彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第40話 新しい姿

「……認めよう」

 

 俺の話がすべて終わった後。

 

 校長がゆっくりと立ち上がる。

 麻痺が解けたのか……

 

 校長の顔は涙に濡れていた。

 校長は涙をハンカチで拭いつつ

 

「ワシは元々……昔に志の無い教師に酷い目に遭わされたから、自分が教師になってああいう目に遭う子を減らしたいと思っていたんだ」

 

 そんな過去の話をした。

 

 ……ああ、何かそう言う話、聞いたことはあるな。

 俺らの世代のじいさんばあさん世代。

 

 教師が酷かったって。

 今じゃ絶対に問題になる行為が横行してたって。

 

 病気の子供をプールに投げ込んだり。

 親の職業が気に入らないからと、その生徒をいじめたり。

 自分の意見に従わない生徒の成績を弄ったり。

 

 話を聞いて「クズじゃん」って思ったのを覚えている。

 

 校長は辛そうだった。

 

「……なのに。ワシは自分の地位が上がって収入が多くなり、自分の身の回りで守るものが増えていくにしたがって、最初の気持ちを忘れていた……」

 

 すまなかった。

 最低の行いだった。

 

 校長のそんな謝罪を

 

「……それは俺に言うことじゃ無いだろ」

 

 俺はそう返す。

 この件に関しては、俺は、俺たちは被害者じゃ無いし。

 俺たちに言うべきことでは無いだろ。

 

 そんな俺の言葉に

 

「……そうだな。失礼した」

 

 校長はそう言って詫びる。

 

 これで校長が抱えていた問題は解決したと見ていいだろう。

 校長が、ハザマに対して持っていた問題は。

 

 ……だからとりあえず。

 ここで俺たちが目指したものは終わったかもしれない。

 

 俺たちは校長に接触できるだけの実力を得るためにここで戦った。

 それが今、完了したんだから。

 

「ミキ」

 

 だから俺は、ミキにそう声を掛けて。

 ここから立ち去ろうと言おうとした。

 

 ここはクリアできたから、次の世界に行ってさらに上を目指そう、と。

 

 そのときだった。

 

「ア……」

 

 ミキは自分の手のひらを見つめていた。

 何か起きる。

 

 そんな瞳で。

 

「ミキ……?」

 

 俺は少し分からなくて。

 そう、もう一度呼び掛けると

 

 ミキの身体から黒いオーラが迸った。

 

 闇が噴き出したと言ってもいい。

 

 そしてそれが消えたとき。

 

 ……ミキの髪の色が紫色になっていた。

 

 変化……?

 

 俺は慌てて、自分のスマホを確認した。

 

 ミキの今の状態、どうなっているんだ……?

 

 するとそこには

 

 屍鬼ボディコニアンは幽鬼マンイーターに進化しました。

 

 そんな通知が。

 変わった……!

 

 名前からするに、まだアンデッドだけど。

 ミキが人間に限りなく近いものに成ることが出来る目。

 

 それはまだある。

 

 それを実感できて。

 

 俺は

 

「ミキ! 良かったな!」

 

 そう言って、彼女を抱き締めていた。

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