忘れかけてた夢をもう一度 作:シーブック マクロスを生涯推す
「暖かい...なんて暖かい光なんだろう...」
何も無い空間に居たはずの俺に降り注いだ一筋の眩い光。どこか懐かしさすらも感じさせるその温もりは、気づいた時には俺自身、何も無かった空間全体をも優しく包み込んでいた。
「綺麗だ...」
その幻想的な光景にふと思わず言葉がこぼれた。
30年近く生きていて、ここまではっきりと素直な言葉が出てたのは久しぶりのことだった。
この光景を見たことで、ようやく少しは気持ちが落ち着いてきたのだと実感できた。
そして今持ってきたはずの鞄を身に付けていないことにようやく気がついた。連絡することに無我夢中だったため、鞄を落としてしまったことに全く気が付かなかったようだ。
鞄の中には財布や免許証、あと何かしらを詰め込んでしまっているため、鞄を拾いに行くため来た道を戻ることにした。
道を歩きながらではあるが今降り注いでいる光のことについて考えてみることにした。
なぜ俺に向けて光が降り注いできたのか?
そして降り注いだ時に感じた暖かさと懐かしさの正体は一体なんなのだろうか?
結論としては全くわからないことだらけだ。
何せこっちは人どころか建物すらない謎の空間に突然放り出され、誰とも連絡がつかなくなってパニックになっていたところに、急に光が降り注いで来たなんて、とてもじゃないが誰も信じてはくれないだろう。
あいにく俺はオカルトに関しては全く明るくもないし、もし仮に過去にこんな現象が実際に起きていたならニュースや新聞、歴史の本などに載っているはずだろう。
そして1番の気掛かりは、この広い空間に俺1人しかいないことだ。もう体感として3から4時間は経過しているにもかかわらず、誰にも会えていないし、人が居た形跡すらも見つからない。
こうしてぶつぶつと考えごとをしながら歩いているとようやく鞄を見つけることが出来た。
手に持ってみると、どうやら荒らされた形跡はないようである。
「ん?なんだこれ?」
鞄の中に入れた手からおかしな感触が帰って来た。引っ張り出してみると、明らかに鞄に入れた記憶がない金のグラスが入っていたのだった。
「なんでまたこんなとこに入ってるんだ?」
明らかに鞄の大きさを超えているはずなのにすんなり出て来たのに違和感を覚えつつも、グラスを脇に置きそのまま荷物の整理をすることに決めた。
鞄の中からは財布などの貴重品をはじめ、水や少しの食べ物を見つけることが出来た。
ただあまりにも心許ないため、奥底を漁っていると、何か棒状のものが入っていることに気がついた。しかし変に引っかかって取り出すことが上手くいかなかったため、勢いよく引っ張り上げてみると、なぜかはよく分からないが
"コスモプラック"が俺の手に握られているのだった。