彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第44話 彼女の真実

 取り敢えず助けないと。

 

 彼女と会話ができない。

 

「ネメシス! ミキ! あの子を助けるぞ!」

 

 そう呼びかけ。

 俺は夢想正宗を抜いて、戦っている女の子……赤根沢玲子を助けるために突っ込んだ。

 

 

 

 勝負はあっさりついた。

 赤い甲冑の騎士は、ネメシスの電撃を浴びるとあっさりと膝をつき、倒れて消滅する、

 

 ……電撃が弱点だったみたいだ。

 

 俺は刀を納める。

 敵を倒したんだから、そうしないと誤解させてしまう。

 

「えっと、はじめまして」

 

 俺は彼女……レイコに頭を下げた。

 

 彼女は……

 

「助けてくれてありがとうございます……先輩ですよね?」

 

 そんな俺に、頭を下げて来た。

 

 

 

「私は、イデオを助けないといけないんです」

 

 俺たちに頭を下げた後。

 彼女はそう言ってきたんだ。

 

 イデオを助ける……?

 

 えっと

 

「キミ、ハザマの彼女か何か?」

 

 聞いたこと無い。

 ハザマに彼女が居るなんて。

 

 もし居たら、話題になってないはずが無いし。

 

 彼女は、レイコは

 

「妹です」

 

 即答して来た。

 

 えっ

 

 

 

「ハザマって兄妹が居たのか……」

 

 これも聞いたことが無かった。

 彼女は

 

「ええ。生き別れの妹ですが」

 

 真顔で説明してくれる。

 かなり込み入った話を。

 

 ……おそらくこれは、彼女が精神の世界の住人だからだろう。

 彼女が伝えても構わないと思った情報は、隠すって選択肢が無いんだろうな。

 

 こんなことを言ったら戸惑われたり、ドン引きされてしまうだろう、みたいな。

 空気を読む能力が無いのではないだろうか。

 

 その証拠に、校長だって「ワシは中華料理を食べるために教師をしてる」って最初は豪語していたわけだし。

 

 レイコ曰く……

 

「私の両親は、私が物心つくまえに離婚していまして」

 

 その離婚原因は性格の不一致。

 というか……

 

「母は、父を恐れていました」

 

 ハザマとレイコの父親は……

 

 母親曰く、悪魔のような面がある人物だったそうだ。

 

 

 

「父は、俺は恨みに思った人間は必ず早死にするように仕向けると、酔うとよく母に言う人だったそうです」

 

 彼女の父親は会社経営者で。

 最初、彼女の母親はその有能さに惹かれて結婚したらしいんだけど。

 

 子供が出来たあたりで、その本性を知るに至り。

 

 散々悩んだ挙句、彼女……つまりレイコが産まれたときに離婚を決意したそうだ。

 

 そのとき彼女の母親は……

 

 息子のイデオ……つまりハザマの親権を父親に渡した。

 その理由は「息子は置いていけ」と言われたから。

 

 そこで逆らえば、別れた後に子供たち共々社会的に破滅させられる……

 

 それを確信していたから。

 

「母はずっとそのことを悲しんでいました。自分に逆らうチカラが無いばっかりに、イデオを……あなたのお兄ちゃんを見捨ててしまった、と」

 

 ……彼女のお母さんの辛さは想像でしか分からないけど。

 決して軽いものでは無いのは分かる。

 

 我が子のどちらか片方しか救えない状況。

 彼女のお母さんにとって幸いだったのは、救う方を選ぶという酷過ぎる選択を押し付けられなかったことだ。

 

「だから私は、イデオを助けてあげないといけないんです」

 

 ……それを受けての彼女の言葉には

 

 とても強い意志が込められていた。

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