彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第38話 校長の攻略

 オオオカ・アザゼル・スイチロウ……。

 

 アザゼルは聞いたことがある。

 ということは、それなりに強力なんだろうな。

 

 有名な悪魔だってことだし。

 

「ウハハハハハ……後悔させてやるぞ。ワシのグルメ王国を脅かす存在は何者も許しはせんのだ」

 

 変身を終えて勝ち誇る校長に俺は

 

「アンタ、食事をするために校長してるのか」

 

 そう訊くと、校長は

 

「当然だ!」

 

 自信に満ち溢れた声。

 中華料理を昼食で食うために校長をしている。

 

 認めやがったよこの人。

 

 なんかもう、終わってるな。

 

「昼食で食べる中華料理の数々……食事手当で食べる中華料理の旨さを、お前には理解できまい……!?」

 

 タダメシってことか?

 

 そりゃ嬉しいだろうけど……

 

「そんなもんが、仕事を投げ出すことを正当化できるものだとは思えないが?」

 

「ぬかせぇ!」

 

 校長が、元の姿とは似ても似つかぬその逞しい腕を俺に向け

 

「喰らえ! アギラオだぁ!」

 

 火炎魔法を放って来た。

 俺たちに向かってくる灼熱の弾。

 

 俺たちは回避のために散る。

 特にミキは火炎にも弱いので必死で逃げてる。

 

 ……あまり時間は掛けられない。

 

「グハハハハ! 逃げるがいい! 当たれば終わりだぁ!」

 

 校長はハイテンション。

 今、自分は圧倒的強者だとでも思っているのか。

 

 ……まあ、弱くは無いと思うよ。

 この精神世界の主だしな。

 

 でも

 

「逆切れかよ! ますます教師をやる資格無いな!」

 

 俺はそう、校長が怒りだしそうなことを意識して言いつつ逃げる。

 校長は狙い通り、俺目掛けて火炎魔法を放ち続ける。

 

「その口を閉じろガキめがぁぁぁぁっっ!」

 

 ……よし。

 

 俺ばかりに集中している。

 校長は多分、戦闘のセンスは無いだろう。

 

 そう思っていたから、とった行動。

 

 俺に校長が釘付けになったその隙に

 

「ジオンガじゃ!」

 

 宙を舞うネメシスが、校長に電撃魔法を放つ。

 ネメシスの手から放たれた稲妻が、アザゼル校長を打つ。

 

「グアアアアアアアアッ!」

 

 校長の悲鳴。

 

 ……よし!

 

「く、クソッ! 卑怯な真似を……!」

 

 校長のそんな言葉に俺は笑みを浮かべ

 

「真剣勝負にそんなもの言うべきじゃ無いと思うぞ?」

 

 そう言い放った。

 ……ダメージの受け方から、電撃が校長の弱点だろうとあたりをつけながら。

 

 そして俺が、どうやってネメシスの電撃を当てていくかを思案しようとしたとき。

 

「がッ……!」

 

 校長が短く悲鳴をあげて。

 次の瞬間、倒れ伏した。

 

 ……? 何が起こった……?

 

 そう思った俺の目の前に。

 校長の背後に立っていたミキが、その麻痺爪の引っ掻き攻撃を加えた姿で佇んでいた。

 

 その表情は強張ってる。

 火炎魔法を使う悪魔なんて、今の彼女には致命的だからな……

 

 校長が俺とネメシスに集中するあまり、自分への注意が薄れていると判断して、突撃したのか。

 俺はそんな彼女の行為に……

 

 感謝したけど、同時に恐怖を感じた。

 危ないことはしないでくれ、と。

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