彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「鴨志田先生って良い先生なのに、何で精神世界がジャングルなんだろう? ホントに」
疲れが無くても歩きにくいのは嫌なのか。
ミキのそんな言葉に。
「ホント、何なんだろうな」
俺はそう返す。
鴨志田先生。
いい先生だと思う。
天パ入った髪で、鼻が大きいことと面長なことが目立つ顔。
特に太って無くて、身長も高い。
体型から、体育教師が似合いそうなんだけど、倫理の先生なんだ。
生徒指導も化学の大月先生と一緒に担当してる。
「人の痛みを想像できる心が、真の強さなんだよ」
「ルールを守るのは、自由を大切にするための第一歩。そこを理解して欲しい」
真面目な奴は大体慕ってるし、俺もまあ、悪い先生とは思っていない。
俺自身が真面目であるかどうかは知らんけど。
「なあピクシー、このジャングルの王者に会うにはどうすればいいか知ってるか?」
しばらく仲魔集めのために彷徨っていたけど。
鴨志田先生への手掛かりが無いので、お供として召喚しているピクシーに訊いた。
すると
「鴨志田サマの住処は神獣スフィンクスが守ってるよ」
……スフィンクス?
名前だけは知ってる。
あれだろ?
エジプトのピラミッドの隣にあるやつだろ?
それが鴨志田先生を護ってるのか。
……多分楽じゃ無いよな。
名前からして強そうだ。
それはそれで解決しなきゃいけない問題だけど……
「そのスフィンクスってやつ、どこにいるか分かるか?」
「うん、まかせてー」
どうやら、分かるらしい。
……まずは偵察だよな。
ピクシーの案内で、その「鴨志田サマの住処」に赴く。
その道中だ。
いきなり、俺のスマホが震えた。
ネットワークが死んでる以上、ニュースだとかメールの通知はあり得ない。
すぐに確認した。
するとだ
通知が入っていた。
『警告。現在、帰還が出来ないエリアに入り込んでいます』
……えっ。
さすがに肝が冷える。
同時に「やはりそこまでウマイ話は無いよな」とも思った。
いつでもどこでも、タップ1つで逃げられるなんて。
そんな甘いシステムを、このアプリを作った奴がつけてくれるわけがない。
「ミキ」
俺はその通知を彼女に見せる。
彼女は息を呑んでいた。
……気を付けないとな。
俺は慎重に進んだ。
「あれがスフィンクスだよー」
ピクシーが小声でそう言いつつ、指差す。
ピクシーの指差す方向。
そこは少し開けてて。
建物が、ひとつ。
それは石造りの建物……まるでマンションのいち区画だけを切り取ったみたいな。
そこに
その前に陣取って、明らかに番をしている怪物がいる。
それはケンタウロスに似ている怪物で。
大きさは全体で3メートルはありそう。
下半身が、ライオンの身体で。
上半身が金髪の成人女性。
その背中には、白鳥みたいな翼が生えていた。
あれがスフィンクスか……
見るからに強そうだ。
そう思い、ジッと観察していたら。
ミキに袖を引かれた。
「何……?」
目を向けると。
彼女が
なんだか、ジト目で不愉快そうに俺を見ている。
……そこで気づいた。
ああ、そういや。
あのスフィンクスって化け物。
胸がもろだしなんだよな。
そう、ポロンと。
……いやいやいや。
別に、それを見るためにガン見していたわけじゃないから!