忘れかけてた夢をもう一度 作:シーブック マクロスを生涯推す
「はぁ...」
家に戻ってきた俺は店主から受け取ったモノを見ながら溜め息をついていた。
「大切にさせていただきます!」と力強く宣言したものの、これは俺の身には余る代物なのだ。
それは俺が好きなウルトラマンで、ヒーローショーでは握手までしてもらった永遠のヒーローの変身アイテム。
「やっぱり返してくるか?」
ついつい弱音がこぼれてくる。店主に先ほどあんな啖呵を切ったはずなのに、すぐ考えを変えようとする自分の弱さに呆れてしまう。
「いいや、そうじゃないよな」
店主が涙を流しながらも自分に託してくれたモノを受け取った以上ウジウジ悩むのは辞めることにした。
「そういえば、グラスよく見てなかったよな?」
悩むのをやめた俺は本来の目的のグラスのことを思い出した。見つけたグラスは艶のある木箱に入っており、メッキ処理がされているのか美しい金色を放っている。これで飲む酒はさぞ美味くなることに違いない。店主が言うには店の奥を整理してきた時に出てきたそうだが、どこで手に入れて来たのかは覚えていないらしい。俺としてはこんな良いものが1000円くらいで買えてしまったのは運が良かったと思っている。
「うーん綺麗なものだよなぁ...」
ついつい見惚れてしまうほどの美しさだ。
似たようなグラスは他でも見てきているが、
まるで目が離せなくなるようなオーラのようなものがこのグラスから漂ってきているようであった。
どれだけグラスを眺めていたのだろうか。
ふと気がついていた時には、ケータイ宛てに誰かから連絡が来ていた。
「先輩!今日一緒に飲みに行きませんか?」
それはアホ毛の生えた後輩からであった。
この後輩に俺はいたく気に入られてしまったようで、月に4、5回は飲みに行く仲である。
男女で飲みに行っているのだが、ひと回り以上も歳が離れているし、そもそもタイプも違うためそういった関係には全くなっていない。2人で酒を飲みながら仕事の愚痴を話しあえる今の関係はとても楽しいのだ。
「いいぞ。いつもの店でいいか?」
この後予定もないため飲みに行くことに決めた。今日買ったグラスの話しもしたかったからだ。
「はい!大丈夫です!7時30分ごろ集合でお願いします!」
あっという間に来る返信に少し驚きながらも、返事を送っていく。
「さてと」
返信を終わらせた俺は集合時間までに4時間ほど余裕があることを確認し、少し眠ることにした。
俺は近くに置いていた例の変身アイテムを手に取りながらベットに横たわった。そして注意深く触っているうちにとある違和感に気づいた。どこを見ても電池穴がまったく空いていないのだ。大抵のアイテムには発光ギミックや音声を流すために電池を用いるはずであるでは?と疑問を感じている内に睡魔が訪れてきてしまった。
まぁ起きた時にでも考えればいいやとそのまま睡魔に身を委ねたのだった。