彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
第50話 許せない女
「サキュバス……」
俺に何が起きたのかの説明を受けて、ミキは少し複雑そうだった。
「多分だいぶ人間に近づいたと思うんだけど……この尻尾が問題だよね」
そう、自分の尻尾を見ながら。
まぁ金髪は染めたと言い張れるけど。
尻尾はおかしいしな。
……しかし
なんというか……
ムラムラした。
ミキは無論最初から好きだけど。
彼女だし。
でも今のミキは……
無性に触りたいと言うか、抱き締めたいと言うか……
なんかすごく、エロかった。
なので衝動的に彼女に触れようと、そっと頬を触ったら
「ちょっとやめて。何だかヤバい気がする」
……拒否られる。
手をそっと外される感じで。
えっ
「ヤバいって何が?」
「今の私と、色々したら多分……」
ヨータ、きっと無事で済まない。
何だかそう思うんだ。
ミキの言葉。
すごく申し訳なさそうに。
で、俺は冷静に考えた。
……サキュバスって言ったら。
大体男から搾り取って、結果魂を奪ってくるのが基本だよな。
そういう系の作品では。
だとすると……
確かにマズいかもしれない。
でもなぁ……
ミキに触れたり、キスしたりできないって。
それはちょっと……
嫌だな。
「よし、休まず次に行ってもっと良い状態にしよう」
サキュバスより上。
今のところ、精神世界をクリアしたらミキは1つ上の存在に変わって来た。
だから、次の……
……この女の精神世界をクリアすれば、多分また変わるはず……。
こいつについては
……正直、話題にも上げたくない女だった。
だから、名前を見ても考えるのを避けて来た。
ミキもこれまで敢えて触れて来なかった。
思い出したくないんだろう。
今はもう、ミキはトラウマを克服してて普通にしてるけどさ。
この女は……
中学時代、ミキをいじめてたんだ。
矢野暁子は、この軽子坂高校で一番の美人だと言われている女子だ。
俺の友達の中にも、好きだと言ってる奴は居る。
俺はそれを苦々しく思っていた。
正直面倒を起こしたくないので、俺はあの女の本性について触れまわるようなことはしていないが。
ミキ曰く、相当酷かったらしい。
元々は、ミキが中学時代に部活で先輩に惚れられていたのが原因だそうだ。
その先輩を、あの女は狙っていたらしい。
だけど、先輩が惚れていたのはミキだったので
あの女はミキが部活に居られなくなるように、悪評が立つようにした。
影で悪口を言っていたとか。
他人のモノを捨てていたとか。
……最悪なことに、あの女は外見が抜群に良い上に、演技力が高くて。
ほとんどの人間が、あの女の言い分を信じたんだ。
無論、証拠が無いから学校から処分を受けることは無かったけど。
そこからの先の中学時代、ミキは「証拠が出ないように悪事を繰り返す最低女子」のレッテルを貼られた。
本当に辛かったらしい。
だからミキは高校生になった後、部活はしなかった。
何かのグループに入ると、恨みを買ってまた濡れ衣を着せられる。
そう思うようになったんだ。
……許せないよ。
そんな女の精神世界……
それがレベル4。
正直……
この世界に関しては、精神本体が相当危険なんだろうなという予感と。
多少荒っぽいことになったとしても止むを得ない。
そういう気持ちになっていた。