Re Take of Evangelion   作:Air1204

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第7話 アスカ来日

「うわぁお!すっげ〜!空母が5戦艦4の大艦隊!まさにオーバーザレインボーって感じ!」

 

「これが…豪華なお船…ですかい…。」

 

「もう!相田くんも鈴原も興奮しすぎ!」

 

相田ケンスケ、鈴原トウジ、洞木ヒカリの3名、碇くんと私のクラスメイト。なぜだか分からない、でも連れてきてあげれば少しでも仲良くなれるかなって思った。

 

「良かったんですか?私まで連れてきてもらって…。」

 

「良いのよマヤ。たまには羽を伸ばさないと調子狂うもの。」

 

そういうのは伊吹マヤ中将と赤木リツコ博士。今日私をここに連れてきた人達。今日第2の少女とここで落ち合うのが予定らしい。

 

「凄ーい!!凄い!凄すぎる!!」

 

「ああ!こら待たんかい!待て言うとるやろ!待てやー!!」

 

甲板をクルクルと回り撮影を楽しむもの。飛ばされてしまった帽子を追いかけましているもの、それを見て頭を抱えているもの、人は…面白い。

 

「赤木博士。今日はありがとうございます。」

 

「あら、レイ。お友達とお話はしなくていいの?礼なんて良いわよ、レイが連れていきたいと話してくれた、それだけで充分よ。」

 

「…ありがとうございます。」

 

葛城三佐が碇くんを見る顔と同じ顔。これが優しい笑み。赤木博士はどういう感情?

 

「綾波さん。私達まで良かったの…?」

 

「せや。NERVのお偉いさんが連れてってくれる言っとったからシンジが付き添いや思うとったけどまさか綾波とはなぁ?」

 

「ありがとう!綾波!この恩一生忘れないよ!」

 

ありがとう…感謝の言葉。何気ない言葉私から他人に言うことは沢山あった。他人から言われるのは…碇くん以外無かった。

 

「なんや、照れとるんか…?変なやっちゃのう…。」

 

「…他人から感謝されるの…慣れてないから…。」

 

「そういうことなのね…。いつも私達言わないだけで碇くんにも綾波さんにも感謝してるのよ。街を私たちを守ってくれてる2人に。」

 

体温が上がる。顔が熱い。これが恥ずかしい。照れてるの?私。

 

「暑いわ。」

 

手を仰ぐそれは少しでも風が欲しいから。火照った顔を冷ますために。

 

「あーあ、ヤダヤダ。NERVが子供のお守りなんてねぇ?」

 

カツカツと足音と共に声が聞こえる。振り返るとそこには深紅のプラグスーツを着た異国の少女の姿。

 

「ミサトは来ない、オマケに無様な負け方をしたパイロット1名とは心許ないわねぇ?」

 

ムッとするような言い方。これが怒り?

 

「そう誰にでも喧嘩を売るもんじゃないわよ。アスカ。」

 

「ハンっ!どうだか…。」

 

「紹介するわ。ユーロ空軍のエースであり現2号機担当パイロット式波・アスカ・ラングレー大佐よ。」

 

赤木博士が淡々と説明する。

 

「んで?どっちが零号機パイロットなのよ。」

 

「え、あ、私は…。」

 

「私。」

 

ずいっと前に出る。この感情。どこにぶつければいいの。

 

「ふぅん…あんたがエコヒイキで選ばれた…。辛気臭い女ね。」

 

また、この感情胸がムカムカする…。碇くんはこんな人が好きなの…?

 

「ま、良いわ。アンタに見せてあげるわ!本物のエヴァンゲリオンってやつをね。」

 

こういう時に言うのね。いけ好かない女って。

 

「これが…エヴァ2号機。」

 

「そうよ!これが世界初正規実用型として作り出された本物のエヴァンゲリオン!試作機の零号機やテスト機の初号機とはまるで違うのよ!」

 

簡素な作りのエヴァ、カラーリングは赤。正規実用型とは言えど戦場に立っていない真新しいその機体は零号機や初号機の様に改修や改装は施されていない。

これで…正規実用型…なんだか悲しいわ。

 

「さっきの仰々しい輸送機。零号機も来てるんでしょ!?見せなさいよ!」

 

「別に構わないわ。でも…。」

 

遠くで爆発音が聞こえた。水中衝撃波…?

 

「何今の!?敵襲!?」

 

手を引かれ甲板に出る。立ち上がる水飛沫。船1つ沈んだ…?

 

「あれだけの事ができるとなれば…。使徒ね。」

 

「ふぅん…ならアタシの腕の見せどころって訳ね。アンタはすっこんでなさい!」

 

どこまでもいけ好かない女ね…。

 

 

「赤木博士。状況は?」

 

「あら、レイ。アスカは一緒じゃないの?」

 

「彼女なら。あそこ」

 

私が指さす方角に皆が目を向ける。動き出した2号機。掛けられた秘匿用の布を纏い立ち上がる。さながら八艘飛びの様に船を介しソケットの方へと向かっている。

正規実用型とは言えど内部電源の方は解決していないのね。

 

「博士。私は?」

 

「レイは…どうしたいの?」

 

顎に手を当て考える。私はどうしたい…?どうせ2号機の人は独りじゃ対処出来ないハズ。なら私は…。花を持たせるためにそうなるまでエントリープラグで待機する?いいえ。被害をこれ以上出すのは碇くんが嫌うもの。ならば

 

「今すぐ出ます。ヴォルテクス翼の換装を…。」

 

「そう言うと思って既に換装済みよ。」

 

にっこりと笑いかけてくる。やれやれって感じが伝わってくる。私碇くんに似てきた?

 

「只今より対使徒戦及び緊急事態の為指揮はこちらで執らせて頂きます。良いですね?艦長。」

 

「くっ…致し方あるまいよ。これ以上船が沈められても困る。」

 

後ろで「ヴィンテージ物の艦隊がァァ!」と喚く相田くん。そしてじっと2号機の動きを見ている鈴原くん。ワーワーと泣く洞木さんを尻目に私はエントリープラグへと足を急いだ。

 

「久しぶりの実戦。そう…貴方も楽しみなのね。」

 

零号機を撫でる。何故だかその心が分かる気がする。

エントリープラグへ乗り込みシンクロを開始する。

 

「エヴァ零号機起動!」

 

出力を最大にしヴォルテクス翼へATフィールドを込める。

これが空を飛ぶ感覚。フワフワしてる。

だめ、楽しんでいる場合じゃない。直ぐ2号機の元へ向かわなければ…。

 

「何よこれぇ!こんなにデカいなんて聞いてないわよ!」

 

暴れ狂う第7の使徒。甲板に打上げられたそれは優に2号機のサイズを超えている。

 

「2号機の人。援護するわ。」

 

「おっそーい!エコヒイキ!早…えぇ…何よそれ…資料で見た姿と違…。しかも空飛んでるなんてズールーいー!」

 

「今駄々を捏ねている時間は無いわ。ATフィールド展開して!」

 

「やってるわよ!」

 

初めてだから…焦ってる…?それとも…ATフィールドの使い方を知らないの…?

 

「…ATフィールドの使い方がわからないなら言って!」

 

「何よ!ただの壁でしょ!?」

 

だめ、やっぱり分かってない。それなら…。

 

「こっちで動きを止める。仕留めて!」

 

「何よ!偉そうに!私一人でもなんとかなるっつー…きゃあ!」

 

…言わんこっちゃない。海に落ちたわ。B型装備のまま。

 

「なによ!もう!邪魔するから落ちたじゃないのよ!あれ…上手く動かな…!」

 

使徒に体当たりされそのまま海底まで引きずり下ろされる。こうなってしまったら私にはどうにも出来ない。

 

「く、口ぃ!?」

 

ばくんと一口上半身まで咥え込まれる。

 

「エヴァ2号機目標体内に侵入!」

 

「それって…食われたんとちゃうんか…?まるで釣りやな…。」

 

「釣り…。ナイスよ!鈴原くん!」

 

「な、なんや!?そない手ぇ握って喜ぶ事でっか!?」

 

「レイ!良い?貴方が釣り上げるのよ!」

 

「私…がですか?どうやって?」

 

「アンビリカルケーブルを引き上げるのよ!」

 

釣り。魚を捕まえること。ひたすら待つ。餌に食いつくまで…?

 

「いい?2号機の人、食べられたらそのまま口閉じさせてて!私が釣上げる。」

 

「はぁ??大人しく喰われろってーの?嫌よそんなよ!」

 

「アスカ。これはあなたにしか出来ない、貴方にしか頼めないの。」

 

「うぐぐ…。リツコに…そこまで言われたら…。やる!やるわよ!」

 

単純な人。でもこれで作戦は実行出来る。

 

「いい?エコヒイキ。しくじったらタダじゃおかないわよ。」

 

「しくじる?大丈夫。私強いもの。」

 

こうして本作戦は始まったのであった。

…。碇くんの真似してみたけど…難しいものね。

 

 

 

 

 

 

「レイ!今よ!引き上げて!」

 

「っ!」

 

アンビリカルケーブルを思いっきり引き上げる。ヴォルテクス翼の出力を上げる。

 

「あぁ!甲板が!」

 

「相田くん!?緊急時なのよ!」

 

先程よりもいくらか冷静さを取り戻した洞木さんが相田君を制止する。

 

「距離1200。合わせます。」

 

動きに合わせアンビリカルケーブルを左右に揺らす。

 

「使徒…疲弊するんですかね?魚なら疲弊しますけど…。」

 

「さあ?諦めてはくれるかもね。」

 

「2号機の人!上手く誘導して!」

 

「あぁ!もう!上手く動かないのよ!」

 

仕方ない。

 

「ヴォルテクス翼の出力最大!」

 

「ああぁ!!」

 

「ケンスケ!五月蝿いわ!黙って見とらんかい!」

 

静かに見ていた鈴原くんが怒る。そんなに集中して見ていたいの…?何故…。!まさか…。

 

「いい、鈴原くん、貴方が志願したエヴァパイロットというのはこのような作戦もこなさなくてはならない。一筋縄ではいかないの。不安定な足場もそう。囮もそう。それを貴方に出来るのかしら…?」

 

小声で鈴原くんに話しかける赤木博士。やっぱり…。彼、パイロットに選ばれた…?

 

「その為に見学に来たんです。ワシは黙って守られるんは癪や。シンジが妹助けたようにワシもみんなを守りたい。せやからエヴァに乗る言うたんです。」

 

その為の…見学…?だから許可が下りた?

 

「距離300!零号機会敵します!」

 

とりあえず今はそこに頭を使うべきじゃない。とりあえず使徒を倒すことに専念しなくては。

思いっきり引き上げる。上空に打上げられた第7の使徒を腰に提げたビゼンオサフネの柄に手をかけ狙う。

スラスターを後方へ。

一気に飛び上がり顎部を切り落とす。

 

「使徒!顎部損失!2号機解放されました!」

 

「よくやったわ!レイ!」

 

びたんと甲板に叩きつけられる2号機。

 

「ひぎゃっ!」

 

まるでカエルの潰れたような声を上げる。

 

「…プライド高いんですよね?彼女…。」

 

「今頃ズタズタよ。これで連携、学んで欲しいところね。」

 

「状況終了。」

 

使徒の反応が消えからくもこの戦いに終止符が打たれたのであった。

ただ一つの不安を残して。

 

 

あれから2日後僕たちは新横須賀港で落ち合う。

しょんぼりと方を落としたままのアスカが目に入るがとりあえずは綾波に会おう。

 

「碇くん!」

 

走り寄って抱き着いてくる綾波を抱き返す。

後ろで見ていた3人は口をあんぐりと開けている。ミサトさんは微笑ましそうに僕の隣に立つ。

 

「綾波!海上での戦いお疲れ様。無事何事もなく勝てたみたいで良かったよ。」

 

「えぇ。碇くんのおかげ。」

 

「僕?」

 

「うん。初号機の動きを何度も見直して立ち回り方真似してみたのよ。」

 

「成程。それであれだけの損失なら上々だね。」

 

「ありがとう。碇くんも、第3の使徒殲滅お疲れ様。」

 

「まぁ、5号機が援護してくれたお陰だね。」

 

「5号機?」

 

「紹介するよ。」

 

物陰に隠れていたマリさんが飛び出し綾波を驚かせる。目を丸くし驚き固まってしまった様で微動だにしない。

 

「あれまぁ?固まっちゃったみたい。」

 

「はっ!…驚かせないで!」

 

「わわ!ごめんごめん。本日よりNERV本部所属になる真希波・マリ・イラストリアスだにゃ〜。以後よろしくねん?」

 

「…私は綾波レイ。エヴァ零号機専属パイロット。」

 

「噂はかねがねだよレイちゃん。先の戦いも第6の使徒との戦いも大活躍だったって聞いたよ?凄いねぇ。」

 

「む…。ありが…とう。」

 

珍しい、綾波が素直に照れてる。耳まで赤くなってる…。

 

「あれ?アスカはどこにいるの?レイたちと一緒って聞いてたけど…。」

 

ミサトさんがキョロキョロとアスカを探す。綾波の後方にトウジやリツコさん達に紛れ下を向き俯いたままの少女を見つける。

 

「…何があったの?レイが使徒を殲滅したとは聞いたけど…。2号機、アスカは…?」

 

「釣りの餌に。」

 

「餌?」

 

「レイ、私から説明するわ。とりあえずアスカをシンジ君達に紹介しないとダメだから。頼んでもいいかしら?」

 

リツコさんに手を引かれ前に来るアスカ。その表情は曇り切っていて今にも泣きそうな顔をしている。

 

「式波…さん?碇くんに紹介しないと…だから。ね?」

 

「…式波・アスカ・ラングレー。」

 

式波…?惣流じゃない…?聞き間違いじゃないかと訝しむ顔を浮かべているとマリさんが耳打ちで「この世界では惣流じゃないんだよね」と教えてくれる。僕と同じく漂流者である彼女は僕と同じような世界を渡り歩いたこともあれば、この使徒の名前が定められていない、僕の知らない世界にいた事もある様だ。

 

「えっと…式波さん…?よろしく…ね?」

 

「…馴れ合うつもりなんか無いわよ。だって2人とも私よりも強いんでしょう…私なんか必要ないのよ。」

 

どんだけズタボロにされたんだよ…。まぁ確かに綾波は僕の戦いをみてATフィールドの使い方を学んだと言っていた。だとするなら次の使徒との戦いまでにそれを教えるべきか。

いやもっと根本的に…。

 

「アスカ!シャキッとなさい!たかだか1戦まともに戦えなかったくらいでそんなにうじうじしてたらこれから先やってけないわよ!」

 

「…ミサトはなんにも分からないくせに。」

 

アカン!昔の自分を見てるみたいでイライラしてくる!

我慢だ我慢…。

 

「分からない?分からなくてもあなたたちの気持ちは理解してるつもりよ!」

 

「何よ!そんなに怒ることないじゃない!人が凹んでるって言うのに!」

 

「貴方らしくないのよ。あのね、報告書上では書かれていないけれど、3番目の子である碇シンジくん。あなたの目の前の子はね、第6の使徒との戦いで1度心臓が止まってるの。死んでるのよ!」

 

「えっ…。」

 

「加粒子砲の直撃でね。よく分からない理論で今は生きていられるけど彼は心臓も無いのよ。」

 

「…。」

 

まぁたしかによく分からない理論だけどさ。てか理論ですらないんだけど…。初号機と心臓がリンクしてるってだけで…。

 

「それでも彼は怖がらずにエヴァに乗った。私たちの未来を護った。そこに居るレイだってそう!盾1枚で初号機と私達を守って、その後は直撃してるんだから…。」

 

「…。なおアタシなんて必要ないじゃない。それだけ強い2人なんでしょ。大体コイツは碇司令の息子、特別に決まってんのよ。アタシとは訳が違う!」

 

「アスカ!アンタねぇ!」

 

バシンっと頬を叩く音が響く。そこにはアスカの頬を叩く綾波の姿。

 

「碇くんは特別じゃないわ。誰よりも深い悲しみを背負っているし誰よりもこの世界の存続を願っている。貴方こそ碇くんのこと何も分かってないじゃない。彼もまだ子供、でもどの大人達よりも周りを見て周りのために動いてくれる。そんな人なの。貴方にコイツ呼ばわりするのは私が許さないわ。」

 

「いった…。何よ!知らないわよ!会ったこともない、話したこともない!そんなやつのこと分かるわけないじゃないの!」

 

「なら尚更初対面で悪くいう必要は無いわ。」

 

「うぐ…。」

 

「あなたが傷ついているのは分かってる。それは私のせい、なら私にその矛先を向けて。碇くんじゃない。碇くんは貴方を心配して優しく手を差し伸べているの。それを理解して。」

 

「…。」

 

スタスタと何処かに行ってしまう綾波。呆然と眺める観衆達。

 

「…。レイの言う通りよ。アスカ。」

 

「何よ!みんなして!私が悪者みた…きゃっ!」

 

大きな地鳴りが響く。眼前の大海原は水飛沫を上げ立ち上がる。使徒。間髪入れずに…。

 

「使徒!?こんなタイミングで!?」

 

「ミサトさん!」

 

生憎、僕もアスカもプラグスーツだ。だったらこのままアレを倒した方が早い。

 

「初号機は現在冷却中よ何で出るつもり!?」

 

「それはもちろん。」

 

アスカの手を取る。

 

「式波さんと一緒に2号機でね。」

 

 

やっぱり他のエヴァは落ち着かない。他の人の匂いがするからかな。

 

「…どういうつもりよ。私なんかエヴァに乗せて。1人で出た方が勝てるんじゃないの。」

 

「そんな事ないよ。君にちゃんと話がしたかったんだ。」

 

「話…?どうせお説教でしょ。」

 

「そんな訳ないじゃないか。君の話はミサトさんから聞いたよ。と言うよりも自分で調べたって言うのもあるかな…。」

 

「…上層部しか見ること出来ないのに?どうやって?」

 

「それはまぁ僕が父さんの息子だからだね。」

 

包み隠さず全て話す。変な嘘は逆にアスカを傷つけるだけだ。

 

「ナナヒカリね…気色悪いことするのねアンタって。」

 

「まぁね。作戦課長として、どういう戦い方を好むか、どういう性格なのか知らなくちゃいけないからさ。」

 

計器をいじりながら答える。あの使徒無駄にデカイから近く見えるけど実際は結構距離が離れている。少しばかりの猶予はあるだろう。

 

「はっ…どうせお役御免なんだから放っておきなさいよ。」

 

「お母さんの事故。災難だったね。」

 

その事柄だけは変わらない。起動実験により取り込まれた母をサルベージした結果アスカを認識できなくなって自殺。という流れは。

 

「…サイっテイ。人のトラウマ抉るのね。」

 

「そんな事ないよ?僕なんか目の前で初号機に母さん取り込まれてるもの。」

 

「え…。」

 

「3歳の時かな?NERVに連れられてきたんだよ僕は。その時に…ね?」

 

「僕の母さんは初号機に残ることを選んだ。それは母としても1人の科学者としても。」

 

「…。」

 

「でも式波さん。君のお母さんはそれを選べなかった。だから心を魂を2号機に置いたままサルベージされてしまった。」

 

「…。」

 

黙って聞いてくれている。それなら…。

 

「良いかい?式波さん。エヴァには心がある、それも僕達の母親の。」

 

「ママの…心?」

 

「うん。君のママの心だ。だからこそものとして扱ってはいけない。身も心も委ねてみて欲しい。」

 

「…。」

 

「君は誰にも負けないよ。僕が保証する。何せ君とお母さんの絆は誰よりも強いから…ね?」

 

「…ナナヒカリ。」

 

「さ、そろそろ行こう。どうする?僕が動かす?君が動かす?」

 

「…1度見てみたい。ナナヒカリの戦い方を。」

 

言うと思った。それに少しばかり落ち着いたようだ。

 

「それじゃ…遠慮なく。」

 

2号機にシンクロを始める。うん。ごめんねキョウコさん、アスカの自信を取り戻させる為だから。少し力を貸して。

 

LCLへの電荷が終わり通信が開く。

 

「シンジくん!?2号機に何したの!?」

 

目論見は正しかったようだ。

深紅のボディは月色に変わり後脚であるアレゴリカユニットが搭載された姿になった。

ヴォルテクス翼が装備できない以上飛行するにはこのユニットが的確だろう、何せあの水飲み鳥みたいな使徒のコアの位置は高い。

それにこの姿が僕の知り得ることが出来たイメージしやすい1番強い2号機の姿だ。

 

「え…何よこれ…。」

 

「これが、エヴァの本来の使い方。なのかな?」

 

少し違うけれどそれでも粗方間違ってはいない。

 

「まぁ、為せば成る成さねばならぬってね。」

 

「行くよ。アスカ!」

 

大地を蹴り上げN2リアクターに点火する。大空を駆け上がり使徒へと近づく。武装は…。ビゼンオサフネか、これならいける。

 

「す、凄い…。」

 

「まぁ序の口だよ。まだまだ!」

 

使徒の撃ち出す光弾と鉄線のような攻撃を掻い潜りコアへと近づく。

 

「これで!」

 

腰部に携えたビゼンオサフネを引き抜きコアに叩きつける。不自然なほど簡単に砕けるコア。バラバラとその体は崩れ落ちる。

 

「シンジくん!デコイだわ!避けて!」

 

やっぱり下の振り子側が本体か!急いで距離をとる。

 

「ふう…まぁこんなものかな。」

 

「…私には出来ないわよ。こんな戦い方。」

 

「良いんだよ。得手不得手は有るからね。ここからは君に任せるよ。」

 

「…分かったわ。」

 

エントリーシートから降りアスカへと交換する。

 

「!?シンクロ率低下!あの姿を維持できません!」

 

マヤさんの声が響き海面へ真っ逆さまに落ち始める2号機。

プルプルと震え水面に叩きつけられる恐怖に震えるアスカ。

咄嗟にアスカの手の上から操作系を握りしめる。

 

「大丈夫。君にならできるよ。」

 

「うぅ…ママ…。ママ!死ぬのは嫌!死ぬのは嫌なの!」

 

「アスカ!」

 

「死ぬのは嫌ァァ!」

 

ショックに耐えるためにグッと身をかがめる。だがその衝撃が来ることは無かった。

薄ら目を開けて状況を確認する。

身を震わせ肩で呼吸をしているアスカ。そして、モニターに映る2号機の装甲は零号機のそれとよく似たものに、ヴォルテクス翼を携え水面ギリギリで浮上している。

 

「はぁ…はぁ…ママ…ここに居たのね。」

 

嬉しそうな泣きそうな声が響く。ぽたぽたと膝元に垂らす涙。思わず声をかけそうになる。だがアスカの方が僅かに早かった。

 

「わかったわ。ATフィールドの意味。そしてシンジ…。アンタが言ってた言葉の意味。」

 

次第に落ち着きを取り戻し活気のある声へと戻る。

 

「アタシを護ってくれてる。ずっとずっと昔から。」

 

昔…から?

 

「そうでしょう?バカシンジ。ずっとモヤモヤしてた原因はこれだったのね…。」

 

「えっと…なにが…。」

 

「アタシのこと置いて勝手に別の世界に逃げようったってそうはいかないわよ。」

 

「はい!?」

 

「あんな人も居るかどうか分からない世界でアタシを置いてけぼりにしたんだから責任取りなさいよ!」

 

待てよ…。ん?このアスカ…。もしや…。

 

「えっと…。量産機…。」

 

「そう!アンタが無駄に張り切ってアタシのことを助けたくせに結局インパクトのトリガーになって崩壊した世界のアタシ!純潔をアンタに捧げた世界のア・タ・シ!」

 

えぇ…。選りにもよって僕に依存しまくってた時のアスカァ!?

 

「もう逃がさないわよ。」

 

「アスカ!上!」

 

ミサトさんの声が響く。上?恐る恐る見上げるとその足が2号機目掛け垂直に振り下ろされている。

 

「まずっ!とりあえず避けて!」

 

「避けるぅ?」

 

ばっと片腕を掲げ展開したATフィールドによってその攻撃は防がれる。そして…。

 

「こっちは逃げも隠れもしないわよ!ようやく手に入れた2度目の人生!」

 

急加速し使徒の直上まで駆け上がる。

 

「ようやく手に入れたアタシのシンジ!」

 

クルクルとその場で勢いをつけ蹴り込む姿勢をとる。

 

「もう二度と離しやしないんだからァァ!」

 

ヴォルテクス翼の加速もあいまりすごい勢いでコアへと直進する。使徒によって展開されたATフィールドは鋭利に研ぎ澄まされた2号機のATフィールドによって何度も貫かれていく。

捉えたコア。それを体外へと蹴り抜き血の雨となり、やがてその体は形象崩壊し十字架と虹の輪を作り出し跡形もなく消えてしまった。

 

「ふぅ…ふぅ…。」

 

「えっと…。式波…さん?」

 

かける言葉も見つからず名前を呼ぶ。だがそれが悪手となったのだ。

 

「なぁに?今更ファーストネームで呼ぶなんて…。他に好きな女でもできたのかしら?」

 

「あ、いや…。確認…しなきゃなって思って…さ?」

 

僕はこのアスカには勝てない。自分が楽しむために依存させた挙句、ゼルエルとの戦いの果てその四肢を失わせてしまった人。全て僕の責任で不幸になってしまったその人だから…。

胃の中を掻き回される感覚を思い出す。ダメだ。

 

「う…おぇ…うっぷ…。」

 

「あらあら…可哀想なシンジ…。大丈夫よ?今回は私が貴方を護ってア・ゲ・ル。」

 

その胸に抱きしめられた瞬間視界が暗転する。最も僕が苦手とするアスカ、その人がこの世界にいて記憶を取り戻すなんて…。




えぇ、曇らせというかヤンデレですよね。
アスカ、ツンデレが良いよね。
でもヤンデレチックなアスカも嫌いじゃないんですよ。

不穏な空気を残したまんまですけど…。とりあえずはここまで投下しておかないとアスカ民の皆様の気が落ち着かないと思いますので…。

では仕事と執筆に戻らせていただきます。感想やご指摘があればお願いしますね?
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