彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
俺たちは戻って来た。
目の前に、このジャングルに場違いな、近代的な建物に見える建造物がある。
その前にいる番人・スフィンクス。
彼女はじっと、建物の入り口前で佇んでいた。
俺たちは大樹の陰からそれを見つめ
一言。
「……やばそうだったら逃げるからな。走る準備はしといてくれ」
そう、行く前に俺はミキに言っておく。
やばそうなら、ネコマタとグーラーに時間を稼がせて、その間に俺はミキと逃げるつもりだった。
かなり苦労して仲魔にした2体だけど、ミキと俺の命とは代えられない。
俺のその言葉にミキは頷き
「いざとなったら、私がヨータを抱えて走るから」
……そこまで言ってくれた。
今の彼女は多分俺より力が強いだろうし。
現実にできそうではある。
……情けないから御免被りたいけどさ。
「じゃあ、いくぞ」
その一言で俺は覚悟を決めて。
一歩踏み出した。
「やあ」
……なるべく、友好的に。
「……この鴨志田サマの御心の中の世界に、一体何用なのか?」
「鴨志田先生とお話がしたいんだ」
美女の顔で。
厳しく重々しい口調でそう俺たちに言ってくるスフィンクスに、俺はそう、なるべく穏やかに返す。
できれば戦闘を避けたいのは本心だしな。
すると
「ならばこの問題に答えてみるが良い」
……うおお。
マジでアヤメさんの言った通りになった。
俺は緊張し、じっとスフィンクスの顔を見つめた。
彼女は
「……持つことで無敵の盾となり、無敵の剣にもなりうるが、同時に捨てられない苦しみを
そう、厳かに告げる。
剣にも盾にもなって、捨てることが出来ずに苦しいもの。
……これだけ聞いたら多分答えられないな。
これが鴨志田先生から出て来た問いであるという予想が無いのであれば。
……俺は。
この問いの答えを「夢」だと思っていた。
その理由は、鴨志田先生が教師を目指すことが難しくなっても、あくまで教師に固執したからだ。
あの、宝物庫で見せてもらった記憶には、鴨志田先生が他の職業を目指そうとした記憶は無かった。
諦めそうになったとは言ってたけど。
つまり、鴨志田先生にとっては「捨てられない辛いもの」だったんだ。
夢ってやつは。
……だから。
俺にはこれ以外の回答は浮かばなかった。
俺はミキに視線を向けて
答えるよ、と。
目で伝える。
彼女が頷いてくれたので俺は
「それは夢だ」
自分の考える回答を、スフィンクスに告げる。
……さあ、どうだ?
流れる沈黙。
高まる緊張。
「……それで良いのだな?」
スフィンクスのその言葉に俺は頷く。
そしてその後
「……正解だ。さあ、この世界の主に会うがいい」
俺たちは正解を引き当てたことを知った。