極地戦の極み   作:夜かな

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赤道の道中2

 

 斜め30度、これは蓮が寝所の現在のところの角度である。時折値は反対に振り切れることもしばしば。

 何故ここまで傾くのか、それは馬鹿みたいな荒波の真っ只中を宗谷が突っ切っているからである。その結果、

 

「ぎもぢわるい、いぬい酔い止め頂戴」

「一度目からまだ時間も経っていませんからダメです。もう少し我慢して限界ならこの袋に出しちゃいましょう」

 

 慣れない航海と揺れによって船酔いしてしまった蓮を犬居が世話していた。

 

「みなとーはまだつかない」

「シンガポールまでは1週間は掛かるそうですからまだつきませんね」

「アあームリ、限界飛んで先に行ってくる」

「だ、ダメですよ、無茶です無茶!外は暴風雨ですしかなりの距離があるんですよ!」

 

 犬居はふらふらとした状態で起き上がって行こうとする蓮をベッドに抱きしめて押さえる。

 

「うぅ、誘惑が、でも、うー」

「冗談抜きで安静にしてなきゃダメです、というかその状態で空なんか飛べませんよ⁈」

 

 蓮は背中の感触に魅力的なものを感じけれどあまりにも船酔いによって限界な脳は正常な判断をくだせずに迷走していた。それ故に暴走は止まらない。

 

「じゃあがまんするから、いぬいが添い寝してくれるならね」

「えっええ、でも」

 

 さすがに犬居も蓮が正常な状態でないのはわかっているので抵抗を示すが続く蓮の行動には勝てない。

 

「むー、だめなの?」

「うっ、それは...卑怯です」

 

 犬居の胸元に甘えるように頭を擦りながら、潤んだ瞳で見上げる蓮。容姿は世間的には美少女の部類にあたる蓮の幼い愛らしい行動。年齢的には十五の歳だが、見た目は割と幼い。それ故に犬居の内心は真っ二つに割れてしまう。

 

 天使な犬居

 さすがに相手が正常な判断していないのは確かです、ここは大人な対応が正解でしょう。添い寝はまだ早い、早いですから。でも少しだけなら...

 

 悪魔な犬居

 ここで行かないのは女が廃る。母性に訴えてくるこの可愛らしい容姿が悪いのです。やっちゃえ私。

 

 

 犬居は内なる本能と格闘して大いに悩む。が

 

「だめ...なの?」

「わ、わかりました......女の子同士だからセーフ」

 

 自身の欲望が割合高いが蓮のトドメのひと押しに内側から陥落。遂には斜め40度の傾斜に達したベッドに二人で横になる。

 

「うへへふわふわだー」

 

 蓮は傾斜は利用して本能に従い犬居のビックな胸元に飛び込む。真っ赤な顔で照れる犬居はそれを許す。既に頭の中が色々と欲に忠実になっていた蓮はさらなる欲望を果たそうとする。

 

 だがそれは許されなかった。

 

 傾いていた宗谷は更なる波を横から受けた。ズドンと傾いていた方とは反対の波がぶつかり、瞬間的に蓮を犬居と壁の板挟みにしてみせた。慣性の法則は蓮を正気に戻すには十分だった。

 

「ぐぼぁ!?ヘブし」

「ああ⁉︎だ、大丈夫ですか」

「ん、だい、大丈夫。ちょっと故郷の太平洋が見えたけど」

「......三途の川じゃないだけ、良かったのでしょうか?」

 

 さすがに向こう岸は見えなさそうだが。

 

☆☆☆

 

 台風もどきに挟まれたりしながら何とか、シンガポールに到着した宗谷。シンガポールでしばしの修理と補給を受けることになる。その報告を部下から聞いた海軍大臣の山本は、一息つき安堵した。

 

「最初の難関は抜けたか、まさか赤道の入り口で躓く訳にもいかんからな」

「は、一安心でございますね。一応シンガポールで補給と点検を行います」

 

 山本は壁にかけられている地図の一点に視線を向ける。アフリカの南端ケープタウンに。

 

「ケープタウンですか、確かオラーシャや幾つかの国が同時期に集まるとか」

「ああ、宗谷の次の目的地だ。もしかしたら会う機会があるかもしれんな」

 

 山本は古賀から資料の一つを受け取る。

 

「どうやらオラーシャやリベリオンもウィッチを派遣しているようだ。それにカールスラントやブリタニアは陸戦脚装備のウィッチ隊を集結させてもいる」

「やはりネウロイを警戒してですか?」

「そうだろうな、今のネウロイ残党の活発化は、原因が不明だ。だが可能性としていまもっともあり得るのが、南極だ」

 

 山本はネウロイとの戦闘回数を表す統計グラフに眉を顰める。

 

「インド洋や南太平洋、南大西洋のネウロイ出現数の増加は異常だな第二次ネウロイ戦役の倍に達している」

「こちらもウィッチを増員しますか?インド洋には空母葛城がおりますが」

「いや、まだ軍の出る幕ではないだろう。本格的な調査が始まるまでは暫く待つ」

「分かりました。情報収集に努めますね」

 

 山本は資料を置くと窓の外を見る。外では暗雲が立ち込めていた。

 

「......今日はギャンブルは辞めた方が良さそうだ」

「普段からそうして頂けると嬉しいのですが」

「それは無理だな」

 

 上司の悪癖に古賀はため息を漏らした。

 




ちなみにカールスラントがいくつかの国の代わりに参加してるという感じ何せ南米にカールスラントが影響力持ってますからね。おかげで考えるのが大変で、大変で(泣)
なんでしばらくは短いです。
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