彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第42話 茨の世界

「これ、茨だよね……?」

 

 ミキが、周囲を囲んでいる緑色の棘ある植物を見て、呟くように言って来た。

 俺にも茨にしか見えない。

 

 まぁ、よく考えると茨とは何か? ってことをホントのところを考えたことが無いので、植物名として正しいのかは知らん。

 

 そこにあるのは緑色の茨の蔓。

 その太さは1センチ以上あると思う。

 

 それらが絡み合って、まるで壁のようになっている。

 

「……この精神世界、どういう世界なんだ?」

 

 そんな俺の言葉にミキは

 

「茨というと、茨姫を思い出すよね」

 

 まぁ、確かにな。

 ここが女の子の精神世界であるということを考慮すると余計に。

 

 ……だとすると

 

「赤根沢玲子って子は、自分を眠り姫だと思ってるってことなのか? 王子様に救われるのを待っている……?」

 

 いや、そうすると……

 

 その場合多分、精神世界の危険性はそれほど高くはならないハズ。

 何故って、王子様が自分を救いに来れなければ、眠り姫の物語ははじまらない。

 絶対にクリアできないようにはしないハズなんだ。

 

 なのにレベル3……3番手の危険度。

 

 断定はできないけど、理屈に合わない気がした。

 

「とりあえず、まずは帰還を視野に入れて探索してみよう」

 

 俺はスマホを操作して女神ネメシスを召喚し

 

「何用じゃ? マスターよ」

 

 魔法陣の中から、翼をはためかせて出現する女神に。

 俺は

 

「この世界の探索がしたい。手を貸してくれ」

 

「了解じゃ」

 

 すぐさま自分の用件を伝え、それは速やかに了解された。

 

 

 

「空から見るに、奥に城のようなものがあるな」

 

 この世界の全体像を知りたいから、上からこの世界を見てくれないかと頼んだら。

 ネメシスは羽ばたいて飛び立って。

 

 可能な限り上空から、周囲の様子を確認してくれた。

 

 ……城があるのか。

 

「ありがとう」

 

 俺はネメシスに礼を言って。

 考える。

 

 ……やっぱり、その城に赤根沢玲子本人の精神体があるのかな?

 

「なぁ、その城の様子を見てくることって……」

 

 できるか? って言いかけて。

 

 いや、ダメだろ。

 

 ネメシスは確かに弱い悪魔じゃ無いけど、天下無敵ってわけじゃない。

 単独行動させて各個撃破みたいな憂き目にあったらどうするんだ?

 

 そう思い直す。

 

 だけど……

 

 目標も無しに闇雲に動いても、多分この精神世界の攻略には結びつかないぞ……

 

 俺は悩んだ。

 真剣に悩んだ。

 

 時間にしたら数分ぐらいだっただろうけど、真剣に悩んで、天秤に掛けたんだ。

 

 ……ネメシスの安全と、この世界の速やかな攻略について。

 

 そして結局

 

「ネメシス。無理はしなくていいから、出来る範囲でその城の偵察行為をお願いしたい」

 

「……了解じゃ」

 

 俺の言葉にネメシスは少し表情を引き締める。

 彼女自身もそれが危険行為であることは理解しているのか。

 

 ……感謝する。

 

 

 

 そしてネメシスを送り出した。

 

 そのまま俺たち2人はじっとその場で待っていた。

 会話はしない。

 

 話声で悪魔が寄って来たら困るし。

 

 ……無事でいてくれ。ネメシス。

 

 俺たちがハザマと対峙するために、これからも彼女には仲魔として頑張って貰わないと困る。

 神様相手だったが、俺は彼女の無事を祈った。

 

 そして10分くらい過ぎた後だったろうか……

 

 突如、彼女が帰って来た。

 ……かなりのスピードで。

 血相を変えて。

 

 こんなことを言いながら

 

「大変じゃ! この世界に人間が居て、悪魔と戦っておるぞ!」

 

 ……何だって?

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