彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
この世界に人間……?
それが悪魔と戦っている……?
それは……
そのとき俺の脳裏に。
クラスメイトの内田たまきさんの姿が過る。
元気で、活発で。
確か帰宅部だけど妙に体育で優秀な女の子。
言っちゃなんだが俺たちの学校では、かなり上位の女子だと思う。
彼女をあのとき見掛けた……
俺たちが、本格的にこの精神世界を渡り歩く戦いを始める決意を固めたときに。
そういえば内田さん、あのとき金属バットを持って歩いていた。
そのとき俺は「自衛のためにいち早く武器を確保したのか」と思っていたけど。
もしかしたら……
彼女も、俺同様に悪魔召喚プログラムとイセカイナビを持っているのかもしれない。
自分が手に入れたものは、他人は持ってない。
そういう考え方は間違いだ。
他人だって努力もすれば、拾いものをするはずなんだし。
自分を特別視するべきじゃない。
だから十分あり得る可能性。
だったら……
手を組んだ方が良くないか?
こんな精神世界に入り込んで戦っているってことは、俺たちと目的は多分一緒のハズなんだよ。
即ち……
ハザマの精神世界に入っても、ハザマの精神本体に到達するまで戦い抜ける実力を身に着ける。
これを目的にしてる可能性が高いはずだ。
目的が同じなのだから、組んだ方が良い。
誰でも行きつく結論だ。
「その人間は女か?」
一応訊ねる。
すると
「女じゃった!」
肯定。
だったら……
「ミキ、加勢に行くぞ。連携を呼びかけよう」
俺の言葉にミキが同意してくれたことは
「ネメシス、案内してください」
率先して案内をネメシスに呼び掛けたところで理解した。
「こっちじゃ!」
ネメシスが高いところを飛び、道案内をしてくれる。
俺たちはそれに従って走り続けて……
しばらくすると
金属音が聞こえて来た。
本当に誰かが戦っている……!
そして俺たちが茨で出来たこの緑の迷宮の道。
その曲がり角を曲がったとき。
そこに居た。
「でやあああああ!」
勇ましい声をあげつつ、人間の女の子が悪魔と戦っている。
西洋の騎士が振るいそうな片手剣を持ち、黒い馬に乗った赤い甲冑騎士と斬り結んでいた。
赤い甲冑騎士は槍を振るい、女の子を一突きにしようとするけど、女の子は華麗にそれを躱している。
見事なまでの戦いぶり。
その女の子は……
軽子坂高校の制服を着ていて。
襟首のあたりで髪を切り揃えたボブカット。
そして眼鏡を掛けた知的な容貌。
体型はスラっとしてる。
ただ標準体形で、見た感じあまり運動が得意そうだ、って思える子では無かった。
……この子、内田たまきさんじゃない。
赤根沢玲子だ。