその余波である。敵が来る街というレッテルは貼られたままとなりそのまま戦場と化す街を疎開する人々が増えるのは当然である。

 

「なんだよ碇。席に着くなりそんな考え込んで…なんかあったのか?」

 

ケンスケの声で我に返る。いかんいかん。ネガティブなことは考えてはいけないんだった…。

 

「おわ!ごめんケンスケ…。」

 

「なんや辛気臭い顔しよったんか?いてこましたるで?」

 

「…それで負けるのはトウジなのに…。」

 

「なんやて!?もういっぺん言ってみい!」

 

「お〜怖っ!あんな粗暴もんほっとこうぜ。な?碇。」

 

ケラケラと笑い合い合うのが楽しい。出来るならこの2人にはエヴァに乗らない未来があって欲しい、そう願う。

 

「全くあの二人はいつまで経ってもあんななんだから…。」

 

「でも楽しそうだからいいじゃない。」

 

「ああいう気楽なバカが居ないと私達だって切羽詰まるわよ。」

 

「「確かにねー?」」

 

そんなたわいもない女子たちの会話。そしてそれを遮るようにガラガラと扉が開く。

 

「…おはよう。」

 

綾波だ。皆がざわめく。あの綾波さんが挨拶?どういう事?と口々に…。誰も返事を返さないのは如何程かと思うけどね…。

 

「綾波さんおはよう。今日は早いのね。」

 

「えぇ。えっと…」

 

「あら、覚えてないの?洞木よ。洞木ヒカリ。」

 

「ごめんなさい。洞木さん。覚えたわ。」

 

「うふふ。よろしくね。」

 

「うん。よろしく。」

 

2日目にしてこのコミュ力の発揮の仕方はエグくないか?何がそこまで彼女を変えた?トウジやケンスケが驚くなか僕は神妙な面持ちで考え込む。だがそれも構わずトコトコとこちらに来る綾波。幾度もループを重ねた僕でさえ見たことの無い顔で

 

「おはよう碇くん。昨日はありがとう。私にもお友達作れたわ。」

 

優しい微笑み。きっと心の底から嬉しいのだろう。恥ずかしそうに笑む彼女をパパラッチであるケンスケは見逃さなかった。

 

「うおぉぉ!綾波レイの笑顔だとぉ!?激レアじゃないか!と、撮らせてくれ!頼む!」

 

サッと僕の後ろに隠れる綾波。どこで覚えた?

 

「碇くん。この感情は何?ゾワゾワする。」

 

「それが怖いだよ、綾波。ケンスケ、綾波が怖がってる、やめてあげて欲しいんだ?」

 

「くっ…不覚…!てかさ碇、綾波とも仲良くなってんだな?」

 

「せや!センセェなんで綾波まで手懐けとるんじゃ!ミサトさんチューもんがありながらのう!」

 

「わー!わー!!それ以上言うな!」

 

えーどういうことー?とざわめく教室。最悪だ。

 

「なんや知らんのけ。センセはなぁ?NERVのえんらい美人な作戦部長と一緒に住んどるんや!」

 

「「えぇ!?」」

 

ほら言わんこっちゃないこんなにざわつかれて説明しろなんてたまったもんじゃない。

 

「しかもだよ。その作戦部長とつ…。」

 

綾波がケンスケの裾を引っ張る。

 

「それ以上はダメ。碇くんのプライベートの話。傷つく人も居る。」

 

「でもなぁ?綾波も許せないだろ?」

 

「なにが?」

 

「なにがって…そりゃあ…。」

 

「それが碇くんの幸せ。人に邪魔する権利は無い。」

 

きっと強い表情になる。たじろぐケンスケ。

なおのこと頭が痛い。厄介事を増やされるのは良くない。

でもだってと繰り広げられる論争に終止符を打つためにトウジとケンスケに笑顔で近寄る。

 

「なぁ2人とも?それ以上やるなら僕にも考えがある。」

 

「ほぉ?なんやその考えっちゅーのは?」

 

ガシッと腕を掴む。

 

「い、痛っ!なんや暴力け!?」

 

ギリギリと掴む腕に力を込める。

 

「うん。致し方ないだろう?この間みたいにぶん投げられたくなかったら早急に止めるべきだ。」

 

うぐぐと悔しそうな2人を見て不思議な表情の綾波。止めや止めやと投げられちゃ構わんとその話題を止める。全く。最初からそうすればいいものを…。

 

「碇くん、ありがとう。」

 

「逆だよ、綾波、僕の方こそありがとう。」

 

「何故か黙っていられなかった…。どうして?」

 

「うぅん…。なんでだろう…僕が困ってたから?」

 

「かもしれない…。いてもたってもいられなかった。」

 

人の成長とは3日見ずは何とかとよく言うが1日2日でここまでの人としての成長の著しさは正直信じられない。自分の事にさえ無頓着である綾波が他人に興味を示しあまつさえそれの心配をしているのだ。

 

「あぁ、そうだ綾波、これを。」

 

「?これは…何?」

 

「何って…弁当だよ。綾波が食事をしてるところ見たことないから…。口に合うか分からないけど…。」

 

弁当を受け取り顔を赤らめる。そして大事そうに抱えありがとうと呟くのだった。

 

「それ、肉入ってないから。苦手だって聞いてね…。」

 

「わざわざ私のため…?」

 

「まぁ…弁当の一つや二つ大して変わらないからさ。」

 

「そう…。私の為…。」

 

頬が緩むのが分かる、綾波の優しげな微笑みに見とれる。だが現実に引き戻されるようにサイレンが鳴り響く。

 

「緊急事態宣言…か。行こう綾波。」

 

「うん。」

 

こうして喧騒とした日常は終わりを告げまた戦場へと放り込まれるのであった。




うん…。ストックがあるから4本投げられましたけど…。余りハイペースで進めるとストックがなくなります。
序完結からはゆっくりにしようかなと…。
後は前に書きなぐった駄作でも並べながらダラダラと過ごそうとは思います…。
正直整合性を保つために何度も自分の文章を読み直し、原作の文字起こしを眺めBGMを聞きながら、と構想を練ってはいますが…。庵野さん…勝てねぇっすわ…。
誰かエヴァ版SEEDみたいなの作って世に発表してくんねぇかな…。
感想、意見お待ちしております…。
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