彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第10話 進化すればいい

「中国には伝説で僵尸(キョウシ)ってゾンビがいる」

 

「キョウシ?」

 

 思わず復唱した俺に、ジンさんは頷いて。

 

「まぁ、ゾンビっていうよりグール、バンパイアが近いと思うけどな」

 

 腐らないらしいし。

 

 そう付け加えた。

 

 俺は頷く。

 今は黙って聞くときだ。

 

「で、この僵尸だが……」

 

 ほっとくと強くなる。

 別のもっと強い化け物に変化するんだ。

 

 代表的なのは旱魃を引き起こす(バツ)だな。

 

 天候を操るような化け物になるわけだ。

 そしてさらに、そこから進化して

 

 (コウ)という神獣になる。

 

「……なるほど」

 

 そうは言いつつ、俺にはジンさんが何を言いたいのか良く分からなかった。

 続きの言葉を待つ。

 

 ジンさんは

 

「……俺は正直、僵尸はゾンビだと思うけど、犼はゾンビとは言えないんじゃないかと思うんだ」

 

 全く別の生き物に転生したというか。

 

 ……つまり?

 

「……お前の彼女さんを、パワーアップさせれば、進化していって、少なくともゾンビではなくなるかもしれない」

 

 パワーアップ……進化……

 俺はジンさんの言葉を反芻する。

 

 それはつまり、あの異世界に入って、中で悪魔相手に修行をしろと?

 そう言うことなのか……?

 

 正直、震える。

 断じて武者震いじゃ無い。

 

 普通にビビってるんだ。

 

 ……だけど

 

 やんないと……

 ミキはずっとゾンビのまま……

 

 ここで投げ出すことは、俺はできなかった。

 

「分かった。ありがとうジンさん」

 

 礼を言って、俺は座っていた席を立った。

 ミキも俺に続く。

 

 ……あの異世界に入って、戦う。

 俺にやれるだろうかと思うけど……

 

 やらないわけにはいかない……

 

 

 

「ありがとう。ヨータ」

 

「礼は良いよ」

 

 俺は俺の教室に戻り、武器になるものは無いか探した。

 丸腰であんな場所に行けるか!

 

 棒きれの1本でも持って行かないと……!

 

 掃除用具入れを確認したら、箒が入っていたけれど。

 これで殴っても、悪魔相手に効果があるとは思えないな……

 

 どうしよう……?

 

 無いよりましだからこれで……?

 

 そう、俺が迷っていると。

 

 廊下をさ、女子が歩いて行ったんだ。

 俺のクラスの女子の、内田たまきさん。

 

 結構活発な女子で。

 クラスでは目立っていた子なんだが……

 

 彼女、金属バットを持って歩いていた。

 

 あっ、そっか。

 部活に行けば、武器になるものがあるか!

 

 帰宅部の俺には、その発想が無かった。

 

「ミキ、運動部の部室に行ってみよう!」

 

 俺は彼女にそう呼びかけて。

 飛び出す。

 

 彼女の返事は聞けなかったけど、ついて来てくれてるのは気配で分かった。

 

 ……内田さんが金属バットを持っていたのは、自衛のためだろうな。

 魔界に飛ばされたんだ。

 何が学校に起きるか分からんし。

 

 だから……急がないと無くなってしまうかも。

 

 そう思い、急いで走った。

 

 ミキの手を掴んで。

 

 そして部活の部室がある部室棟に向かう曲がり角を曲がったときだ。

 

 ウォォォ……

 

 そこで、遭遇した。

 

 小学生くらいの背丈で。

 

 異様に膨れた腹を抱えた、鉤爪と牙を持ち、目を爛々と光らせた化け物に。

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