彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
城、ね。
……なるほど。
あの女らしいな。
ようはあの女、自分はお姫様か女王様だと思ってるって事だろ。
だからこういう世界なんだ。
「取り敢えず攻め込もう」
言いながら俺はネメシスとプリンシパリティを呼び出した。
交渉する気はまるでなかった。
真正面から戦いを挑み、真っ向からあの女の精神本体に会ってやる。
地面に描かれた魔法陣の中から現れる2体の悪魔。
そのうち、有翼の女神……女神ネメシスが俺に
「マスターよ。えらく好戦的な顔をしておるな」
俺はその言葉には
「そうかい」
自覚があるので。
俺はそんなネメシスの言葉を軽く流した。
理由を訊かれても言葉を返す気は無かった。
気分が悪くなるだけだしな。
門をネメシスに内側から開けさせて、俺たちは城に乗り込んだ。
城の敷地に踏み込む。
緑が多く、小奇麗な庭。
だが、そのデザインは何だか……
適当だった。
木の種類にも目を引くものを感じないし。
ただ、数があるだけ。
そんな感じだ。
……庭のデザインにセンスを感じないんだよ。
まぁ、この世界の主があれだしな。
精神の持ち主の能力を超えるデザインは物理的にあり得ない。
そしてそのまま城に向かって進んでいくと、衛兵役の悪魔たちが襲い掛かって来る。
全体的に美形の悪魔たち。
剣を構えた悪魔が多かったけど……
一際目を引くものがいた。
それは純白の武人衣装に身を包んだ美形の男で……
槍で武装していた。
それに対し、ネメシスは
「あれは妖精クーフーリンじゃな」
クーフーリン。
どこの悪魔だ……?
分からない。
「悪い、説明してくれ」
俺の頼みに、彼女は
「ケルト神話の悪魔じゃ。妖精の騎士じゃな。武術の達人であるぞ」
……なるほど。
ならば、ネメシスに任せた方がいいのかもしれない。
あと、それなら……
試してみたいことがある。
俺はクーフーリンとの戦いをネメシスにほぼお願いし、俺自身はサポート役に回りながら
「なぁアンタ、訊いてくれ!」
……会話を仕掛けた。
この世界の主は良い人間では無いから、寝返らせることも可能かもしれない。
そう思ったんだ。
だけど
クーフーリンは聞く耳を持っていない。
というか……
その目に意志を感じなかった。
まるで人形のようだった。
「……この精神世界にいる悪魔たちは、自由意志を失ってるようじゃな」
クーフーリンの槍の一撃をステップで避けつつ。
ネメシスは呟く。
……この世界の主の影響かな。
自分に逆らうものは許さない、どんな些細なものでも。
そう思っているんだろう。
……ホント
ろくでもない女だ……