彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ありがとうございました」
レイコは俺たちに頭を下げて礼を言い、俺たちは
「別にいいよ」
「こっちこそ手伝ってくれてありがとう」
そう言って、こっちも頭を下げた。
しかし、この行為で……
俺は思った。
ひょっとしたらレイコは決断するに至るのかもしれないな。
ハザマを苦境から救うことを。
その象徴的行為を、彼女の精神世界で実現してしまったのだから。
そしてこの世界に来たお陰で、色々分かったことだけど……
ハザマは過酷な環境に居たんだな。
そこを理解し、俺は彼に少し同情した。
ひょっとしたら、制服を着替えなかったことも何か原因があるのかもしれない。
俺たちを見下している以外の、何か止むを得ない理由が。
……それを知ろうともせず、ただ少し気に障ったからと……
排除するなんて。
俺たちは……良いわけ無いよな。
「あとはもう、自分だけで出来るよね」
ここから先はプライベートで、レイコの脳内処理の話になる。
ハザマを苦境から救うぞ、っていう。
それを見ておくことに、ハザマと会話するためのヒントがあるとは思えない。
そう思った。
だから
レイコにそう一言言い、俺たちはそこで別れて
……帰還可能なエリアまで引き返し、俺たちはレイコの精神世界から離脱した。
レイコの世界を離脱した。
色々、得るものが多い世界だった。
ハザマに問題が無いとはやっぱり言えないけどさ。
だって彼は俺たちと会話しようとしなかったし。
だけどそれにしたって、他人と会話するのが得意じゃないだけかもしれない。
何か不得意な事柄があるだけで排除されて当然だというなら……
学校の成績が悪いからと社会から排除するのも正しくなるだろ。
学校の成績と、口下手を一緒にしてはいけないというルール、どこにもないんだし。
「なぁ」
俺はかなり同情的な気分になっていた。
その気持ちを伝えようと思い
ミキに視線を向けたとき。
俺は絶句した。
また、ミキの姿が変わっていたんだ。
紫色の髪から……金髪に。
そして尖った耳が普通に戻っている……!
俺はすぐさまスマホを確認する。
そこにはこんな表示が……
幽鬼マンイーターは夜魔サキュバスに進化しました。
夜魔サキュバス……!
さすがに知ってる。
あれだろ……?
エロいやつだ。
オトコの精を搾り取るモンスター……
俺は唾を飲み込んだ。
なんか、ミキの胸が心持ち大きくなったような気もする……!
そして、俺の様子に自分の姿が変わったことに気づいた彼女は
自分の姿がまた変わったことに、金髪になった髪に戸惑いつつ
「……ゾンビじゃ無くなったみたいだけど……?」
……スカートの中から伸びる、先端がスペードのマークみたいになってる黒い尻尾をクネクネと動かしていた。