彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第35話 とやかく言うな

「……女の子悪魔ばっかりだね」

 

 俺がネメシスを仲魔にした後。

 ミキがポツリと洩らす。

 

 俺は

 

「いや、こんな強力な悪魔を仲魔にするチャンスを棒に振るなんて」

 

 あり得ないだろ。

 そう全力で主張した。

 

 そんな俺たちに

 

「マスターよ。……この不死者はヌシの何だ?」

 

 ネメシスが訊ねて来た。

 一目で分かるのか。

 さすが神様というか。

 

 俺は即座に

 

「カノジョだ」

 

 俺の言葉にネメシスは腕を組み。

 冷めた目を向けつつ

 

「……つまり恋人ということか?」

 

 そう確認を取って来た。

 俺は頷き

 

「そうだよ」

 

 その答えに

 

「……承知した」

 

 そうネメシスは返して

 

「名を教えてくれ」

 

 そんな言葉を、ミキに向けたんだ。

 

 

 

「えっと、天川美紀です」

 

 いきなりではあったけど。

 ミキは女神が訊いて来たことに正直に答える。

 

 そんなミキの言葉に

 

「ならばミキ、問おう」

 

 ネメシスは

 

「貴女の恋人は信用できぬ男なのか?」

 

 ……相当、直球の質問をした。

 

 

 

「そんなことはありません!」

 

 即座にそう返すミキ。

 そこで言い淀んだりしないところに俺は喜びを感じたけど

 

「ならば相応しい態度を取らぬか。他者を疑うことは他者を剣で斬りつける行為」

 

 ……続くネメシスの言葉で、ちょっと待てよと思った。

 

「あのさ、ネメシス。悪いけどそこは触れないでやってくれ」

 

「……何がじゃ? このミキの前の恋人が浮気者だったからと言って、何故マスターが責任を取らねばならぬ?」

 

 こういう悪の芽は摘まねばならぬ。

 見過ごせぬ。

 

 ネメシスは真顔でそう堂々と言ってくる。

 

 あのなー

 

 確かにあるあるみたいだけどさ。

 元カレが浮気する男で、それが原因で別れたら男に対して疑り深くなる、って。

 

 だからと言って一方的に決めつけるのは止めようや。

 

 別にミキに、そんな黒歴史は無いから。

 元カレがどんな男だったかは知らんけども!

 

 なので

 

「……彼女は不安になってるんだよ。俺のミスでゾンビになってしまったから」

 

 あまり軽々しく口にすることでは無いけど。

 俺は言った。

 

 彼女に不名誉な決めつけをされるのは正直我慢ならない。

 ネメシスは

 

「なるほど」

 

 理解した、と頷き

 

「でもそれと、マスターが不貞行為を働くかどうかは無関係では無いか?」

 

 そしてさらに爆弾を投げて来た。

 自分が不安だからと、他者を無用に貶める行為を正当化するのは違うだろと。

 

 いやまあ、そうなんだけどさ。

 自分が苦しかったから、他害を見逃して欲しいとか。

 甘えんな、って話だし。

 

 でも

 

 俺はいい加減、ネメシスと言い合うのが面倒になって来たので

 

 戸惑っているミキに近づいて。

 抱き寄せて

 

 また、ちょっと強引にキスをした。

 

 ミキは少し身を捩った。

 人前でされるのはやっぱ嫌だったらしい。

 

 今は彼女の方が力が強いのであっさり押し返されてしまったけど。

 

「……そう言うのを飲み込んでも、俺は彼女が大切なんだ。とやかく言うのはやめてくれ」

 

 多少勢いもあったけど。

 そう言い切って

 

「……承知した」

 

 ネメシスの方も、契約関係の義理立てか

 それ以上正論でミキを殴るのを止めてくれた。

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