彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ   作:XX(旧山川海のすけ)

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第61話 ミキが辿り着いたのは

「何なのその姿はァ!?」

 

 矢野の悲鳴のような言葉に、ミキは

 

「見なさい……ヨータと一緒に生きていくために……、神が私に力を与えてくれたわァァァァア!!!」

 

 ……自分の影の中に、その人間としての顔の映像を浮かび上がらせつつ、力強くそう返した。

 

 これって……!

 

 これって一体何なんだ……?

 

 ただ、俺にはひとつだけ分かった。

 

 今のミキは、前とは比べ物にならないくらい強くなっている……!

 

「リュウイチ君! 今すぐそのドブスが変身した化け物を始末して!」

 

 死に体にあった俺を放置してミキを倒せ。

 矢野はそうサカモト・ヨシツネ・リュウイチに命じた。

 

 その言葉にリュウイチは速やかに従い、両手に刀を引っ提げて狐怪人と化したミキに斬りかかる。

 襲い来るサカモト・ヨシツネ・リュウイチの二刀流斬撃。

 縦横無尽に振るわれるその斬撃は――

 

 金属が砕けるような高い音と共に、信じられない結果を産む。

 

 なんと、斬撃で切り裂かれたのはミキではなく

 

 サカモト・ヨシツネ・リュウイチだったんだ。

 

 激しく血しぶきをあげながら、たたらを踏むように後退(あとじさ)るサカモト・ヨシツネ・リュウイチ。

 

 ……これは

 

 自分への斬撃を相手に跳ね返したってことなのか……?

 

 突如の物理反射に狼狽えている敵を前にして

 

「終わりよ」

 

 影の中に浮かび上がるミキの顔がそう宣言し。

 彼女は大きく腕を広げた。

 

 彼女の周囲に激しく冷気の渦が巻き起こる。

 

 俺にまで、気温の低下が伝わって来る。

 

 そして

 

「……ブフダイン!」

 

 その声と共に、渦巻く冷気がズタズタになったサカモト・ヨシツネ・リュウイチを飲み込み……

 

 その身体を氷の彫像へと変えたんだ。

 その後砕け散り、崩れ落ちる。

 

「そ……そんな」

 

 そして矢野は。

 その様子を真っ青な表情で見つめ

 

 ガタガタと震え始めた。

 

 

 

 

「お願い殺さないで! 天川様!」

 

 矢野は慌てて玉座から降りて、跪き。

 その場で土下座した。

 

 謝罪の言葉は無い。

 その上での命乞い……

 

 まあ、これは矢野の精神体だから、偽りの謝罪が出来ないせいだと思う。

 本心しか言えないんだ。

 

「いきなりヒトの心の中に踏み込んで来て、その本体を殺すなんて酷いでしょ!? 止めてよ! お願いします!」

 

 そして顔を上げた矢野は、ミキに媚び諂う笑みを浮かべていた。

 ミキの機嫌を取ろうとする、卑しい笑顔だ。

 

 俺たちは……

 

「そうだな」

 

 確かにそうなんだ。

 俺たちの立ち位置は強盗と一緒。

 

 勝手に矢野の精神に修行目的で押し入って、家主の護衛をブッ倒した。

 

 正当性は無いんだ。

 ただ、家主が人間のクズだっただけだ。

 

 人間のクズの住処なら自由に強盗に入って構わない。

 そんなルールは何処にも無いよな。

 

「悪かったな。帰るよ……俺たち修行しに来たんだわ」

 

 だから俺はそう言い残し。

 

 ミキに視線で呼び掛けて。

 玉座の間を後にした。

 

 

 

「私、どうなったの?」

 

 その後。

 城の廊下を歩きつつ。

 

 ミキが俺に訊いて来た。

 あの後、ミキは元のように人間の姿に戻ることが出来た。

 ゾンビになる前、そのまんまの姿に。

 

 どうも、怪人体と人間体。

 その2つの形態を持つ悪魔に、ミキは進化したみたいだ。

 

 それは一体何なのか……?

 

 俺は少しマナーが悪いなとは思いつつ、歩きながらスマホを操作し。

 

 アプリを起動し、ミキがどうなったのか通知が来ていないかを確認する。

 

 するとそこには……

 

 こんな通知が入ってた。

 

 夜魔サキュバスは魔人オルフェノクに進化しました。

 

 オルフェノク……?

 オルフェノクだって……?

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