Re Take of Evangelion 作:Air1204
第6話 Voyager
第6の使徒との戦いから早くも2週間が経過した。
街の復興は進み以前までとは言わないものの人の流れも戻りつつある。それでも疎開をする生徒は増えたが…。
先の戦いで多大な損傷を受けた零号機だが例の変化した初号機と接触した影響か、はたまた綾波の精神的成長故か、目に見えて早くの再生、そして成長しているようで従来の装甲では対応できなくなってしまったようだ。
その点は初号機のデータ。F型装備及び現在の初号機のデータ解析が進みその技術が利用され改修が進みその名称を『試作零号機 ステージII F偏向制御運用実用機』と名称を改められた。
とうの綾波の精神的、思考的成長も著しく、ファッションや交友関係に興味を示し色々と質問して回っているようだ。リツコさん曰くいちばん厄介なのは母親というものに興味を示し私にもの欲しいと言い出したことらしい。
ミサトさんは先の戦いで三佐への昇進。当の本人はあまり嬉しくないようで、やれ責任が増えた、仕事が増えたと愚痴を零すことが多くなった。僕の腰も悲鳴を上げそうだけどね…。
僕も同じく先の戦いを含む対使徒における戦績と被害の少なさを評価され特例だが特務大佐及び作戦部 課長へと任命された。
父さん曰く、「葛城くんのストレスを緩和させるために役職者を増やす」と言うのが主な理由みたいだが…。世間体的に齢14という子供に任せて大丈夫な役職なのだろうかと思うところはある、だがそれに対しニヤリと副司令と顔を見合わせ「データ上は三等兵扱いになっている」と言うんだからこの超法規的武装組織には困ったものだ…。
今日は作戦部ということで僕とミサトさんが呼び出された。
なにやら頼みごとがあるみたいだ…。
何せ先日の日本重工の開発したJAが父さんやリツコさんの介入無しに暴走。原因も分からずに第2東京の実験場から市街地へと原子炉を暴走させながら闊歩したのだ。なんとか初号機のATフィールドで押さえ込み市街地での爆散と炉心融解だけは回避することは出来たが、その解体と散々言われたエヴァの悪口によりミサトさんがブチ切れて吸収合併し統括としてリツコさんを責任者まで押し上げてしまったのだから頭の痛いものだ。まぁ、それのおかげもあり、零号機の改修が進み、実戦配備まであと少しという所までこぎつけられたのだが…。
如何せん面白くないとゼーレの連中は初号機のデータを寄越せと言っているようだが、解析不能と回答をした父によって固唾を飲む結果となっているようだ。それがカモフラージュとなって零号機の改修には気づいていないようなのでよしとしよう。
コンコンと数回のノック後、父さんの「入れ」の声と共に電子ロックが外れ扉が開く。
「失礼します!作戦部 葛城ミサト。入室します!」
「あぁ。」
「やぁ!父さん久しぶり!」
ひょこっとミサトさんの裏から顔を出しおどけて見せる。
ミサトさんが耳打ちで「公務なんだからちゃんとなさい!司令すごい顔してる!」と言ってきたがあの顔は僕に会えてなおかつ公務も気にせずにフランクに挨拶をした僕への笑いかけをするかしまいかで悩んだ結果の不思議な顔なのだ。
「気にしなくていいですよ。アレ笑いこらえてるだけですから…。」と耳打ちでミサトさんに伝える。全くもう…と呆れた顔の後ピシッとした表情に戻り父に向き直る。
「あぁ、シンジ。久しぶりだな。どうだ。最近学校の方は…?」
ほらね?とミサトさんの腰を叩く。
「まぁぼちぼちかな、クラスメイトとも馴染めてきたし、綾波も友達も出来たようで色々と遊びに行ってるみたいだよ。」
「そうか…。」
「それより…来週の三者面談…どっちが来るの?ミサトさん?父さん?」
「…そりゃ司令が…。そう…ですよね?」
ミサトさんが変なことを聞くなと手で制止してくるが大事なことなのだ。
「…。私はシンジの私生活を見れていない。葛城君君が適任であろう。」
「へ?あ、わ、私ですか!?」
「あぁ、普段からシンジと生活しその様子をよく見ているのは君だ。だから…任せても構わないか?」
苦虫を噛み潰したような表情のミサトさん。さしずめ、男女の仲である僕の保護者としてそこに立つのは些か問題があるのでは無いかと考えているのだろうが、父は重々承知の上でそれをミサトさんにお願いしているのだ。
その事を理解しないミサトさんの腰をまたしてもポンっと叩く。それにびっくりしたのか回答をしていないことを忘れていたのか慌てて口を開く。
「し、承知しました…。」
ふっと優しい表情になる父さん。
「あぁ、よろしく頼む…。」
こんな顔を息子以外にもするようになるなんて…大した成長だよ全く…。
「なんか、父さん優しくなったね?では…作戦部 課長碇シンジ入室しました。」
キリッとそれっぽい姿勢を取る。
「ご苦労。碇大佐、そして葛城三佐。」
「「はっ!」」
ここからは仕事の話だ。真面目に聞こう。
「先日発掘された第3の使徒、それが安置されている場所は知っているだろう。」
「まぁ一応ですが…。北極のベタニアベースだと…。」
「第3の使徒…確か細切れにされて人の手で制御出来ないか…という実験がされていたと僕は伺っていますが…。」
「あぁ、そうだ。細かく刻まれ徐々にその活動部位を増やしどのパーセンテージまで使徒を制御できるのかと言った実験を行ってきた場所だ。先日嫌な報告が上がってな…。」
すっと差し出される資料。2部ある当たり配慮してくれてるのは助かる。
目を通す。盗聴記録の…文字起こしか…?…誰の記録だろう…。
内容から読み解くに想定していないパーツをワザと実験に組み込み使徒を目覚めさせる…。その後施設を殲滅、という名目で5号機を自爆、施設ごと全てを焼き払って無きものに…。ここまで手の込んだことをやるのはゼーレの面々くらいか。
ミサトさんに視線を送る。ものっすごい嫌な顔してる。
ベタニアベース…何かあるのかな?
「申し訳ないのだが、ベタニアベースの蒸発を避けることとそこの重鎮どもの救助を願いたい。」
「なるほど…。研究データ、無くなるのは今後困るって事ですか……。」
「正確に言えばそこは重要では無い…。上への牽制も込めて…だ。」
ニヤリと口角を上げる父さん。
成程、ゼーレの牽制をしたい訳か。表立って行動を出来ないゼーレは暗部を使うしかない。こうしてベタニアベースを潰してしまえば実験の記録は手中に収まり量産機及び以降のエヴァはここ、NERV本部にある2機よりも強靭な物が生み出せる。だが、それを未然に防げば、こちらもそのサンプルを含むデータが手に入る。イーブン痛み分け…か?
「よって葛城三佐、碇大佐、2名に今より北極、ベタニアベースに赴いて貰いたい。」
「「えぇ!?今から(ですか)!?」」
ニヤリとサングラスを上げ不敵な笑みを浮かべる父さん。
何を考えてるのかはさっぱり分からないままだが。
2人で少しは羽を伸ばしてこいとでも言いたいのだろうか…。公務だぞ…これ…。
「しっかしまぁよくやったわね碇司令も。」
もふもふと柔らかなソファーで跳ねるミサトさん。最高級プライベートジェットのような室内の公務機へと乗せられた僕とミサトさんは、パイロット2名、しかもパイロット側とこちらは緊急時のみ繋がるようになっているという機内に案内される。要はこの部屋には僕とミサトさんの2人きり。ということになる。
いや、どういう気の回し方だよ。これで下部に初号機くっ付いてるとか考えられないだろ…。あぁ、逆だ…これだけ仰々しい軍用機の内装がこんなだとは誰も思わないって言う方が正しいな…。
「ランデブーって言う訳でもないけど現地に着くまでに色々できそうね?」
またしてもイタズラな笑み。
「その…色々とは…?」
「色々は色々よん。」
まるで量産機に蹂躙された弐号機を見た時のような引き攣った笑みが出る。こりゃあ僕の寝る時間がない。仕方ない一旦話題でも逸らそう…。
「綾波は…着いてくるって言わなかったんですか?言いそうなものですけど…。」
「あらぁ?シンちゃんは私よりレイが良かったのかなぁ?」
「ち、ちょっと!そんなこと言ってないじゃないですか!」
意地悪げに答えるミサトさん。だが怒っている様子は無さそうだ…。
「それは無いわよ。だって今日。」
「?」
「リツコ一緒にアスカの事拾いに行ってるもの。」
「ええぇ!?!?」
今世紀最大の衝撃だ。まさか綾波とリツコさんの2人でアスカを迎えに行くなんて…天変地異が起きても起こりえないだろう…。
「何よりシンちゃんがアスカの事も好きって言ったのが刺さったみたい。どういう子なのか頻りに私に聞いてきたもの。それに、志願したのは彼女よ。」
「マジですか…?」
「大マジ。それにシンちゃんのお友達3人連れて…ね。」
まさかのトウジもケンスケも委員長もですか…。なんだか1本取られた気がする。仕方ない…。色々と実力差を見せてちょっと自信を削いでやろうと思ってたんだけど…。
「てぇ事で今日は私と2人っきりってことよん」
と頭を擦り寄せて来る。長い1日になりそうな予感がする…。
「…大佐!…かり大佐!碇大佐!?」
「はっ!?」
どうやら気を失っていたようだった。隣ではスヤスヤとミサトさんが寝息を立てている。僕は全身が痛い。
「そろそろ目的のベタニアベースに…。」
「あ、あぁ、はい。わかりました。」
先の戦いから従来のプラグスーツでは思うようにシンクロ出来ないことがわかったため新調された新型、白を基調とし青が散りばめられているのは従来と変わらないがフィット感と一体感が違う。
手首のスイッチを捻り空気を抜き、パンッと両頬を叩く。
「んん…シンちゃん…?」
「おはようございますミサトさん。目的地に着いたみたいなので先に降りますね。」
「えー…一緒にいてよ…。」
「我慢してください…。エヴァの出動要請出てますから…。」
「そ、それを早く言いなさいよ!」
顔を真っ赤にして飛び起きる。全裸なのも忘れて。
ばっとシーツに包まり耳まで赤く染める。全く…。
「ミサトさん。」
「ん…。ばか…。」
優しく交わす口付け、少しは冷静になっただろうか…。
「大佐!ベタニアベースより通信!使徒休眠状態より覚醒!地上へ向けて辺獄エリアを移動中!現在5号機が追跡中との事です!」
5号機!?そんなもの僕は知らないぞ。僕の知っている5号機と言えばあの、白いのっぺりとしたいやらしい笑みを浮かべて空飛んでるバケモンみたいなやつだぞ!?
「わ、わかりました。早急に向かいます。」
「スゥ…。ミサトさんどうやらピンチみたいです。先に降ります。」
「えぇ、行ってらっしゃい。現場の状況はこちらからは分からない、なので貴方の判断に任せます。必ずこの作戦を成功させて。」
「わかりました。」
不思議なものだ。これだけ大層な部屋の真横はエントリープラグへ乗り込無ことが出来る無機質な部屋になっている。
この落差というかなんというか…。
痛い腰を摩りながらシートへと腰を下ろす。ドクンドクンと脈打つソレは僕の高揚か。それとも先程までの色欲か…。
「まぁ…なんでもいいか…。エヴァ初号機起動!」
かくして僕はその軍用機より飛び降り背部のパイロンへエネルギーを供給、光翼を作り出す。そして、眼前のベタニアベースへ向けて進行を始めた。
コックピットに乗り込んだ私は、オペレーターの通信が飛び交う最中で、昂る気持ちを抑えながらエントリーシートへと腰掛ける。
旧型であるこのプラグスーツは至る所が無駄に締め付けられる、しかも無理やり4足の5号機にシンクロしている分四肢が無駄に痛むのだ。
「Start entry sequence」
オペレーターの声が響く。英語じゃなくて日本語が良かったにゃあ…。
「Pilot, Please specify linguistical options for cognitive functions.」
「んじゃ一応初めてだから日本語で?」
言語が英語から日本語へ書き変わる。おーそうそうこれこれ。久々だなぁエヴァ5号機。ワクワクするなぁ…!
「新型の支給間に合わなくて済まない。」
加持リョウジの声が響く。
「んいや。乗せてくれたからいいよ。ただ…。」
「ただ?なんだ?」
「胸がキッつい。」
「そりゃ大層な文句だな…。お前は問題児だからな…まぁ頼むよ。」
「ふんふんふーん。ひっさびさの〜5号機ちゃあん。調子はどうかにゃあ?」
計器を弄る。以前と大差ない数値に落胆する。
ま、しゃあないか…。
「んじゃエヴァ5号機、起動!」
んじゃ以前のごとく第3の使徒チャチャッとやっちゃいましょうか。
「辺獄エリアは死守しろ! 奴をアケロンに出すわけにはいかん!」
「まさか…使徒封印システムが無力化されるとは…。」
「まぁ有り得る話ですよ。人類の力だけでは使徒を止めることは出来ない。」
「何を言う!」
「そのためのエヴァですから…。」
「あーか♪あーお♪きいろのー♪いっしょうをつけたー♪てーんとーうむしがー♪」
久々に乗るとワクワクしちゃうよー。前回は365歩のマーチだったけど今日はてんとう虫のサンバの気分!ってね
「しゃっしゃーりでてー♪さーんばーにあわせてー♪」
向こう側に見える蠢く物体。それを追撃する重装甲車には目もくれず。
「おお!キタキター!あらよっと!」
スピードを乗せた疑似ロンギヌスの一撃。前回は外したけど今回はそうもいかないよん?
「目標エヴァ5号機と会敵!捉えました!」
突き刺すと見せかけて左手でとっ捕まえてやったのサ。
にしてもこいつ。前回と姿が違うような…。ええい、まあいい!これでも食らっとけ!
「ええいままよ!ってね?」
ATフィールドが展開され疑似ロンギヌスが弾かれる。これホントにロンギヌスか?
そして…2対の首のうち1本が5号機を捉え光線を撃ち出そうと構える。咄嗟に回避をするために手を離しそれから振り落とされ隔壁にぶち当たった。
「あっつつ…なんだよあれ…以前より全然強いじゃん…。」
辺獄エリアを封鎖しようと封印柱が降りる、だがエンジェル・ハイロゥを展開しそれを押し上げ地上へと出ようとする第3の使徒。万事休す。以前と同じように追いかけコアを潰そうにも2対もある首に絡め取られてジ・エンド。ってな未来が見える。
「こりゃあ打つ手なしか?如何せんなんでこんなに強いんよ。」
「5号機の人!援護する!」
突如と入る通信、モニターに目をやるとEVA-01の文字が。シンジくん!?よもやこの状況に舞い降りた天使ってか?最強じゃん!
「済まないね!私じゃどうも太刀打ち出来んらしいのだわ!」
「構わない!もう着くからどうにかそいつが地上に出ないようにしてくれ!」
「ガッテン!」
以前とは異なりアグレッシブな声。自信に満ち溢れているというか、強者の表れというか…。指示の通り全速力でリアクターに点火し突進を仕掛ける。この偽モンが潰れても構わんのよ!こっちは!ギリギリとATフィールドを侵食し矛先が潰れながらもその首筋を捉え隔壁へと押さえつける。じたばたと悶え苦しみ片方の首は光線を放つ。前脚二本が焼かれ弾ける、それでも残った後脚で押し込みを続ける。
「間に合えええぇい!」
隔壁をぶち破り突き出たその切先が光線を放つ方の首を切り落とす。砂埃が晴れ姿を現した初号機は私の知らない姿をしている。
「おわぁ…これが…初号機?」
「うん。まぁ…。それよりさっさと蹴りをつけよう!」
先程首を切り落とした刀を鞘へと仕舞いもう一度取り出す、その取り出された刀身は熱を帯びまるで打ち直されたかのように怪しく白煙を立ち上らせている。
「もう覚えた!これで!」
大きく振りかぶったその刀をもう一本の首を切り落とすように振り下ろす。スンっという音ともに隔壁諸共両断され活動を止める。なにこれ…ほんとに初号機?ユイさん…どうしちゃったの?
「ふぅ…。とりあえず5号機の自爆の阻止、そして第3の使徒殲滅。って所かな…。」
「すっげぇ…。噂には聞いてたけど…ここまでとはね…。碇…シンジくん?」
「?なんで僕の名前を?」
そりゃそうだろ単独で使徒撃破を2回、あのべらぼうに強かった第6の使徒を零号機の援護を受け撃破なんて普通じゃないのよ。
いやでもその噂はNERVにいれば耳に入る。と、言うよりも前のシンジくんだったらもうちょい苦戦しているところをほぼ無傷で、しかも街への被害も最小限ってなると色々と背鰭が付いて話が膨らむものなんだよ。
「NERVじゃ有名人じゃん君!然して、その武器は…『袈裟羅』と『婆娑羅』だねぇ。」
「なんで…その名前を…。」
「なんでも何もそれ、原案私。」
こりゃあ困った。このシンジくんは5号機や第13号機、ましてやアダムスのいる世界から来ていない。それよりも前、枝分かれする前の幹、とでも言うべきか。現代風に言うなればスキルツリーの中心、原点の世界から来たと推測すべきだにゃあ。
「…。色々と話し合わなくちゃならないみたいだね。」
「ま、そうなるよね?」
「…本当に君は…何者なんだ…。」
「マリ。真希波・マリ・イラストリアス。君と同じく運命を仕組まれた子供さ。そしてこの円環に君と同じく囚われたactorでもあるのさ。」
sound only の表示から映像に切替える。
「っ!え…。どこかで…?僕は…君を…知っている…。」
なんてこったい。あんなに小さい頃に会ったっつーのに覚えてるってーの?
「んま、詳しい話は後ほど…ね?」
1度言ってみたかったかっこいいセリフに入れてもいいんじゃ無いかにゃ?
はい。破編始まりました。
急いで書かねば今執筆しているところまで追いつかれてしまいます。
万事休すか…。
マリとの邂逅悩みました。屋上で会うのも悪くはない。でも出来るならこの時点で知り合ってしまっていた方が物語の進行上都合がいい。
というか!多分色々と端折り過ぎて書きたいことかけてないとおもいます。
追記して記していこうと思ってますので…。
宜しければしおりや感想など投稿して貰えると助かります…。
2025/06/14 追記
酔った勢いにて投稿したためタイトルがしょぼかったのでシンジやマリが旅人であることから…。Voyager。シンでこれが流れた時思わず涙しました。
いよいよアスカ出てきます。
綾波やリツコさんと共にトウジ達と共にアスカを迎えに行ったはいいもののなんだか様子がおかしくなってきて…。
はい、次のお話は投稿済みです。読んでください。