彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ミキ、見てくれ」
俺は彼女に希望を与えようと、自分のスマホを見せた。
彼女はよくわからない顔でそれを見て
「……どういうことなの?」
当然だけど、そう訊き返して来た。
俺は
「他人の精神世界に踏み込むアプリだこれ」
直球でそう言った。
俺の言葉に
「えっと」
ミキは混乱して目を泳がせ。
やがてこう、一言。
「……それ、本当?」
俺は頷いた。
明確な根拠は無いけど、この状況でいつの間にかスマホに入ってたアプリだ。
……まともなものであるわけがない。
それが根拠だった。
ウイルスである可能性はほぼ無いだろ。
だって、ネットワークが死んでるわけだし。
だから多分……ヒトじゃ無いものが作ったアプリだと思う。
この状況を切り抜けて見せろ、って。
その辺を説明したら、彼女は
「……魔界に学校ごと飛ばされることが現実に起きたんだから、それぐらいあってもおかしくないかもね……」
納得してくれた。
彼女の理解を確認した俺は、自分の計画を話した。
「このアプリを使ってハザマの精神世界に入り込み、俺がハザマ本人の精神と会話して、こんな非道を止めさせる」
……それが俺の考えていることだった。
俺はこれまでの人生で、何人も友達を増やして来た。
中には不良っぽい奴とか、何もしゃべらない奴もいたけど。
ちゃんと会話したら、意思疎通出来て相手がどういう人間なのかは理解できたんだ。
そして友達になり、俺は自分の世界を広げて来た。
俺はハザマの普段の振る舞いに閉口して、彼と交流を持つことはしてこなかったが。
ちゃんと話せば、俺たちと意思疎通が出来るかもしれない。
難しいかもしれないけど、俺はやれる気がした。
俺の言葉にミキは
「……ヨータなら出来るかもしれないね」
頷いてくれる。
信頼してくれているんだ。
俺はそのことに喜びを感じ
「じゃあちょっと、他人に見られない場所で試してみる」
そう言い残し、教室を出て行こうとしたけど
「待って」
そんな俺の袖を掴み
彼女は
「私も行くよ」
そう言ってくれたんだ。
俺だけに働かせたくない、って。
俺は感激したよ。
すごく嬉しかった。
……そう、このときは。
そして。
俺たちは2人、人気が無い3階への階段の踊り場で
「……じゃあ、起動するぞ」
俺の言葉に、ミキが頷く。
ハザマの名前をタップして
『ナビゲーションを開始しますか?』
その最終確認についても。
俺は「YES」を選択。
すると一瞬眩暈を感じ。
俺たち2人は……
気が付いたら古い石の通路……
牢屋が立ち並んでいる、湿った石の通路に居たんだ。