彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
ハザマだったものが変わっていく。
巨大な、紫色の手鏡に。
その手鏡は宙に浮き、その鏡面にハザマの顔を浮かび上がらせていた……
俺の言葉で、自分が本物でないことを認めなくてはいけなくなったこと。
それは相当、この偽物のハザマにとっては都合の悪いことだったみたいだ。
人の姿を捨てて、悪魔の姿に変わるなんて。
「……これは一体何だ?」
ネメシスも困惑している。
……知らんかったんかアンタも。
だから俺は言ってやった。
「アンタが従っていた召喚主は、人間では無かったんだよ。……この世界の主が想像した架空の人間だったんだ」
俺の言葉に、ネメシスは明らかに困惑していた。
「架空だと……? 彼は、ハザマ殿は実際には居ない人間だというのか……?」
うーん……
本物の人間だと思っていたんだなぁ。
なんと言うか……
少し気の毒になる。
だけどまあ。
これはチャンスかもしれない。
「……そういうわけだから、アンタの役割はこの世界の主の手のひらの上だと思う」
ここで畳み掛ければ、この女神を……
仲魔に出来るかもしれない。
そう思ったとき。
「オオオ……僕ハ誰なんだァァァァ!」
ハザマだったものが変身した悪魔が、宙を飛び俺たちに襲い掛かって来た。
紫色の巨大な手鏡が、その鏡面から闇色のエネルギー波……そういうものを放射してきた。
俺たちはそれを避けるために駆け出す。
ネメシスは羽ばたき、宙に逃れる。
逃れながら
「雷よ!」
指先を向け、そこから電撃魔法を発射した。
……したんだけど。
その魔法は、巨大な鏡の鏡面に直撃し、そのまま反射して
逆にネメシスを打ち据えた。
「グアアアアアアー!」
自分の魔法を喰らって、墜落するネメシス。
そこに
手鏡の悪魔は追い縋り、倒れたネメシスに闇の魔法を……
浴びせようとしたとき。
ミキがその前に割り込んで来た。
そしてその闇のエネルギーをその身で受けた。
俺は一瞬、血の気が引いたが。
……その次の瞬間、それは俺の認識不足であることを思い知る。
ミキはその闇の波動を弾き飛ばしたんだ。
効いていない。
それを知っていたのか、ミキは不敵に微笑んで。
その手鏡の悪魔に跳躍し、その拳を思い切り叩き込む。
「ガアアアアアッ!」
手鏡の悪魔の悲鳴。
どうも物理攻撃が弱点みたいだな。
俺はそんな彼女の一撃に合わせるように、踏み込んで
夢想正宗の切っ先を、その鏡面に付き入れる。
俺の夢想正宗はその一撃で手鏡の悪魔の鏡面を砕き、そのまま突き抜け。
手鏡の悪魔はそこで、塵になって消滅した。