彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
第12話 なんでジャングル?
鴨志田先生は、新任の倫理の先生で。
人気は高かった。
すごく良い人なんだ。
正義感が強いっていうか。
真面目な生徒には人気があった。
俺もまあ、嫌いじゃなかった。
……なのに。
「何で鴨志田先生の精神世界がジャングルなの……?」
ミキの呟きに、俺は同感だった。
イセカイナビで鴨志田先生の精神世界に踏み込んでみると
そこはジャングルだったんで
俺たち2人は驚いていたわけだ。
「これは……鴨志田先生にとって、現実の環境がジャングルみたいだったと、そういうことなのかもしれないな」
俺は呟くように言う。
この……
湿度が高く、見たことも無いような植物が多数生えている、野生の王国を前にして。
何か獣の吠え声も聞こえるから、居るだけで不安になってくる。
でも、おそらくこの精神世界が一番危険度低いから。
ここで強くなって、ハザマの精神世界に踏み込んで行ける実力を身に着けないと……
正直さ、他人の精神に土足で上がり込んで、内面を見るのは良心が咎めないわけじゃない。
でも、こうしないとハザマの精神に上がり込んで、本人と直接話をすることはできないし。
ミキを強くすることも出来ない。
しょうがないんだ。
……思うんだけど、多分この精神世界の主に会いに行こうとしたら、抵抗があるよな。
俺たちは鴨志田先生にとっては心を許していない相手なわけだし。
俺たちを排除しようとするはずだ。
……だから。
この精神世界の主に会って、話をして、お礼を言う。
そこのところを、クリアの目標にしようと思う。
それが達成されたら、次の精神世界に行っても良いだろう。
そんなことを、ミキに話して。
彼女の了解をとったので。
俺たちは歩き出した。
蔦が絡まった良く分からん木を掴んで、身体を支え。
草や落ち葉で柔らかくなっている地面を踏みしめ、進む。
……帰るには「帰還」を押せば終わり。
そうじゃなければ、こうもジャングルを無計画には歩けないな。
「ミキ、足は痛く無いか?」
俺はそう、つい訊いてしまって
(あっ、違う)
そこに気づいた。
多分、今の彼女は足が痛くなったりはしない。
人間ではなくなったから。
自分の不用意な発言に気づき、俺は罪悪感を抱いた。
だけど
「ありがとう。大丈夫だから」
彼女はそう、普通に返してくれる。
俺は
「そうか」
それはそれ以上、口にしなかった。
そして体感1時間くらい歩いた後。
俺たちは
「ウィリィィィィ!!」
松明を持った体色白の妙な小人たち……
「ジャングルの王者・鴨志田サマの世界に、何を土足で踏み込んでるんだー? この妖精ウィリーが許さねえッピー!」
彼ら曰く、妖精ウィリー3体に出会ったんだ。