彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「今のって……」
思わず訊ねそうになった。
だがしかし、それは踏み込んではいけないのでは?
プライベート過ぎる。
そういう思いが働き、俺の口が止まる。
だけど
(ハザマの精神と対峙したとき、ここの真相を知らないと困るだろ)
そこに思い当たった。
……綺麗事を言ってる場合じゃない。
なので
訊ねようと思い直したとき
「ええ。面会の記憶です。イデオが……兄が中学生1年生で、私が6年生のときの記憶……」
レイコが先に訊きたいことを言ってくれた。
さらに
「私はそのとき、兄がいることを初めて教えられました……なんとなく違和感はあったんですけどね」
兄とは私が3才で、兄が4才のときに別れたんです。
私はそのときのことは覚えて無かったんですが、なんとなく
小さいときに一緒に居た誰かが居た。
そういうおぼろげな記憶があったので。
……レイコは淡々と話す。
そっか……
俺、3才の記憶ってイマイチピンと来ないが……
頭の飛びぬけて良い人間の血筋ってのはそういうもんなのか。
「キミのお母さんが嘘を言ってるのは、お兄さんを気遣ってのことかな?」
「……そうですね」
そして気になった部分を訊ねる。
答えを聞いて「やっぱりか」と思った。
彼女たちの父親が変なのは、レイコの記憶の中の面会の様子で気づいたので、俺はその言葉に疑問は持たなかった。
……何故って
父親が居なかったんだよ。
ハザマは1人で面会の場に来ていた。
何故? って思うよな?
ハザマの父親は会社経営者だそうだけど。
実の娘に会えるはずの面会の場に参加しないのは変だ。
仕事の都合がつかなかったから?
……頑張れば出来るんじゃないのか?
仮に出来なくても、その場合は面会の日時の方を弄ればいいだろ。
なのに、面会の場に居ない。
ということは……
面会に興味が無いってことだろ。
この部分で俺は、レイコの語る彼女たちの実父像に疑いを持つ必要はないと思ったんだ。
「ここです。先輩」
そして俺たちは。
巨大な門の前に辿り着いた。
黒い金属で作られた門の前に。
この先にハザマが眠る城がある。
その城の敷地は黒い金属の柵に囲まれて、その策には茨の蔦が絡みついていて……
誰もがイメージするような、眠り姫のいる茨の城だ。
門は典型的な西洋のお城の門のようで。
柵門ってやつだと思う。
なので中が見えた。
中には……
黒い竜が居た。
大きさは10メートル近い。
それが身体を地に伏せて、後ろに城を守るように鎮座していた。
その姿は背中には巨大な翼竜のような翼があり、顔はワニのよう。
……ただし。
目の部分と、鼻の部分が
人間のように見えた。