彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第5章 妹
第41話 ヒトでないということ


 校長の精神世界から、こっちの世界……魔界に堕ちた学校に戻って来た。

 

 ……次は……

 

 順番から言えば、赤根沢(あかねざわ)玲子(れいこ)

 俺は彼女とは話したことは無い。

 

 ただ、ミス軽子坂高校の1人に数えられていた気がする。

 眼鏡を掛けた読書家で、図書委員をしてる子だったはずだ。

 学年は1年生。

 つまり、後輩だ。

 

 名前と顔は知ってるが、話したことのない相手……

 

 そんな人間の精神世界。

 ……全く予想がつかない。

 

 そしてその危険度はレベル3。

 鴨志田先生を1、校長を2としたらそうなる。

 

 ……後輩の女の子の精神世界が危険度レベル3……?

 

 どういうことなんだよ、それ……?

 

 さすがに俺も、女の子は天使であるとは思って無いけどさ。

 人間なんだし。

 でも、大人のオッサン2人に勝る危険性を心に秘めてるって、ホントどういうことなんだ……?

 

 まぁ、それは今は良いか。

 これで2つ、連続休みなしで2つ精神世界をクリアしたわけだけど。

 

 ……さすがに疲れた。

 

 そろそろ、少しだけ休みたい。

 身体はまだ平気だけど、心が休みを求めている。

 

 だから俺はミキを見て

 

「……ちょっと飲み物を買おう。休もう」

 

 そう、提案した。

 

 

 

 階段踊り場から購買部に移動した。

 そしてその傍にある自動販売機。

 紙パックの飲み物専売の自動販売機なんだけど。

 

 奇跡的にまだ売れ残っていた。

 

 ……牛乳が。

 

 俺は財布から百円玉を2つ取り出して。

 1個100円の紙パック牛乳を2つ購入。

 

 そして片方をミキに渡した。

 

 だけど……

 そこで異変が起きた。

 

 ストローで紙パックの中身を吸い上げたミキの表情が歪んだんだ。

 

 えっ何で?

 

「牛乳、嫌いだったっけ?」

 

 そんな俺の言葉に彼女は首を左右に振った。

 だけど

 

「……何だか身体が受け付けなくなってる……ゴメン」

 

 そう言って、紙パックを返して来る。

 そしてトイレに駆け込んだ。

 

 ……吐き出すのかな。

 

 俺はその様子に……

 

 はじめて、彼女の身に起きたことの意味合いが理解できた気がした。

 

 普通にヒトが飲み食いして美味しいと思うものがそう思えない。

 生きて、考えられて、話せて動ける。

 それだけ出来れば大きな問題は無いのか?

 

 ……そんなことは無いんだよな。

 

 それを思い知ったよ。

 

 だから

 

 彼女がトイレから戻って来たとき。

 

「ミキ、とっとと3番目の世界に行こう」

 

 俺は迷わずそう言った。

 一刻も早く、彼女をもっと人間らしく生きられる身体にしてやらないと……!

 

 

 

 再び俺たちは3階への階段の踊り場に舞い戻り。

 俺は3つ目の世界に行くためにイセカイナビを起動する。

 

 そして赤根沢玲子の名前をタップしたとき。

 

 眩暈の後。

 

 俺たちは、茨の世界に居た。

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