彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
大扉の向こうには赤い絨毯が敷かれた大きな部屋があって。
その奥に仰々しい玉座が1つあり。
そこに赤いマントを身に纏い、冠を被った女子高生が座っていた。
そいつは長い髪をポニーテールに結った女子。
こいつが軽子坂高校イチの美少女と呼ばれるのは分からなくもない。
容姿に欠点が無いんだ。
冷たい印象も無い、清楚な容姿。
聖女の役をこなす女子を軽子坂高校で選べと言われたら、おそらくコイツを推す奴が山のように居るはずだ。
ムカツクけどな。
「私のお城になんで攻め込んでくるの?」
アキコの精神体は怯えた表情を浮かべ、そう訴える。
完全に被害者のツラで。
……ま、この状況なら被害者で良いか。
この状況なら、不法侵入者で非があるのはこっちだし。
でも謝ったりはしない。
俺は
「お前、最低だよな。何もしてない香山先生の婚約者を寝取ろうとするとか。何様のつもりだ?」
冷静に、今一番ムカついていることをコイツに突きつけた。
するとだ
「……は?」
怯えた表情が一瞬で消え去り、目に怒りと……
一瞬前まで清楚そうに見えていた顔に、悪意に凝り固まった醜悪なモノが浮かび上がる。
「何が最低なの? あのオバサン、イラつくでしょ。思い上がってるから思い知らせてやろうとしただけよ?」
その言葉には震えが無かった。
本心だ。
売り言葉に買い言葉で、言い過ぎているとかそういうものは無い。
本気でそう思ってんだこの女は。
自分を不快にさせた相手が全て悪くて、そいつにどんな制裁を加えても全く良心の呵責というものを感じない。
それがこの女の本性だ。
聖女の見た目で、化け物の心を有している救いようのない人間……
だから俺は
「……それで失敗して、相手男性に自分の世界で逆恨み拷問プレイを加えてれば世話無いよな。恥ずかしくないのか?」
そう言ってやった。
そしたら
「あの男の目が節穴! 何が僕の胸に留めておく、こんなことは止めるんだ、よ!」
そんなふうに目を剥いて喚きだした。
「生意気! 吐き気がする! 最低!」
……なにが「最低」だよ。
最低なのはお前だろ。
ムカムカしてくる。
もうそろそろ、こいつの精神体の護衛か何かをブッ倒し、ビビらせてやってから現実世界に帰ろう。
長居する理由が本当にない。
そう思い「黙れ」と言おうとした。
だけど
「……矢野さん。あなた、中学のころから何も変わって無いよね。あなたには倫理観や正義感ってものが心に無いの?」
そこに。
怒りの感情が抑えきれない冷えた声で。
俺の彼女のミキが加わって来たんだ。
ミキの声はあくまで穏やかだったけど。
どうしようもなく冷えていた。
とても激しい怒りと憎しみを必死に隠そうとしている。
そんな彼女の言葉に矢野は
「……誰かと思ったら、生意気なドブスの
嘲り、見下す視線を彼女に向けて来たんだ。