彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

58 / 78
第58話 レベル4世界の恐ろしさ

「何がドブスだ!? 一番醜いのはお前自身だろうがよ! 化け物の分際で!」

 

 俺は思わず言い返していた。

 ミキに「口を出さないで」って後で言われるかもしれないけれど

 

 中学時代に、ミキを苦しめて。

 高校でも影響が出るような状態にしたくせに。

 

 こいつはミキに何の負い目も持っていない。

 

 クズ中のクズ。

 最低最悪の女。

 

 だけど

 

 矢野は俺の言葉を鼻で笑った。

 

「あなた眼科に行くべきね。目が潰れていると言わざるを得ないわ……私、何かあなたに悪いことしちゃったかな?」

 

 そして小首を傾げて

 

「……ひょっとしてあなたも私に告白して、フラれてしまった1人? ……だったらしょうがないかな」

 

 そう言った後。

 

 こいつは絶対に許せないことを口にした。

 

「私と付き合えなくて、こんなドブスで妥協するしか無かった、あなたの気持ちすごく分かる」

 

 ……ミキを侮辱した。

 そして俺とミキの関係性まで侮辱しやがったんだ。

 

「てめえぶっ殺すぞカス女!」

 

 だから俺はほぼ反射的に言い返していた。

 許せない……!

 

 こいつは今、俺がミキと積み重ねた時間と、育んだ絆を侮辱した。

 怒っていいだろ……?

 

 むしろ、ここで怒らない奴は駄目だろ……!

 

 俺の剣幕に矢野は

 

「あらやだ怖いわ。きっと図星なのね」

 

 嘲る言葉と。

 芝居がかった怯える仕草をして

 

「リュウイチくーん」

 

 甘ったるい、舐め腐った声で

 

 自分の彼氏を呼び出した。

 

 ……赤い侍の甲冑に身を包み烏帽子を被った、刀2振りで武装した自分の彼氏を。

 

 矢野の呼びかけで矢野の傍に直後出現した彼氏……坂本竜一のレプリカ。

 

 矢野は

 

「リュウイチくーん。サカモト・ヨシツネ・リュウイチくーん」

 

 そう彼氏のレプリカに呼び掛けて

 俺たちを指差し

 

「……この2匹の無礼者を殺処分してやってー」

 

 そう、せせら笑いながら命じて来た。

 

 彼氏のレプリカはゆっくり頷き

 

「……俺に任せろ!」

 

 そして二刀流に刀を構え

 

 俺たちに襲い掛かって来た。

 

 ……やってやるよ!

 

 

 

 彼氏レプリカたるサカモト・ヨシツネ・リュウイチの攻撃は凄まじかった。

 

 俺とネメシス2人を相手にして、全くひけにとっていない。

 

「クッ、なんと速い斬撃じゃ!」

 

 ネメシスがその矢継ぎ早に襲ってくる二刀流斬撃を必死で捌きつつ、そう口にする。

 

 俺は

 

「プリンシパリティ! 電撃魔法でネメシスの援護を頼む!」

 

 共闘する天使に、ネメシスへの援護の指示を飛ばした。

 電撃ならネメシスに通じない。

 巻き込んでも大丈夫だ。

 

 しかし……

 

 ……現実の坂本は、別に剣道部じゃなかったはず。

 

 だけど、これが矢野の考える自分を守る男のイメージなんだろう。

 

 自分の彼氏はこれぐらい強くて当然だ、みたいな。

 

 そしてこれが……

 

 レベル4の精神世界の恐ろしさ……

 

 そういうことなのか。

 

 ……でも

 

 負けてたまるかよッ!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。