彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第39話 最初の気持ち

 倒れた校長は元の姿に戻っていく。

 

 赤い肌の巨漢から、スーツ姿の老人に。

 

 まだ死んではいないはず。

 

 俺は

 

「まだ戦うか?」

 

 そう、校長に呼び掛ける。

 校長は

 

「うう……」

 

 呻きながら藻掻く。

 身体が麻痺しているから動けないのか。

 

 ……麻痺を治す手段は持ち合わせていないからなぁ。

 

 しょうがない。

 俺はそのまま、思うところを話す。

 

「あのさ、校長先生さ」

 

 校長は、自己保身のために道理に合わないことを決行した。

 

 それはやむを得なかったと校長は言う。

 現在のポストを失うかもしれないから、と。

 

「校長の給料はさぞ多いんだろうな。……俺のバイトの給料は2万円ちょいだよ」

 

 俺の言葉に、校長の身体が震える。

 一緒にするな、と言いたいのか?

 

 まぁ、それは今はいいや。

 

「……どうせ校長は自分とお前とでは稼いでいる額が違う、って言うんだろうけどさ」

 

 俺は倒れている校長の背中に向けて続けた。

 校長の表情が見えないから、どう思っているのかは正確には分からない。

 

 そのまま

 

「そのために道理に外れた理不尽なことを正当化するのはおかしいよな?」

 

 ……俺の思うところを口にする。

 

「収入を得るために全ての行為が正当化されるなら、路上強盗も許されるよな?」

 

 校長が言ってるなら、生活を守るためなら悪事も許されるってことだ。

 だったら路上強盗にも正当性が出て来る。

 

 そのはずだ。

 

 でも、校長はきっとこう言うだろう。

 

「路上強盗は犯罪で、いじめの被害者を加害者に謝らせるのは犯罪じゃ無いから良いって?」

 

 ……正確に法的に言えば、後者も犯罪なのかもしれないけどさ。

 そこは問題じゃない。

 

 そういう意見は、こういう考え方でないと出て来ないはずなんだ。

 それは

 

「アンタの中では、犯罪にならないなら何をやってもいいって教育方針なのか?」

 

 悪いことしてない。

 それって犯罪ですか?

 

 ……こういう返しって、最低なんだよ。

 

 犯罪にならなければ何をしても良いなら、法律の抜け穴を探す奴が賢いって話になる。

 

 誰が正しいと思うよ? そんな奴。

 それを正しいという奴は、教師をする資格が無いんじゃないのか。

 

 自分の言ったことで多少イラつきつつ、俺は

 

「……校長先生さ、アンタも教師になったんだから、元々は理想って奴があったんじゃないのか?」

 

 一番言いたかったことを言った。

 教師になるのは楽じゃ無いと思う。

 そこを目指したのは、タダで中華料理を食べるためじゃ無かったはずだと思うんだ。

 

 なのに、どこで歪んだんだよ。

 だから最後にこう言ったんだ。

 

「アンタ最初からそうじゃなかったんじゃ無いのか?」

 

 俺の言葉が終わったとき。

 

 ……校長は倒れたまま肩を震わせていた。

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