彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ごめんなさい」
校長の精神本体を目指して軽子坂飯店の中を突き進んでいると。
ミキが俺に謝って来た。
……ハテ?
「何が?」
意味が分からないので訊ねると
「……明らかにヨータのせいでないことで文句言ったの、悪かったと思ってる」
今頃かい。
別にそれに関しては何にも思って無いから
「別にいいから。不安定になるのは仕方ないんだし」
いきなり覚悟も無しにアンデッドになってしまって、平常心でいろという方が無茶だろ。
むしろ普段よりちょっと依存心と嫉妬心が強くなるくらいで済んでるミキの方がすごいんだから。
そう返すと
「……ヨータが彼氏で本当に良かったと思う」
ミキはポツリとそう呟いた。
うーん……
自分のせいでアンデッドになってしまった彼女が、精神的に不安定になったからと見捨てるってヒトとして終わって無いか?
褒められるようなことじゃ無いと思うんだが……
「軽子坂飯店は俺たちが守るー!」
……ってそんなことを考えていると。
骸骨の頭部を持ち、燭台を手にした紳士……
堕天使ビフロンスの集団が襲って来た。
それに俺が夢想正宗を抜いて飛び出そうとすると。
その前にミキが前に出て。
ビフロンスの1体を引っ掻く。
……今のミキの爪には麻痺毒があるんだよね。
つまり、麻痺引っ掻き。
「グハアアア」
麻痺毒にやられてビフロンスの1体が倒れ伏し、動かなくなる。
俺はそのビフロンスの首に夢想正宗の切っ先を突き刺してとどめを刺した。
「ふむ。楽勝じゃの」
ネメシスも余裕でビフロンスたちを斬り捨てて。
ばさばさ羽ばたき、俺たちのところに舞い降りて来る。
……うん。
やっぱり。
仲魔にして良かった。
ネメシス、すごく有能。
電撃魔法と破魔魔法を使用できて、剣技も強い。
戦闘員として申し分が無い。
「……ありがとうございます」
ミキがネメシスに頭を下げる。
さっきのことがあるから彼女の中では複雑だろうな。
「うむ」
そしてネメシスはそんなミキの振る舞いに軽く頷いて
「……そろそろ、この精神の最奥が近い実感があるぞ」
そんなことを。
……校長の精神……
俺が思うに。
校長の精神については、多分鴨志田先生のようにはならないと思う。
鴨志田先生は何も悪いことをしていなかったけどさ。
校長は自己保身でやらかしているわけだし。
それにネメシスもいるし。
多分、戦闘は避けられないだろうな……
そして。
とうとうやって来た。
「……VIPの部屋」
ミキがその部屋の立派な扉の前でそう呟く。
扉の上にそういうプレートがあるんだな。
校長の精神本体はこの部屋にいるはず。
そこで俺はネメシスとミキを振り返り。
同意を仕草で貰えたので。
思い切って、その扉を開けたんだ。