彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第37話 大岡校長

 VIPの部屋はかなり広く、天井も高かった。

 赤い絨毯が敷かれていて、壁紙は白。

 

 高級ホテルの食堂のイメージ。

 

 そこの中央に丸いテーブルがあり、そのテーブルに山盛りのから揚げ、チャーハン、そしてスープ、炒め物……

 

 見るからに中華料理。

 思わず唾を飲み込む。

 

 視覚的にもだけど、香りも食欲を刺激する。

 

 校長の精神本体はそこのテーブルで、スーツの上に白いエプロンをして。

 一心不乱にその豪華な中華料理を口に詰め込み、喰いまくっていた。

 

 軽子坂高校校長・大岡素一郎。

 頭が縦に長い印象がある初老の男で。

 顔は痩せてる。

 

 ……腹はどうも怪しいけど。

 

 しかし

 

 ……校長の食べ方、汚いな。

 良い大人の癖に。

 

 まぁ、今それはどうでもいいな。

 

「校長先生、話があるんですが」

 

 部屋に入って来ても食べるのを止めない校長に、俺は呼び掛けた。

 校長は無視してから揚げを頬張っている。

 

 俺は

 

「自己保身で虐められている生徒を見捨てて、教育者として恥ずかしくないんですか?」

 

 そう、ハッキリ言ってやった。

 

 するとだ。

 

 校長の手が止まった。

 

 ……そっか。

 

 俺の言ったことを言われたくなかったから、俺たちが入って来ても食事を止めなかったんだな。

 校長の精神本体の行動理由が透けて見えて、こう言ってはなんだけど……

 

 ちょっとだけ、面白かった。

 人の心の動きが見えたことが、面白いと思えたんだ。

 

 でもま、それこそ今はどうでもいい。

 

「……お前に教師の世界の何が分かる?」

 

 食事を中断した校長精神本体の声は、底冷えしていた。

 怒りに震えている。

 

 それが伝わって来る。

 

 俺はそんな校長に

 

「教師の世界は関係無いですよ。人として終わっているって言ってるんですよ。正義って言葉はご存知ですか?」

 

 ……少しばかり挑発を交えた返答をした。

 正直、腹は立っていたからね。

 

 俺のそんな言葉に

 

「黙れ。……いじめなんてものが発生したら、ワシは校長をクビになるかもしれんのだ。……穏便に済ませようとして何が悪い!」

 

 校長は校長は怒りの表情を浮かべて、俺に向かって怒鳴りつけて来る。

 

 内心、罪悪感があるから。

 この態度なんだな。

 

 本当に悪いと思っていないなら、こうはならない。

 

「穏便に済ませるために、いじめに遭っている方を、いじめた側に謝らせるなんてどう考えてもおかしいですよね?」

 

 俺がなるべく怒りを抑えてそう言うと

 

 校長が唾を飛ばす勢いで言い返して来る。

 

「いじめられる方に問題が無いと言うのか!」

 

 ある意味、予想していた返し。

 俺はそれにこう返す。

 

「問題があればいじめてもいいんですね? そんな理屈、俺はこれまで誰にも教えられませんでしたが?」

 

 嫌うのは自由だ。

 だけど、暴行や嫌がらせをするのは違うだろ。

 

 どうしても嫌いなら、関わらなければ良い。

 苦しめてやろうなんて考え方はイカれてんだよ。

 

「うるさい黙れ! ワシが校長になるために、どれだけ苦労したと思っている!? 不良生徒に処分をしても反発し、いじめが解決しないどころかさらに大事になる可能性がある! だからあの生徒に謝らせて何が悪い!?」

 

「本気でそう思っているなら、本当にあなた校長をする資格無いですよ。そのまんまで居座られると迷惑です。辞表を出してくれませんか?」

 

 俺のその言葉に

 

 校長はブルブル震えた。

 

 ……来るか。

 

 俺は戦いを予感し

 夢想正宗を抜き、八相に構える。

 

「……クソガキがぁ……」

 

 怒りに震える校長の声が、何重にも聞こえた。

 声の変質……

 

 それを耳にしたとき。

 

 校長の身体が膨張し、巨大化していった……

 

 真っ赤な皮膚と、2本の黒い角を持つ巨漢の姿に。

 悪魔の姿に変じた校長は、俺たちを睨みつけ。

 

 こう名乗った。

 

「ワシの名はオオオカ・アザゼル・スイチロウ! ……ワシを怒らせたことを後悔するが良い!」

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