彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第2話 魔神皇

 何だ!?

 地震か!?

 

 俺はミキを抱き寄せて身を伏せ

 

 その寸前に周囲を見回す。

 

 皆、身を屈めていた。

 急な地震に遭った場合の常識的行動だ。

 

 この学校、軽子坂高校って築何年だったっけ?

 耐震性能どのくらいなんだろうか?

 

 いくら防御態勢をとっても、学校自体が崩れてしまったら無意味だ。

 

 そう思い、最悪の事態は避けられるように祈っていたら。

 

 誰かが

 

「おい! 外が変だぞ!? 夜でも無いのに真っ暗だ!」

 

 そんなことを叫んだ。

 

 えっ

 

 驚いて顔を上げると

 

 ……その通りだった。

 

 まだ16時なのに。

 こんなに暗くなるわけがない。

 

 どういうことだよ一体……?

 

 動揺していると

 

「ネットにも繋がらないよ!?」

 

 俺の彼女のミキが自分のスマホを見て悲鳴をあげていた。

 彼女のその言葉を受けて、俺も自分のスマホを取り出しチェックした。

 

 ……俺も同様だった。

 

 さっきまでオンライン占いをしていたのに!

 

 故障であるはずがない。

 ちゃんとスマホ自体は起動しているし。

 

 俺とミキ、同時にスマホのネットワーク機能だけ壊れるって、多分それはおかしいだろ!

 

 だとすると、中継の部分に何かあったと考えるのが自然だ。

 

 俺は髪の毛を掻き毟る。

 原因が分からない。

 

 何が起こってる……!?

 

「ヨータ、どうしよう……?」

 

 ミキが不安そうだ。

 当たり前だよな。

 

 俺も不安だけど、ここで踏ん張らないと彼氏じゃないだろ。

 

 だから俺は

 

「まず、何が起きてるかを調べよう。……スマホは駄目だけど、有線回線はいけるかもしれないから電算部に行ってみようぜ」

 

 あそこの部長の佐藤くんは友達だし、お願いしたら調べてくれるかもしれない。

 今、何が起きているのか。

 

 そう思い、席を立とうとした。

 

 そのときだ。

 

 ……教室のど真ん中に、輝く人影が現れたんだ。

 

 

 

 それは半透明で、一目で生身の人間では無いことが分かった。

 

 その顔は……

 

 一応、知っていた。

 狭間(はざま)偉出夫(いでお)

 

 2-Eの天才だ。

 親の都合か何だか知らないけど、2年の最初あたりに転校して来て。

 噂では、転入試験は全問正解だったとか。

 

 全国高校生模試の最上位勢だという話も聞いた。

 

 真偽のほどは知らん。

 特に興味なかったから。

 

 彼は、ハザマは……あまり評判のいい生徒じゃなかったんだ。

 

 別にさ、異様にイケてないとか、不潔とか。

 そういう理由じゃ無いんだな。

 むしろ分類としてはクール系のイケメンに見えなくもないルックスだと思う。

 

 彼はさ、なんというか……

 自分のことを天才と自覚してて。

 周囲の人間を見下す雰囲気がありありだったんだ。

 

 その辺、制服にも出てるんだわ。

 

 転校時に、前の学校……相当偏差値高かったと予想できる……そこの制服を着て来てて。

 それが、今に至ってもそのまんまなんだよ。

 

 この軽子坂高校はブレザーが制服なのに。

 ハザマはずっと、純白の学ランという、まるで貴族みたいなどこかのエリート校の制服のまま。

 

 ブレザーに着替えなかったんだ。

 

 ……そんなの、俺たちとしても気分悪いわ。

 本来、ここにボクは居るべき人間じゃ無いから。

 そう言ってるみたいで。

 

 で……

 

 順当に総スカンになった。

 

 俺は友達を1人でも多く増やすことを信条にしているけど、彼は駄目だ。

 自分に媚び諂う人間としか付き合う気が無い。

 

 そんな人間と、頭を下げて付き合う気は流石にない。

 

 彼の悪口を言ってる人間はざらにいたし、不良生徒の中には彼を小突いている奴もいた。

 

 良くは無いけど、俺としては友達でも無い人間を庇う気は無いので。

 ずっと、放置していた。

 

 そんな彼が、幽霊みたいな半透明の姿で目の前にいる。

 どういうことなんだ一体……?

 

 戸惑い、動けなくなっている俺たちを

 

 そのハザマの姿をしたものは目を向けず。

 

 いきなり、一方的に話し始めたんだ。

 

『……我が世界へようこそ』

 

 ハザマの幻影は語った。

 

 昨日までの私は非常に優れてはいたが、ただの人間であった。

 だが今の私は全知全能の力を得た魔界の支配者である。

 

 魔界の者は私のことを魔神皇(マジンノウ)と呼ぶ。

 

 支配者たる私の姿を目にした君たちは、もう2度とない幸運に恵まれたのだ。

 

 教えてあげよう。

 君たちはもう帰れない。ここは魔界だ。

 

 これからはそんな君たちが生きるも死ぬも運命は全て私の手の内にある。

 せいぜい楽しませてくれたまえ。

 

 ハハハハハハハハハハー!

 わーはははっはは……

 

 そう、一方的に喋り続け。

 高笑いが終わった瞬間。

 

 現れたときと同様に、ハザマの姿をした半透明の人影は消え去った……。

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