彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第45話 救い主

 ハザマを助ける……

 

 俺にはそんな視点は無かった。

 でも彼女は本気で言っていて……

 

 それについて、俺は彼女がそんなことを考えてしまうことを異常だとは思わなかった。

 何故って、彼女にとってはハザマはいけすかない転校生じゃなくて、血を分けた兄妹なんだから。

 

 むしろそうならない方が変だ。

 

 ハザマはこの状況を作った張本人だから救う対象じゃないって、そんな言葉は無意味。

 それに、それは言うべき言葉でもない。

 

 なので俺は

 

「そうか」

 

 その件についてはそれ以上触れるのを止めて

 

「君のお兄さんは、この先にある城に囚われているのか?」

 

 そう、彼女にとってのハザマの居場所に絞った言葉を返したんだ。

 

 

 

「はい。先輩の言う通りです。イデオはこの先の城で眠っています。邪悪な竜に守られながら」

 

 俺の言葉にレイコは頷く。

 ……なるほどね。

 

 この世界の眠り姫は彼女……レイコではなく、ハザマだったんだ。

 

 この世界のありようは、兄を恐ろしい父親……彼女たちの実父の影響下から、ハザマを救い出したいという気持ちの表れなのだろう。

 

 だからこの、茨の迷宮なんだ。

 

 縛られている、囚われているという彼女のイメージが、こういう精神世界を作り出したのか……

 

 俺は思った。

 多分、彼女は放置していても死なないし、ついでに言えば……

 

 校長の世界のネメシス同様、彼女がその邪悪な竜という存在と戦って勝って、囚われのハザマを救い出すようなことも多分起きない。

 

 起きたとすれば……

 

 彼女がハザマを救うために行動を起こすことを決断したときだろう。

 今はおそらく彼女は「決めかねている」んだ。

 

 自分に兄を救えるだろうか?

 今、動くべきなんだろうか?

 

 そういう迷いがある状況なんじゃ無いかな?

 

 だとしたら……

 

 彼女に手を貸して、その「邪悪な竜」を倒すことを実現し。

 囚われのハザマを救うことを達成させたら……

 

 ひょっとしたら彼女、決断してしまうんじゃ無いだろうか……?

 兄を救う決断を。

 

 この状況下で、兄のために立ち上がってくれる。

 それは……

 

 多分、すごく助かる。

 

 ハザマにとって、彼女の存在は大きい気がするから。

 血が繋がった兄妹であるのは当然だけど、彼女自身がハザマをある種の被害者であると思ってくれているから。

 

 とても大きな、ハザマの支えになる。

 

 支え……つまり味方が出来れば、ハザマの世界に行ったときに、ハザマを説得しやすいかもしれない。

 

 だったら

 

「分かった。一緒にその邪悪な竜を倒そう」

 

 俺は彼女にそう提案をした。

 一緒に組んで、お城に囚われているハザマを救い出すという提案を。

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